浜岡原発のデータ不正問題で原子炉の再稼働は遠のきましたが、それは同時に原発の立地する静岡県御前崎市の財政に影を落とすことも意味します。
すでに税収はピーク時から約4割減っていて、市民からは「このまちが死んでしまう」という声も聞かれます。
蔵書数県内トップクラスの図書館、予算は減少
<鈴木康太記者>
「こちらの図書館は浜岡原発によって国から得られる交付金などで建てられました」
御前崎市立図書館の「アスパル」です。 蔵書数は29万冊。人口当たりの蔵書数は静岡県内トップクラスで、年間約10万人以上が利用しています。
しかし、建設から30年以上が経過し、維持費がかさんでいる実情があります。
<御前崎市立図書館 市川幸治館長>
「やはり老朽化ですとか目立っている。財政状況の厳しい中で優先的に順位を決めながら修繕をしている」
本の購入費の予算は、ここ数年約100万円ずつ減少しています。背景にあるのは、原発によって左右される街の構造です。
データ不正で再稼働審査は"凍結"
1月15日、浜岡原発が立地する御前崎市役所を訪れた中部電力の林欣吾社長は、「今回のこと極めて重く受け止め深くお詫び申し上げる。申し訳ございませんでした」と謝罪しました。
浜岡原発の再稼働審査をめぐってデータを不正に操作したことが発覚し、再稼働に向けた審査は"凍結"されました。
<御前崎市 阿南澄夫市議>
「停止以来15年となってしまって、市財政経済疲弊して、財政状況も厳しい。ここにきて再稼働が一段と延びたことは、なお疲弊する可能性がある」
税収はピーク時の6割まで減少
御前崎市はこれまで浜岡原発が立地していることで、国からの交付金や固定資産税などの税収を得てきました。
しかし、2011年の東日本大震災を契機に原子炉がすべて停止したことで、状況は大きく変わりました。
<御前崎市財政課 齋藤大輔係長>
「税収としましては年々減少していっている」
御前崎市の税収は2006年度の115億6000万円をピークに右肩下がりとなり、2024年度には67億円ほどに。ピーク時の約6割にまで減少しました。
原発施設の減価償却だけが進み固定資産税は減り、原発で働く関係者も少なくなるため、地域経済の活性化とはほど遠い状況です。
市民「原発に依存しないとだめなまち」
<市民>
「早く稼働してもらわないとこのまち死んじゃう。このまちは産業がないもんで、原発に依存しないとだめなまちなんですよ」
御前崎市長を3期12年務めた石原茂雄さんは、市の構造転換の必要性を示唆します。
<元御前崎市長 石原茂雄さん>
「いつしか50年の間にそれ(原発)に甘え切っちゃっている、もう完全に。やっぱり中電ももう一回ゼロからちゃんとやる、やるならやるで、市民も『悪いものは悪い』、『いいものはいい』で考えていかないといけないと思う」
市民プールも値上げ…問われる構造転換
財政難の影響は各方面に広がっています。 交付金を使って整備された市民プール「ぷるる」では、施設の老朽化に伴う改修工事などによって、2025年7月から利用料金の大幅な値上げをしました。
産業構造のあり方が問われる中、行政だけでなく市民を巻き込んだ議論と行動が求められています。