Metaの「詐欺広告」対策、実は規制逃れの偽装?ロイターが暴いた内部文書
SNSを開けば頻繁に目撃する「著名人を騙った投資詐欺広告」。これまでFacebook・Instagram・Threadsなどを提供するMetaは「対策を強化している」と繰り返してきたが、その裏側では「偽装工作」が行われていたことをロイター通信が報じている。
2025年12月31日、ロイター通信は「Meta created playbook to fend off pressure to crack down on scammers, documents show(Meta、詐欺業者への取り締まり圧力を回避するための手引書を作成、内部文書で判明)」と題した調査報道を公開した。内容を要約しつつ、紹介したい。
1. 規制当局を欺く「プレイブック」の存在
ロイターが報じた内容によれば、Metaは世界各国の規制当局からの圧力をかわし、法規制を遅らせるための具体的な戦略、通称「プレイブック(手引書)」を作成していた。
Metaのスタッフは、規制当局やジャーナリストが詐欺広告を調査する際に使用する「特定のキーワード」や「著名人の名前」をリストアップ。それらに合致する広告を、外部から閲覧可能な「広告ライブラリ」から優先的に削除・非表示にしていたという。
つまり、プラットフォーム上の詐欺を根本から撲滅するのではなく、「監視の目」に触れやすい部分だけを綺麗に掃除することで、対策が進んでいるかのような「偽の印象」を当局に与えていたことになる。
2. 日本が「実験場」にされていた
日本人として看過できないのは、この隠蔽工作の最初の本格的な実験場が「日本」だったと指摘されている点だ。
当時、日本では堀江貴文氏や前澤友作氏などの画像を悪用した投資詐欺が深刻な社会問題となり、日本政府は広告主の本人確認(KYC)義務化を含む厳しい法的規制を検討していた。
これに対しMetaは、日本の当局がチェックしそうなキーワードを徹底的にクリーニング。結果として、当局に「詐欺は減少傾向にある」と誤認させ、厳格な規制の導入を見送らせることに成功したという。
この日本での「成功」を受け、Metaはこの手法をグローバルな標準戦略として、米国や欧州など世界各地で展開していった。
3. 対策を阻む「160億ドルの利益」
なぜMetaは、これほどまでに抜本的な対策を拒むのか。ロイターが引用した内部文書には、生々しい数字が並んでいる。
Metaの試算によれば、全広告主に本人確認を義務付ければ詐欺を最大29%削減できる可能性がある一方、その導入には約20億ドルのコストがかかり、さらに総収益の約5%が失われると予測されていた。また、別の推計では、Metaの年間収益の約10%(約160億ドル)が、詐欺広告や禁止薬物の広告などの「高リスク広告」によってもたらされているという。
「ユーザーを守ること」と「収益を守ること」を天秤にかけた結果、彼らが選んだのは後者だったということだ。
4. 私たちはどう向き合うべきか
Meta側はロイターの取材に対し、「意図的に当局を欺こうとした事実はなく、通常の対策の一環だ」と強く否定している。しかし、今回リークされた内部文書の内容は、あまりに具体的で重い。
利益のために、詐欺広告の蔓延を是正しないどころか、組織的に隠蔽しようとているのであれば、プラットフォーマーの自浄作用に期待するのはもはや限界だろう。これはMetaに限った話ではない。
企業の「善意」による改善は期待できない。かといって、詐欺広告などは個人での対策にも限度はある。となれば、透明性の高い外部監視と、実効性のある法規制が必要になる。
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