第125話 オタク、挟まれて悩む



 宿に帰ってきてご飯を食べると、部屋でだらだらしようか、という話になった。

 休日だからね。身体を休めよう。


「と、とか言っちゃって……今日も、するんでしょ……?」


 こっちの部屋で何だか恥ずかしそうににやけるサフィルさん。

 恥ずかしがりながらも、期待しているような感がある。


「そだよ? あーしらのダラダラって。えっちのことだからさ?」


「サフィルちん何してんの? 早く脱ごーよ」


 そう言って服を脱ぎ始めるエイジャさんとリーシャさん。

 早いです。


「さっ。サフィルちゃんも脱いじゃおーね!?」


「ひゃぁんっ!? い、いきなり脱がさないでよぉ!?」


 ズボンを下げられ、下着姿にされるサフィルさん。

 下着の色が少しだけ湿って変わっていた。


「サフィルちゃんも興奮してるの……? ボクと一緒だね……?」


 サフィルさんを顎クイして迫るイケメン美女。

 三人に囲まれているサフィルさんを見て、リルカさんが興奮して自分のスカートの中に手を入れていた。


「とりあえず、オタクが脱がなきゃ始まらないんじゃないー?」


 すぐに始める必要はないと思いますよ、エカナさん。

 帰ってきた! しよう! は早すぎるし。


 お風呂にするか食事にするかそれとも私? と聞いてくる若妻みたいな展開だ。

 新婚家庭かな?


「じゃあ、師匠はわたくしが脱がせますね……?」


「もしもし、リルカさん? いつの間に自分も脱いでるんです?」


 すでにリルカさんも下着姿になっていた。早すぎる。

 残像すら見えなかった。


 あっという間になすがままにひん剥かれ、下着姿にさせられる。

 汗臭いから浄化魔法をかけようかと思ったら、背後からリルカさんがぼくの首筋に顔を寄せて、くんくんと匂いを嗅いでいた。


 男の匂いにうっとりする貴族令嬢は、絵面が危ないと思います。

 辺境伯様に斬首されちゃうよ。


「さっ、オタクくん? 子作りの準備はできてるよ?」


 ベッドの上で、エイジャさんとリーシャさんにとろとろ顔にされたサフィルさん。

 その隣に四つん這いに並んで、後ろ向きに大事な場所を見せてくるクルスさん。


 もはやすでに逃げられない状態だった。


「ほら、師匠。お二人がお待ちですわ。おっきおっき」


「さ、さすらないでください、リルカさん。わかりましたから」


 そのままベッドに向かうしかなく、ベッドに乗り上がると、サフィルさんが出迎えた。

 エイジャさんとリーシャさんに支えられながら、頬を染めてとろけきった顔で、両手を大きく広げてぼくを招く。


「きてぇ、オタクくん……! 子作り、しよ?」


 サフィルさんは、もう引き返せないところまで来てるんじゃなかろうか。



********



 サフィルさんにいわゆる「だいしゅきホールド」で拘束され続けた後、クルスさんに襲われた。

 こんな薄い本みたいなこと、やるのはステラさんくらいだと思ってた。


「んんぅ……オタクくん、オタクくんっ」


 クルスさんが頬を上気させながら、上機嫌にぼくのことをずっと呼んでいる。

 ヤンデレすぎて、最近のクルスさんは甘っ甘に甘えてくることが多い。


 独占欲は健在なのだけど、サフィルさんに教えて、「ボクのもの」とマウントを取ったりもしてきている。

 だいたいクルスさんが上に乗ってくるので、ぼくは逃げられずになすがままだ。


 まぁ、良いですよ。クルスさんだから。

 どうぞ、お気の済むまで……待って、それ以上は回復追いつかないから。

 待って待って。


「んぅ……! やっぱり、オタクくんの顔が見えるこの姿勢が良いや」


 イケメン顔を朱に染めて、美女のとろけた笑顔をぼくに向けるクルスさん。

 最初に会ったときに比べて、本当に女性っぽくなったなぁ。


 満足してぼくの上に倒れ込んだクルスさんは、それでもぼくを逃がさないようにベッドの上で抱きしめてくる。


 逃がして、と手をじたばたさせるも、添い寝状態のクルスさんがガッチリ身体を捕まえていて逃げられそうにない。

 周囲からも、誰の助けもなかった。


「ふふ……本当に逃げたいなら、『強化』すれば良いじゃない、オタクくん?」


「……別に、そんなことするほどでもないですよ」


 ぼくの反応を見透かしているように微笑むクルスさん。その反対では、柔らかい笑顔で自分の下腹部をさすっているサフィルさんが横たわっている。


「いろいろ、教えられちゃったね? あたし、もう忘れられないよ……?」


 両側から間近でクルスさんとサフィルさんに微笑まれ、ぼくは何も言えなくなる。

 すべての原因であるエイジャさんとリーシャさんは、リルカさんを巻き込んでエカナさんとよろしくやっていた。


 常に百合の花を咲かせてるな、あの二人。


「あ、こっちは気にしないで、オタクくん。二人の子どもができたら、あーしらもオタクくんとエロエロすっから」


「そうそう。ウチらもそのうち、孕まないとだしね!」


 余計な気遣いしないでください、二人とも。

 てことは、本当にぼくに子どもを作らせる気なのか。


「うふふ……師匠の子ども、きっと可愛いでしょうね。男の子ですかしら、女の子ですかしら……?」


「あふ、あっ……! オタクの子は可愛がるよー! あっ……!」


 絶対に教育に良くないことしか教えられない。

 逃げて、未来のぼくの子どもたち。


「オタクくんは、あたしなんかを妊娠させることには、興味ない……?」


「いや、ありますけど」


 男だからね。

 でも、この歳で父親確定、は話が進みすぎじゃなかろうか。

 この世界だと成人が十五歳だから、この世界的には適性年齢だけど。


 前世だと高校生だとか大学生の年代で、明るい家族計画の話をさせられるんだから。

 ここは、異世界だなぁ。


「……一応言っておきますけど、避妊魔法はまだ使ってますよ? 目標金額も貯めてないんだから、そう急がなくても良いでしょう」


「あ、そうなんだ。良いよ? たぁっぷり、オタクくんの『オタクくん』を覚えちゃうだけだから」


 うん。ぼくを逃がす気ないですね、サフィルさん。

 初体験の相手だから、自然な流れと言えばそうなんだけど。


 うーん。クルスさんたちの問題が解決しないと、子どもができても危険なんだよね。

 ぼくを男として扱って配偶者にすれば、すべて解決するけど。


 今のところ、みんなにその気が『まったく』ないのが問題だ。

 子作りは考えてても、結婚は考えてないんだよね、みんな。


 なんど考えても自由人の集まりすぎるので、ぼくは思わず頭を抱えた。

 普通に考えると『家庭を持つ』話のはずなのに。


 そうならないのはなぜ?



 この状況をどう捉えて良いのか、ぼくは両側から二人の胸に挟まれて、悩んでいた。


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