豊洲一の「嫌われ者」?すしざんまいが6年ぶりに《マグロ初セリ》に動いた“まったく粋じゃない”ウラ事情

新春の風物詩として知られる、東京・豊洲市場でのマグロの初セリ。今月5日朝、最高級ブランドの青森県大間産の本マグロが姿を現すと、5億1030万円の史上最高値で競り落とされた。

落札者は「お寿司と言えば!」の掛け声でおなじみ、寿司チェーン「すしざんまい」を展開する喜代村の社長・木村清氏。同氏は2019年のマグロの初セリでも、当時最高値となる3億3360万円で競り落としていたが、今回は実に“6年ぶり”の落札、記録更新となった。

だが、そんなおめでたいニュースとは裏腹に、市場関係者は意外にも冷ややかで「あれは粋じゃないね」とバッサリ。また、同業他社の寿司チェーン店の経営陣も一様に「木村さんはだいぶ無理したね。相当会社が切羽詰まってるんだろう」とつぶやく。

いったい今回のマグロ初セリの裏側には、すしざんまいのどんな事情、思惑が隠されているのか――。

「粋じゃない」と名指しで非難されても

Photo by GettyImages(写真は2020年1月撮影)
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そもそもなぜ、新春恒例の「マグロ初セリ」はなぜ“粋”と言われるのか。その時期に初めて漁獲・収穫される「初物」は、その時期に初めて収穫・漁獲される食材を指し、総じて縁起がよく、福を呼ぶといわれている。「初物を食べると七十五日寿命がのびる」なんてことわざもあるくらいだ。

同時に、マグロを水準よりも高値で落札することは漁師や漁協組合など漁業関係者にとっての“ご祝儀”になる。ただでさえマグロはそもそも仕入れ値が高く、握り寿司ではウニなどと並んで特に原価率が高いネタ。今回、すしざんまいは5億1030万円で落札しているが、一貫あたりおよそ5万円でも元が取れるか分からない計算だ。

それを通常料金で客に提供するとなれば、当然店側は大赤字。ゆえに、身を切ってでも日頃からお世話になっている関係各所、そしてお客様に“還元したい”という姿勢を受けて、“粋”と表現するわけだ。

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ところが、「すしざんまい」に至ってはこれに当てはまらない、と市場関係者たちは口々に言う。波紋を呼んだのが、初競りから翌々日の1月7日、都内の有名寿司店「新橋鶴八」が自身のSNS「Threads(スレッズ)」アカウントに投稿した内容だ。

〈豊洲市場の鮪の卸業者からは、すしざんまいは通年冷凍の養殖マグロしか買わないのに、年始の初セリの時、生の本鮪を買うので好意の目はありません。やはり、通年生の本鮪を買ってくれる方に初セリの鮪を買ってほしいようですが。すしざんまいに限らず、独自のルートで仕入れをする方は、豊洲市場でのウケは悪いです。(以下略)〉

消費者目線なら「1年に1度でも5億円の大金を落とすなら十分、上客では」と思いがちだが、実際にはそうとはならず、豊洲市場のすしざんまいに対する見方はかなり厳しいものになっているようだ。このままでは「豊洲一の嫌われ者」となってしまう恐れさえある。

ただ、どれだけ周囲に「粋じゃない」と批判されようと、今回のマグロ初セリはすしざんまいにとって“至上命題”だったのかもしれない。その背景について、業界に詳しい回転寿司評論家の米川伸生氏が解説する。

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