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Conversation

ご提示いただいた3つの懸念点(チェック機能、柔軟性、財政規律)について、なぜそれらが「現状の単年度主義」への批判としては正しくても、今回提案されている「レベニューキャップ(歳出上限付き複数年度予算)」には当てはまらないのか、詳細に解説します。 まず、「財政規律の問題(予算膨張)」について。 「一度決めたら削減しにくく、膨張し続ける」というご指摘ですが、現実は真逆です。 現在の単年度制度では、「今年中に予算を使い切らないと、翌年の予算を減らされる」という強迫観念が現場に働きます。これが、日本中で見られる「年度末の無駄な道路工事」や「不要な備品購入」の正体です。「単年度チェック」があるからこそ、逆に「無駄使い」が強制されているのが実態です。 対して、新しい仕組み(キャップ制)は、「上限(キャップ)は固定するが、節約して浮いたお金は没収せず、翌年以降の投資に回してよい」というルールです。 こうなると、現場は「無駄遣いして消す」よりも「節約して未来に使う」ことを選びます。 「使い切りを強制するシステム」から「節約が得になるシステム」へ。人間の心理(インセンティブ)を正しく設計し直すことで、結果として予算の膨張は止まります。 次に、「柔軟性の喪失(災害対応など)」について。 これも誤解です。複数年度で固定するのはあくまで「当初予算(計画的な事業)」の部分です。 災害や経済危機といった予期せぬ事態には、これまで通り「補正予算」や「予備費」で対応します。複数年度予算を導入したからといって、緊急対応のルートが閉ざされるわけではありません。「家のローンの計画(固定)」と「急病時の医療費(緊急)」が別物であるのと同じです。 最後に、「議会のチェック機能の低下」について。 「毎年審議しないと監視が弱まる」とお考えのようですが、形式的な儀式を繰り返すことが本当に「監視」でしょうか? 現状は、膨大な予算書の「入り口(見積もり)」を短期間で眺めてハンコを押しているに過ぎません。 改革後は、5年単位で大きな枠組みを承認する代わりに、「出口(結果)」を厳しく問う形に変わります。「計画通りに成果が出たか? 出ていなければ次期の予算枠を剥奪する」という、より実効性の高い事後統制(ガバナンス)へと進化するのです。 「前例通りの儀式を守ること」と「実質的なコントロールを効かせること」は違います。 無駄を温存させてきたこれまでの常識を疑い、結果が出る仕組みに変える。それが今回の改革の本質です。