筆者が危惧していた通り、日本の通信機器ベンダーの事業撤退が相次いでいる。技術や人材をつなぐ道筋を見つけなくてはならない。
筆者は昨年9月、このコラムで「日本製の通信機器、消滅の危機」というタイトルの記事を書き、警鐘を鳴らした。関係者への取材を通して、携帯電話の基地局などを開発・製造する通信機器ベンダーが苦境に陥っていることが漏れ伝わっていたからだ。2025年末にかけて、この警鐘が現実になってしまった。
例えば基地局事業に再参入したばかりの京セラが、事業継続を断念したことが明らかになった。NECも、基地局の機器開発を中止しソフトウエア分野に開発を絞り込むと25年末に日本経済新聞が報じている。
確かに基地局分野では、国内ベンダーと、スウェーデンのエリクソンやフィンランドのノキアといった海外大手ベンダーとの間で、市場シェアはもちろん性能面でも埋めがたい差が生じていた。経済合理性や資本の論理に従えば、海外ベンダーが市場を席巻するのも仕方がない状況にある。
しかし通信技術は、国民生活にとって欠かせない情報通信インフラを支えている。携帯電話サービスばかりではなく、警察・消防無線や鉄道・電力用無線など、国の安心・安全を支える技術としても活用されている。
このまま国内ベンダーの通信分野の事業が縮小していくと、日本からこうした技術のノウハウや人材が失われてしまう。これが一番の課題だ。
海外ベンダーの機器に頼りっきりになってしまうと、仮に経済安全保障上のリスクが生じた場合、上記のような国民生活を支えるインフラの維持が困難になる恐れがある。
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