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蘇枋くんにその気にさせられるだけ/Novel by なぎ

蘇枋くんにその気にさせられるだけ

3,772 character(s)7 mins

指ふぇ…をされたり、したり。ギリ全年齢です。
おてての作画が素晴らしくて、手指が大変やらしくて最高だなって思っています。
蘇枋くんって指とか舌、長そうですよね。

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うわぁ。指、綺麗だな……。
一度そう思ってしまったら、意識してしまうまでに時間はかからなかった。膝のうえに揃えられた手に、慎ましく整えられている指先。もしくは後ろ手に結ばれていれば、割れてすらいない、艶々とした爪が見え隠れして私を虜にしていた。
ティーカップのハンドルにきれいに纏った指先に釘付けになれば、「指を通さない持ち方が正しいんだよ」なんて追い打ちがかかる。そうなんだと笑って誤魔化したつもりになっていたけれど、こ、こんなにひとの手ばかり見て、気持ち悪がられない……?
じんわりと焦りを覚えたのは、そんな蘇枋くんの手指を視線で追いかけていると気がついたとき。重ねる手を変えるのに、もう片手がゆるやかに手首に絡まるのを思わずじいと見つめてしまった。熱心な目線をぶつけてしまったのか、それとも偶々なのか。「どうしたの?」と涼やかな声が聞こえて、首が取れるほど横に振りながらなんでもない!と喉元から言葉がすべる、すべる。そっかと返事をされて、大きく、それでいて静かに息を吐いて早くなった鼓動をしずめることに集中していた。

「ほら、帰ろうか」

だからこそいつも通りに差し出された手に、心臓がまろびでそうになって、ひとみがまんまるになって、情けない声と同時に体が竦む。
明らかな挙動不審に、かわりばんこに蘇枋くんのひとみがまるくなった。幾分もしないうちにゆるく上がっていた眉が八の字になって、驚かせちゃったかな、と私を気遣う声がするものだから、申し訳なさでいっぱいになる。

「あ、いや、考え事……!してて!
大丈夫、あの……手、ありがとう……」
「……。ううん、大丈夫だよ」

そっととられた手が、じんわりと熱をもって重なっていく。包まれる感覚に、ひとりで張りつめていた緊張が解されていくのがわかる。蘇枋くんも体温は高いほうではないと思うけど……触れている部分はほんのりと温かみがあって、なんだか可愛く思えてしまう。
静かに絡まってくる指先に大げさに手が震えた。こんなんじゃ変なひとだし、百面相してるのも見られるのは恥ずかしい……。あくまで、あくまでも私もいつも通りにと努めて、ゆるりと握り返す。絡まりきらない指に、綺麗な指先の蘇枋くんもやっぱり男の子なんだなあと、かえって思考がまとまらなかった。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


気にしすぎかも。
自戒のように胸中でそう唱える。ひとつひとつの仕草に、ん、と息を呑んでしまうのは、さすがにおかしい……!いままでやってくれていたことに、目がまわるほどに余計な考えがついてまわるのだ。

「最近、考え事が多いね」

まだ額の触れる距離感、そんなことないよと返すよりも先に、また唇が重なる。柔らかさより、舌先の甘さより、何より。髪を梳く指先と重ねられた手のひらに意識が向いてしまう。蘇枋くんとの触れ合いに気がそぞろだなんて、と思う反面、それもこれも蘇枋くんのせいなのにと擦り付けたい自分がいる。
離れた先から、下せなかった唾液が端からこぼれた。それを彼の親指が拭って、口内に押し込んでくる。反射的に否応なしに吸いついて、ちゅう、と音をたてて舐め取った。……けれど、いつまでも指が離れていかなくて、そのまま感触を楽しむように指の腹が往復する。あの、と声を上げようしたところを見計らうかのようにして下唇を撫でていた親指の先を食まされた。かち、と蘇枋くんの爪に歯をたててしまって、あわてて唇を離そうと薄く口を開く。
途端、舌のざらつきに沿わせるように、蘇枋くんの親指が侵入して、ぬるぬると前後する。くちゅりと音をたてながら舌の根本を指のおなかで押されて、苦しさと驚きで喉がきゅっと締まった。顎に添えられている指が、喉元に触れてくすぐったい。なにをされているのかわからなくて、蘇枋くんに助けを求めるように視線を促した。自然に喉奥からでてきた唾液が、蘇枋くんの指をよごしているのがわかる。本人はといえば私の様子を鑑みてはしゃらりと首を傾けて、至極満足気な表情でいた。

「考え事はまとまったかな?」
「……っ、ぇ……ぅ……」
「物欲しそうにしてたと思ったんだけど」

違ったかな、と言葉を追いながら蘇枋くんは指をゆっくりと引き抜いてくれて、唇の間に糸がたれる。生理的なものか羞恥なのかわからないくらい顔が熱くてあつくて、じんわりと張った膜が崩れて目尻から伝う。蘇枋くんの瞳が見られない。呼吸を整える風を装って、だんまりを決め込んだ。かといって逃げる場所もなくって、もういちどゆるりと重ねられる手のひらが、先ほどよりあたたかくて、……あつくて。蘇枋くんも少なからず気持ちが昂っているのだとわかってしまう。手の甲を長い指が滑る。
……あ。また、目で追ってしまった。欲しくないと言うのも違うし、欲しかったと答えるのも違う。答えあぐねて視線をさまよわせてしまう。いごこちの悪さから縮こまるからだで、蘇枋くんの手が遊ぶ。ゆるく覆っていた手のひらはとうに離れていて、首元を辿ってそのまま頬に添う。蘇枋くんに、顔があついのがばれてしまう。自分のほうが背が高いくせして、わざとらしく覗き込んでくるボルドーは今日も綺麗だった。
また、すぐにでも触れてしまえる距離に、蘇枋くんがいる。顔にかかってくすぐっている髪を耳にかけてあげると、うれしそうに瞳が細まって、きゅんと自分の心臓が鳴った気がした。

「オレはこういうこと、たくさんしたいと思ってるけど」
「……、うん、」
「……君は、考えてくれてた?」

ずるい聞き方だけれど、それすらも好きだった。頷くのも、言葉で答えるのも許してくれないような気がして、そっと自分から触れる。ゆっくりと重なる唇が受け入れられて、ぎゅうと瞑った視界のかわりに、後頭部を梳く手のひらに胸がいっぱいになる。暫し柔らかく重なって、最後には名残惜しそうに軽く吸われて、ぴくりとからだが震える。たったこれだけで力が抜けてしまうけれど、蘇枋くんは何ともない表情で、私を伺うだけだ。あがっている口角がやけに楽しげにゆるんでいることを除けば、いつも通り。だからこれは意趣返しでもなんでもなくて、ここ最近ずっと考えていたことだ。

「私、……私もね、」
「……うん」
「……もっと、いっぱい……、ほしい、よ」

たとえば、これ。
彼の手をとって、いつもは触れられない、触れづらい指先を食んだ。1度だけひとみが開かれて、ゆるりと目尻が垂れる。好きにされてくれる蘇枋くんに調子づいて、そのまま舌を伸ばしてと舐めとった。喧嘩しているとは思えないくらいなめらかなのに、ところどころ筋張った部分が感じられる。やっぱり自分とは違う手なんだなぁと思うだけで、お腹の奥ががきゅうとする。恐らく癖で手を組んでいるから、あんまり触れる機会がない。本当はもっと手を握りたいし、頭も撫でてほしい。蘇枋くんが考えているより、きっと私はよくばりだ。今こうして、私の好きにさせてくれている蘇枋くんが、好きでたまらない。独り占めをさせてくれるものだから、まだ、離したくない。だけれど第1関節ほどしか、このままでは届かない。えづくほど咥え込む勇気はないので、纏わせていた舌をおとなしく引っ込めた。整えられた爪をなぞって、ゆっくりと唇を離す。口内にたまっていた唾液が喉をおりる感覚がして、自分だけ興奮しているようで恥ずかしかった。

「ふふ、可愛かったよ。
オレの指、がんばって舐めてくれるところ」
「い……いわなくて、いいから」
「本当のことなんだけどなあ」

すっかり上機嫌な蘇枋くんが、首元に、耳の縁に、目尻に口付けていく。本当に触れるだけなのだけど、これがまたくすぐったくて、きもちがいい。ぼんやりとした感覚のうちにふいに手を取られて、視線をあげる。形の良い唇に挟まれる自分の人さし指に、すべての神経が集まった気がした。悲鳴にも近い情けない声がでて身を引いたけれど、宥めるような手つきで腰を撫でた。薄い舌先が微かに見え隠れして、指に纏う感覚がする。ちゅ、ちゅく、と水音が響く。のみこまれる指も、軽く吸い上げられるのも、それから指のお腹をひとなでされるだけで、こんなにもきもちがいい。
オレだけかと思ってたから嬉しいよ、とひとしきり遊ばれたあとに、蘇枋くんが唇を離して囁く。

「だ、だって……蘇枋くんの手、綺麗で、」
「……ん」
「すきだから……」

ごにょ……とボリュームを絞ってしまった。だというのに、先々までわかっているような表情をして、蘇枋くんが至極嬉しそうに笑む。つかまっている手首から、彼の手指が上へなぞってくる。するりと絡まる指。いつもみたいに、絡まりきらない。まだ手、濡れてるのに。握り込まれた手がすごく熱い。

「オレ、もっと君とこういうことしたいな」

私をうかがうような目線じゃなくって、わざとらしく見上げるひとみでもなくって。握り返す手の力が強まった。返事を促されている気がして、喉がやけに渇く。私を見下ろしている蘇枋くんに顔をあげて、うれしそうに潤んでいる朱色を覗き込んだ。
蘇枋くんと、もっとたくさんしたい。
物音にかき消されてしまうような声に、「うん、オレも」と近い距離で聞こえた。

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