もう限界…建設・物流で「人手不足倒産」過去最多、2026年も続く「現場崩壊」の正体
人手不足を理由に倒産する企業が建設・物流で急増している。帝国データバンク(TDB)の調査によると2025年の人手不足倒産は427件で過去最多を更新し、建設は113件、物流は52件といずれも最多だった。この原因をひも解くと、働き方改革の影響や、中小企業の経営面の問題が浮かび上がってきた。本稿では、人手不足倒産が増加した理由とともに、倒産リスクを高める条件や、企業が取るべき行動などについて解説する。 【画像付き記事全文はこちら】
建設も物流も「過去最多」の人手不足倒産
「人が足りない」だけで企業が倒れるのか。そうした疑問が広がるのは、建設・物流の倒産が“需要の減少”とは別の理由で増えているためだ。 帝国データバンク(TDB)は、従業員の退職や採用難、人件費高騰などを要因とする「人手不足倒産」(法的整理、負債1,000万円以上)を集計し、2025年は427件と公表した。前年の342件から24.9%増え、初めて年間で400件を超えた。業種別では建設業が113件、物流業が52件で、いずれも過去最多だった。 小規模企業ほど人手不足の打撃は重い。人手不足倒産の77.0%は従業員10人未満の企業だった。1人欠けただけで工程や運行が止まり、代替要員も確保できない。結果として、受注を抱えたまま資金繰りが崩れる。 表面上は「採用できない」「辞める」といった話に見える。ただし現場の感覚では、単に人が減ったのではなく、仕事の回し方そのものが“成立しにくくなった”側面が大きい。 ではなぜこうした事態が起きたのか。その理由をひも解き、企業が取るべき行動について解説する。
【理由1】残業前提をNGにした「働き方改革」
まず背景として押さえるべきが「2024年問題」だ。働き方改革関連の時間外労働の上限規制について、建設業や自動車運転の業務などに設けられていた猶予期間が2024年3月末で終わり、2024年4月から規制が適用された。 厚生労働省は、自動車運転の業務では特別条項付き三六協定を結んだ場合、従来は実質的に青天井だった時間外労働の上限を年960時間とした。一方、他業種で適用される一部の規制(たとえば、月45時間を超えられるのは年6カ月まで等)は適用されないと整理している。このため、長時間労働に依存した働かせ方は取りにくくなり、上限の枠内で運行を組み替えることが求められるのだ。 建設業については、上限規制を他の業種同様に720時間で適用。ただし、災害復旧・復興の事業では、時間外労働と休日労働の合計について月100時間未満、2~6カ月平均80時間以内とする規制が適用されないなど、例外がある。長時間労働に頼った供給力が縮み、しわ寄せが中小の現場に集中しやすい構図が生まれている。 現場の制約が強まると、倒産は建設・物流の内側にとどまらない。製造業にとっても、輸送の遅れは部品の欠品や在庫の積み増しにつながり、工場の稼働計画を揺るがす。工場新設や設備更新を担う建設の停滞は、投資計画の後ろ倒しを招く。人手不足倒産の増加は、供給網の“薄さ”が露見した結果でもある。 なお時間外労働の上限規制は「月45時間・年360時間」が原則で、臨時的な特別の事情がある場合に限り特別条項付き三六協定で上限を引き上げる仕組みだ。