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南鳥島レアアース開発:日本が『負けないゲーム』をプレイする方法

高市総理の発言と背景

 南鳥島のレアアースの日米共同開発が2025年10月28日の日米首脳会談で上がり、2025年11月6日の代表質問に答える形で以下のような発言が高市総理からあった。(なお、レアアースはレイアースという表記が参院のネット配信の恐らく自動の議事録ではされていたが、こちらで修正した)

高市総理:特にこだわった成果はレアアース等の共同開発でございます。科学的な調査により日本の南鳥島周辺の海底にはレイアウトを含む映像が豊富に存在していることが判明しております。現在、更なる調査やレアアースの最初手法の研究開発を進めています。来年1月には水深6000mからレアアースでを引き上げるための技術的な実証試験を予定しています。レアアースの多様な調達する手段を確保するということは、日米双方にとって重要であり、南鳥島周辺海域でのレアアース開発についても、日米間の具体的な協力の進め方を検討してまいります。

 この発言を見るとおり、検討であって、日米間での具体的な進行があるわけではないが、これで日本は資源国になる!とか、こんな美味しい話にアメリカをかませるのは悔しいだとか、ケシカランだとか、アメリカに全部持っていかれるのではという心配をしている人までいて、思わずため息が出たが、このアラスカの天然ガスパイプラインぐらい筋悪の南鳥島レアアース採掘という赤字必須の地雷案件について基本的なことを解説しようと思う。

深海採掘の現実

 まず、レアアース泥は深海6000mの海底にあって、南鳥島から歩いて掬って取れてハッピーなんて代物ではなく、現時点でも試験的な採取に漸く成功しているレベルであって、商業レベルでの採取など夢のまた夢という状況である。

中国のレアアース覇権の構造

 そもそもレアアースの覇権を何故、中国がその手にしたかと言うと、環境破壊を全く気にせずに、環境コストを外部化して、低廉な価格で輸出しまくったことで、中国以外のレアアース採掘事業が採算割れしたり、事業化のめどがつかなくなり、大幅な補助金を出すか、アメリカがやったように、買い取り補償をして初めて事業を継続できるという惨状となっている。

 更に、その採掘したレアアースは分類して峻別し、それを商用利用できるように精錬する工程が必要になるわけだが、その最終工程のシェアを中国が90%以上握っている状態になっている。

 川上から川下まで、中国が握っていて、だからこそ問題になっているのだが、大量に資源が眠っているので掘ればそれで大勝利!なんて簡単な話ではない。

環境負荷とコスト競争力

 幸い、地上での採掘に対して、南鳥島沖のレアアース泥採掘であれば、まともに環境負荷を気にして採掘をしなければならない国に対しては、放射能問題が比較的小さいことや、深海のため本質的には生態系の問題などを過剰に取り上げなければ無視できる問題であって、地上での採掘に比べれば遥かに環境問題が小さく、その点では競争力があるといえる。

 しかし、それでも採掘コストがあまりに高く、中国産のレアアースには価格面で対抗できないという問題は残る。

 また、商業採掘を開始しようとした時点で、サウジアラビアがシェールオイルを潰そうと、石油価格をダンピングしたように、中国はレアアースのダンピングを行うだろう。実際、それによってMPマテリアルズは厳しい状況に追い込まれていた。

 そのため、経済安全保障上の必要性を除くと開発には経済合理性はないと言える。

日米共同開発の戦略的意味

 さて、その上でどうこの資源を日本は利用すべきだろうか?

 まず、日米共同開発という話をぶち上げたのは悪い話ではない。どうせトランプの任期中に採掘が開始されるというような話ではないが、この筋悪な話への投資するというポーズだけでも、開発に数兆円かかりまーすということにして、これを5500億ドルの投資に含ませて、実行しないで終わるなら、せいぜい調査費用を失うだけで済むのでまだ傷は浅くて済むし、まぁ万々歳である。さらに、中国に対しての牽制には一応なる。

 これはいわば絵に描いた餅をトランプに食わせるパターンと言えるだろうか。

真剣に開発する場合の選択肢

 では、真面目にこれを開発する場合はどうすればいいだろうか?日米の防衛産業で算出されたレアアースの買い取りを保証するという手がある。MPマテリアルズに対してトランプ政権が行った手法だが、精錬はアメリカでという話になるだろうが、精錬工場まで手を出さないで済むのは助かる話だ。恐らく、5500億ドルの投資に含まれる形になるだろうが、実際は大赤字の補填を国民が実質的に負担するという話なので、あまりうまくない。

 これは、日本が一番リスクを負う形になるため、最悪のパターンと言えよう。

最良のパターン:多国間共同開発

 一番いいコースは、まず国際共同開発という形に持っていく。アメリカだけでなく、中国に依存したくないインドとオーストラリアといった国々や、自国にレアアースがない国、あっても環境問題で採掘できない国、環境問題を気にして中国産の使用をやめたがっているEU諸国などがパートナーとなりうる。

 日本はこれらのパートナー国と企業に採掘権と権益を売却して、一部権益を残して資源の入手性を確保しつつ、リスクをパートナー国と企業に負担させて、美味しいところだけをいただく。

 日米以外もかませる理由は、経済安全保障上の理由で、まず中国と戦争状態になった場合、すなわち台湾有事が想定されるが、それに巻き込まれるもしくは台湾防衛に参加した日米だけでは、南鳥島が攻撃されるリスクが有り、供給遮断リスクが残るが、多国間枠組みとしてEU諸国にインド・オーストラリア・イギリスといった準同盟国が参加している共同開発とすることで、攻撃した場合敵を増やすリスクを中国側は気にしなければならず、船舶の通行妨害などは行っても、攻撃までは出来ないことになる。

 その意味でも、多数の国の参加が望ましい。

 さらに、多国間の枠組みとして、かつ環境を気にするEU諸国が参画すると、EU側でこれを成功させるために、中国産のレアアースに環境課税を行うという話が進展するだろう。これはEUと中国間の離間につながり、日本にとってはプラスになる。

 資源国として一番美味しい振る舞いをする理想のパターンと言える。

 ぜひ高市総理には最後のパターンで最高の国益を追求していただきたいと思う。

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