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蘇枋くんはこういうところがきっとある。/Novel by なぎ

蘇枋くんはこういうところがきっとある。

3,630 character(s)7 mins

えっちなことをしないと出られない部屋にぶちこんでいますが、全年齢です。
でも多少やらしいです。蘇枋くんだからしかたがない。

アニメを見て気がついたら漫画を購入していました。
蘇枋くんはずるい子で確信犯だろうなって思っています。
きっと人類共通認識。
恥ずかしくなったら消します。煩悩供養、鎮まれ。

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「観念して従ったほうが良さそうだね」
いつもはさらりとくすぐられて心地よい声音にみじめに泣きたくなってしまった。先ほど見たときと一言も違わない内容の電光掲示板を左に追って、なんともなしに言いのけてみせる蘇枋くんに思わず困った表情を送ってしまう。ん?と音声がついていそうなまんまるの瞳が返ってきて、傾けられた小首に可愛いなあとか思ってしまう。ひとり葛藤している最中、彼の発言は私のなかではおっきな爆弾そのもので、どうしてそんなこと言うの、と喉元まで出かけていた不平はまあるい瞳に免じてなんとか飲み下した。至極真面目に言っているんだとわかってしまうのもなんだか空しい。でも、まぁ、それもそうか。既に小一時間出られる方法があるか探して、何もなくて、途方に暮れて、ご丁寧に据えられたベッドを横目に見やるしかなくなった頃合なのだ。でも、でも、だからといって。抵抗がないわけではない。蘇枋くん相手だからどうこうじゃなくって。……それもあるけれど……ここに示されているのは、

「えっちなことかあ。何回みても変わらないね」
「…………うん」

ね、と向けられた笑顔に背いて床に返事をする。
なんでこんなことに……。これに至る状況の説明なんてあまりにも無意味で、そんなの素数を数えるに等しい。ただの現実逃避にしかなってくれない。問題なのはいまこうやって、彼と一緒にこの場にいて。これをやるか否か……。ううん……彼がどう思っているかが気になってしまってしかたなくて、さっきからそればかりだ。つきりと容赦なく刺さる視線がとっても痛い。蘇枋くんはこっちばかり見ないでほしい。返事、するから。それになにえっちなことって。ほかにも書き方あるじゃん。せめて具体的に書いて、いややっぱりそれも嫌……。しゃがみこんでのの字でも書き出しそうな私に、どうする?と追撃してくる蘇枋くんに喉が引き攣った。やりたい、ううんやりたくない。やらなきゃ。そんなこと口が裂けても言えない。私は……満更でもないというかちょっとうれしいけど、こんな場なのかとか、私だけ喜んでいるよなあとか。ひとり浮かれそうな一方通行な気持ちを、必死こいて氷水に浸している状況だ。蘇枋くんもこんなこと、したくないわけじゃないかもしれない、けど。居合わせたのが私だから。きっとほかの女の子でも出るためならやっぱりやるんだろうなって、そう考えないほうがおかしかった。
なんて返事をするべきかと逡巡するのと同じくしてさまよわせていた目線を彼にやれば、いつもと変わらない表情だ。こんな事態でもどこか楽しげに見えてしまう。あれ?案外嫌じゃないのかも?と一瞬考えたが、やるのかやらないのか、と急かすということは一刻も早く出たいのだろうと思考が傾く。居心地悪いよね。私もはやく出たい……。きゅぅと噛んでいた唇をゆるめたというのに、「あの、」と喉元から出たのは上擦った細い声で恥ずかしいことこのうえない。

「うん。なに?」

ゆったりと続きを促されて、目がぐるぐると回って、倒れ伏してしまいそうなくらい顔が熱い。横を向いていたからだが、私のほうに向きなおるのがわかった。蘇枋くんは人の話を聞くときに、必ずそのひとのほうを向いて、態勢を整えてくれる。……こんな、ときでも。

「するっ……の、えと……する、けど……」

蘇枋くんは……そういうこと……私相手で、嫌じゃないの……。たどたどしくて、尻すぼみになって、そんな言葉にやがてかかってくると思っていた声がなくて不安になる。あげていた目線も言葉とともに萎んでいって、いまや真っ白い床が眩しい限りだ。少しうえから「うぅん」と声がして、言葉に詰まっているのがわかる。そ、そうだよね……乗り気なわけないもんね、と真っ白い床が歪んできたころに、視界の端っこに映っていたつま先がゆっくりと浮く。わかりきったことを聞くと呆れられてしまったのだろうか。さがりきった眉をそのままに、遠ざかるかと見つめていたつま先がこちらに向かってきて緊張で喉が締まる。強張ったからだを引きずろうとしてもうまくいかず、ベッドのふちにあたった膝裏が容易く折れて、重心が後ろに傾いた。

「す、っ、ん……」

ぽふ、と沈んでいくかと思えばゆるく抱き留められて、呼ぼうとした声はとどめに吸い付かれてしまった。驚愕からつっぱった手はなんの抵抗の意もなさず、角度を変えてやわらかく重なるたびによわく握ることしか、できなくて。2度、3度。最後には楽しむようにやわく食まれて、もう、あたまがおかくしなってしまいそうだった。な、なに、なんで、と喉から絞り出せない気持ちが瞳に薄膜を張る。
蘇枋くんはといえば、宥めるようにして私の耳裏をなでて、時折髪に指をひっかけてはくるくると巻いて遊んでいた。まとまらないよ、なんにも。

「ねえ」

かかる声に、視線がくっとあがる。にこ、と効果音でもつきそうなほど笑んでいて、頭上のクエスチョンマークの数が耳ざわりなくらいに増えていく。

「オレとこういうことするの、嫌?」

薄らと開いた色に吸いこまれて、目が離せなくなってしまった。ううん、いやじゃない。きちんと答えたいのに声が出なくて、ただ首を横に振ることしかできない。それでも蘇枋くんはそれをみて、またやわらかく微笑みを携える。嫌じゃなくてよかった、って近くで声がしたなぁと思っているうちに、促されるがままにせなかがシーツに乗っかった。2人分の重みをうけて、やや耳ざわりのわるい音が響くものだから、それすらもはずかしい。こんなの夢だとかえって現実逃避をしたい私がわめいてしまってしかたがない。重力に従って垂れるタッセルが首筋をくすぐった。いっつも見上げていたのに。揺れているのを、見ていたのに。ふるえた唇を舌先でつつかれて、あ、と思いながらあけてしまう。うれしそうにゆるむ目元に過剰にうごく心臓が疲れてとまってしまいそうだった。からまる音とか、すくわれて吸われる感覚とか、ぼんやりするのに、うれしくて、きもちがよくて癖になってしまいそうでこわい。縮こまるからだをなぞられて、息なのか声なのかわからないものが漏れでてしまう。そのまま、なにもなくって。ぎゅ、とつむっていた瞳を重たくしながら視界を開けさせた。笑っているのに、いつもどおりじゃない蘇枋くん、だ。まじわった視線を逸らせずにいて、いいわけがほしくてことばを紡ごうとする。それよりもまえに、吸いつかれた首元の痛みに眉をひそめてしまった。その箇所を舌がなぞって、最後に軽くもういちど、ちゅうと吸われる感覚がする。

「……ふ、あはは。されるがままだ」

からかわれてる?遊ばれてる?どっちともわからない、どちらも似た言葉に熱くなっていたからだも冷えていきそうだった。やっぱり夢だったのかもとか、都合よすぎたかもとか、今度はあたまのなかがぐるぐるし始める。また、宥めるように耳裏をくすぐられる。さっきは思わなかったけれど、まるで犬猫にするみたいだななんて呑気なことを考えてしまった。

「……、あ」
「……?」
「大丈夫。オレはやりたくてやってるから」

それは、そうでしょう。どちらの意図ともはかりしれなくても、蘇枋くんがいま楽しんでいるのは紛れもない事実だとは思う。私はその真意が知りたいけれど、蘇枋くんはそれをわざわざ口にするひとじゃないって、知ってしまっている。だからこんなに、一挙一動に勝手に喜んだり沈んだりしている、……のに……?しゃらりと揺れて、また彼が首を傾ける。笑っているなかでも、こちらの言葉を待ってくれているときだ。かなしいくらい好きなせいで、そんなことを思ってしまう。こたえを求められて、なにを口にすればいいのかわからずに目線だけが忙しなく動いてくれた。

「……あの、すお、蘇枋くん、」
「うん、なあに」
「いやじゃ……ないから、へいきだから」

まわらない口は相変わらず思いを乗せるだけで精一杯だった。うん、と返ってくる声がやさしくて、うう~~好きだなぁとじんわりと頬に熱があつまる。さっきはびっくりして退けようとした手を、ゆっくりと持ち上げて蘇枋くんの裾をつかむ。私ばかり言わされているのは、恥ずかしい思いをしているのは、もう勘弁してほしい。どうせわかっているんだ蘇枋くんだって。言わなくてもわかっていることを、言わせたがるから。きゅ、と皺のよった服からやや目線をあげて、彼を伺えば、ちょっとだけ目をまあるくさせて、そのままみかづきになった。くすぐって遊んでいた指が離れて、もう片方と同様に顔の横に置かれる。あのさ、と前置きをした蘇枋くんを見上げて、彼の言葉の続きを待つ。

「どこからがえっちなことなんだろうね?」

それは、そういうことをするって意味じゃ……?
こたえを待たない蘇枋くんの影が重なって、反射的に目を瞑る。すこし離れたところで、キィ、と高い音がしていた。

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