いいか、しんのすけ。
ものづくりで大事なことの一つに、品質の再現性があるんだぞ。
そして再現性に必要なものは主に3つだ。
•ワーク位置の再現性
•加工ツールの再現性
•加工パラメータの再現性
つまり、正しい位置にあるワークに、正しくツールを当て、加工条件を安定させる。これができれば品質は再現できる、という考え方だ。
この中でも特に重要なのが、1つ目のワーク位置の再現性なんだ。
ワークは公差も歪みといった個体差があって、毎回まったく同じとは限らない。
だからこそ、個体差がないワークであれば毎回同じといえる位置決め方法が治具には必要なんだ。
ここを「なんとなく」でやると、後ろのツールや条件で頑張っても限界が来るんだぞ。
そして、位置決めは軽視されやすい。
手段が限られていてシンプルに見えるからこそ、誰でも「できてる風」に見せられてしまうからだ。
だからこそ位置決めの原理を知ることが大事だ。
位置決めとは「逃げ道」をゼロにすることだ
ワークは動ける逃げ道を持っている。
その逃げ道は6つある。
•直線方向:X・Y・Z(前後・左右・上下に動ける)
•回転方向:Rx・Ry・Rz(ひねり・倒れ・回り込みができる)
位置決めとは、簡単に言えば この6つの逃げ道を潰してゼロにすることなんだぞ。
例えばだ。
両手の指2本で板を上下に挟んでみる。
このとき、板は「挟んでいる方向」には動きにくいな。
つまり、上下方向(Z)の逃げ道は潰れてる。
でも、板を引っ張れば、スッと滑る(前後・左右の逃げ道が残る)。
角度をつけて引けば、くるっと回る(回転の逃げ道も残る)。
端を押せば、シーソーみたいにグラつく(倒れの逃げ道が残る)。
要するに、2本指で挟むだけでは6つのうち4つも逃げ道が残っているということだ。
次に両手3本指で挟んでみる。
支持点が増えると、さっきのシーソーのグラつきが減るはずだ。
これはつまり、板が倒れたり起きたりする回転の逃げ道(Rx/Ryの一部)を、支持に追加で潰せたということだ。
ただし、
引っ張る方向にはまだ動く(2直線の逃げ道が残る)。
挟んだ面の中ではまだ回り込める(回転の逃げ道が残る)。
6種類のうち3種類は逃げ道が残っている。
ここで分かることは2つで、
挟むと「その方向の直線の逃げ道」を1つ潰せる。
支持点を3点にすると「ひねりと倒れの回転の逃げ道」を潰せる。
3つ目の例として、フォークで食べ物を上から刺してみる。
フォークで皿の上の食べ物を上から刺してみると、
皿の上で、前後左右にズレにくい。
そして、皿の上で、くるっと回りにくい。
つまり、刺すことで平面上の直線の逃げ道(X/Y)や、平面内の回転(Rz)を潰しせる。
しかし、食べ物はフォークから抜ける(直線の逃げ道が残る)。
刺したままでも、力のかけ方で浮いたり傾いたりする(2つの回転の逃げ道が残る)。
ここでも6種類中3つは残ったな。
ここで、わかるのは、2点以上で刺すと、平面上の2直線と回り込みを潰せる。
ここまでの2つ目と3つ目の例を組み合わせると6種類の逃げ道が全て潰せる。
つまり位置決めが正しくできるということだ。
これが一つの方法の例だ。
大事なことは、『自分の選択した手法で6つのうちどの逃げ道が消えて、どれが残ってしまうのか』
これを正しく理解して位置決めを設計することだ。
そして、生産におけるポイントはもう一つあるぞ。
最小の方法で、確実に6自由度を潰す。
やり過ぎればコストが増える。
甘ければ品質が崩れるんだ。
最小設計が、品質とコストの競争力強化に直結するんだぞ。