公明党は自民党が政治と金の問題に不誠実だから連立離脱したというナラティブを広められるか?
恥ずかしながら、自分の予想に反して公明党は連立を離脱した。選挙協力的に無理だと考えたからだが、こうなってくると公明党は連立離脱を正当化する必要が出てくるわけだ。
公明党は事前に三条件を掲げており、その内二条件の靖国問題と外国人共生問題については高市早苗新総裁が譲歩することでまとまっていた。
まとまらなかったのが政治と金の問題である。
事の発端は岸田政権下で発覚したほぼ全派閥にわたってあった裏金問題であり、影に隠れたが岸田派にすら同様の問題があった。
また、去年の石破総理就任直後の衆院選挙で、非公認議員に対しても2000万円の活動資金が振り込まれたことも大きな問題となった。
更に、安倍総理が暗殺された後、裏金復活を主導したと目され、証言もでてきた下村博文議員が自民党支部の支部長に再任されたことも問題となった。
これらはいずれも、新総裁就任前に起きたことであり、しかも政治と金については当の公明党を含め立憲民主党とも協議することを決めているさなか、公明党案を新総裁に丸呑みにせよと迫ったものであり、いくらこれまでの自民党の姿勢が不誠実であったとしても、極めて合理性に欠く、連立離脱だったと言わざるを得ない。
勿論、萩生田光一氏を幹事長代理にしたことや、その他の人事に問題があったという事も言えるが、それだけを以って、連立離脱を正当化するのは厳しかろう。
さて、公明党が生き残るには自民党側に問題があったというナラティブを形成し、認知させなければならないのだが、問題が幾つかある。
まず、斉藤鉄夫代表が過去に2回にわたって政治資金収支報告書の記載漏れをして訂正していることだ。
また大臣就任時の資産についても1億円を超える巨額資産の未申告が発覚している。
その為、政治にクリーンな公明党と言ったところで、その正当性に疑いを持たれるのは避けられない。このあたりは、立憲民主党の安住淳幹事長にも言えるのだが。
また、裏金議員とされた一部の非公認議員に対し、推薦を出したのは公明党である。
もう一点は、2025年10月6日の連立協議が行われているさなかに、中国の呉江浩駐日大使と公明党の斉藤鉄夫代表が会談したことである。
公明党は予てから、支持母体である創価学会の関係で親中派と言われており、このようなタイミングでの会談は様々な憶測を呼んでいる。
当然下衆の勘繰りと言うべきものであり、事実無根であるとは思うが、中国の指示で連立離脱したというナラティブを広められた場合、覆すのは容易ではないだろう。
公明党としては、これまで自分たちが如何に我慢して自民党を支えてきたか、自民党のために協力してきたかを語り、それでも我慢ならなかったと自己弁護するのだろう。
しかし、選挙協力はお互いで行っているものだ。よく1選挙区2万票と言われる創価学会票だが、これが陰っているのは明白な事実だ。更に、公明党は自民党議員に、比例は公明にと言わせて、名簿まで出させてるし、当然だが公明が出す小選挙区には候補は出さずに自民党が全面的に支援しているわけだ。
更に言えば、公明党は与党にいることで自民党右派とのバランサーとしての票を得ていた。逆に言うと、公明党によって政策が制限され、自民党は右派の票を失っていた。
結局、見方によるもので選挙はお互い様でしかない。
中国に対するネガティブな意見を持つ人が80%を超え、90%に迫り、国際情勢が緊迫する中、公明党をパージしたほうがプラスだと考える人が増えてもおかしくはない。
逆に自民党側は、自分たちに正当性があったというナラティブを広める必要がある。
その点、会談終了後の会見で直ぐ様、自分たちは話し合いを続けるつもりだったが、公明党から党内手続き的に無理なのを承知なうえで承諾を迫ってきた、というナラティブを広めた高市早苗新総裁は喧嘩がうまいと言わざるを得ない。
就任して一週間の新総裁の、しかも初の女性総裁に、無理やり合意をさせようとしていたというのは率直に言って、公明党のほうが悪者に見えてしまう。誰であっても、引き継ぎしたばかりの人物に、無理な契約を迫ろうとする人物がいたら嫌悪感を抱くだろう。
更に、高市早苗新総裁はメディアからもワークライフバランス発言で揚げ足取りのような攻撃をされていることは、国民も馬鹿ではないから認知していて、その上時事通信カメラマンによる支持率下げてやる発言が広まったことで、不当な攻撃にさらされる可哀想な女性総裁で、いやなやつらが女性首相誕生を妨害しているというナラティブは容易に形成できるだろう。
既存メディアがなんとか、高市首相誕生を阻止したいがために攻撃しているというストーリーは、ネットや元から支持している右派には受け要られやすいストーリーであり、これを覆すのは容易ではない。
勿論、高市早苗新総裁に厳しい面もある。それは高齢女性に嫌われていることだ。理解に苦しむが、特にキャリアのある女性に憎悪と言ってもいい感情を向けられている。他ならぬ自分でなく、日本国において最高権力者の地位につくのが他人であることが我慢出来ないのだろうか?
キャリアを目指す女性にとっても、散々言っていたガラスの天井が破れて、女性がトップに立つのは寿ぐことだと思うのだが…
更に自民党がどこまで公明党と破局的事態に突き進むのかという問題がある。首班指名はもう入れてもらえなくなったわけだが、比較第一党として高市早苗新総裁が首相になるのは今でもメインシナリオと言っていいだろう。
そうなった時、すぐに解散総選挙かもしれないが、補正予算を通してからとなると公明党も含めて、どこかの野党との連携は欠かせない。
また、解散総選挙しても、自民党が単独過半数を超えるのは現時点では考えにくいシナリオだし、参院で過半数を確保するのは早くても3年後だし、7月の参院選で大敗したので、単独過半数を取ることは不可能と言って良い。
そのため、公明党と早々と手を切ってしまうと、戦略的自由度を自ら手放すこととなるし、党内でも波乱を呼ぶだろう。
もっとも、公明党はわざわざ連立を離脱したにも関わらず、補正予算に賛成したとなれば、責任与党からいいとこ取りの無責任野党に堕したとの批判は免れないでしょうが…
恐らく、どうやっても国民から冷ややかな目で見られるのは避けられず、公明党はナラティブ形成に失敗し、党勢を衰退させるでしょう。


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