Post

Conversation

昨日の中道改革連合の安保法制に関する基本政策の合意は、私としては、憲法や立憲主義に適合し、かつ、立憲民主の党見解と整合するものと考えています。高市総理の電撃解散を受けた急遽の新党結成の数日間の調整のため、コアの箇所に絞っての合意と理解していますが、以下、ご説明を申し上げます。 私は、立憲民主の安保調査会副会長を務めておりますが、この間、協議担当者を補佐する取組を重ねて参りました。 基本政策には、「平和安全法制に定める存立危機事態における自国防衛のための自衛権行使は合憲」という文言が記されています。 大事なことは、この文言が何を「合憲」としているかです。 このことについて、昨日1月19日の立憲民主、公明の両政調会長の記者会見では、「平和安全法制においては、集団的自衛権や個別的自衛権という文言そのものの規定はなく、この基本政策では、あくまでも存立危機事態において憲法上許容される自衛権行使を判断したもの」という趣旨の説明がなされています。 これについて、まず、公明党においては、7.1閣議決定以降、一貫して、限定的な集団的自衛権行使について、「限りなく個別的自衛権行使に匹敵するもの」(山口那津男前代表)という説明を行っています。 現在は党の常任顧問であられる山口前代表におかれては、「実質的に自国防衛のための「個別的自衛権」の範囲に限定した」(公明党ウェブサイト2025年7月12日「日本政治に公明党は必要」)とも説明されています。 さらに、竹内譲先生(中央幹事会会長代理)におかれても、「有事の際に日本防衛のために共同警備行動をしている米韓が攻撃を受けた際に防護する、というのが限界的な事例」(平成26年8月4日朝日新聞)と述べられています。 ここで、国際法上、自国防衛の名のもとに自国に対する武力攻撃が発生していないのに他国に武力行使を行うことは違法な行為である先制攻撃とされています。 ニカラグア事件の国際司法裁判所の判断においては、集団的自衛権行使の実質とはあくまでも他衛、すなわち、他国を守る権利であり、その防衛を受ける国からの援助の公式な要請が必要とされています。 このことについては、安保国会では宮﨑礼壹元内閣法制局長官が、「自国防衛と称して、攻撃を受けていないのに武力行使をするのは、違法とされる先制攻撃そのものであります」と明確に答弁され、同じく元内閣法制局長官である大森政輔弁護士も法律誌(ジュリスト有斐閣2015年7月)において同趣旨の見解を示されています。 すなわち、こうした公明党の基本的見解及び憲法98条2項で遵守が義務付けられている国際法の規範を踏まえれば、この度の基本政策において、存立危機事態の際に合憲と認められる自衛権行使については、「個別的自衛権または個別的自衛権と法的に同視し得るもの」という帰結になるものと考えられます。 具体的に言えば、日本防衛のために出動している米軍の艦船に対する外国軍の武力攻撃が同時に日本侵略の手段としても講じられているような局面です。 要するに、同盟国に対する武力攻撃が発生している局面である存立危機事態において、当該武力攻撃が同時に日本に対する武力攻撃の実質を有する局面のみの自衛権行使を合憲としているものと解されることになります。 これは、7.1閣議決定及び安保法制以前における歴代政府の9条解釈の基本論理の枠内のものであり、(憲法及び立憲主義に基づくことを旨とする)立憲民主党の党見解とも整合するものです。 また、基本政策のこの文言の前には、「憲法の専守防衛の範囲内における日米同盟を基軸とした抑止力・対処力の強化」とあり、米国との関係下での自衛権行使が憲法に基づく専守防衛の範囲内で厳格に運用されることが明記されています。 (基本政策が立脚する中道改革連合の綱領においても、「憲法の平和主義に基づく専守防衛を基本に、」(※1)と明記されています。) さらに、基本政策の前文では、「私たちは、立憲主義を政治の土台とし、権力の濫用を防ぎ、個人の尊厳と自由を守る。」と宣言しており、この自衛権行使について、憲法の許容する範囲に限った厳格な認定が徹底されるものと理解できます。 こうした意味では、「自国防衛のための自衛権行使」は、「自国防衛に当たる自衛権行使」という趣旨に解されるべきと思われます。 要するに、この度の中道改革連合の基本政策の合意とは、国際法及び憲法を遵守しつつ存立危機事態の局面において自衛権行使が合憲となるものを追求したものであると考えられます。 (それは同時に、互いに(法的あるいは事実上において)憲法にそぐわない部分と解される日本に対する武力攻撃が予測すらしえないホルムズ海峡事例(※2)等を除いたものとも解されます。) いずれにしても、今後の中道改革連合にあっては、7.1閣議決定及び安保法制については、それぞれが与党(公明党)、野党(立憲民主党)という異なる立場にあったことを踏まえつつ、憲法及び国際法を遵守し、その綱領及び基本政策前文にある「対立点を見極め、合意形成を積み重ねる中道政治の力」及び「対話と包摂を重んじる中道の立場」の実践を、国民国家のための安全保障政策の立案・実施のために尽くしていく必要があると考えます。 ※1 昭和の時代から一貫する政府の「専守防衛」の定義は、「相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢」とされています。   この「憲法の精神」について、歴代政府は、「全世界の国民が有する平和的生存権」など憲法前文が掲げる三つの平和主義の理念と説明していますが(昭和57年5月13日鈴木善幸総理答弁等)、中道改革連合の綱領の「憲法の平和主義に基づく専守防衛を基本に、」という文言はこのことを的確に表しているものです。 ※2 日本に武力攻撃を行う意思すらない国に対して、(いくら様々な条件を講じたとしても)日本が武力行使を行いその国の兵士や市民を殺傷し得る行為は、憲法前文に定める「全世界の国民が有する平和的生存権」などの平和主義の理念と矛盾し、同時に歴代政府解釈においてこれら前文の三つの平和主義の理念の具体化とされる憲法9条と矛盾するものと考えられます。   なお、公明党の山口代表におかれては、安保国会の最後にホルムズ海峡事例について、政府より、「現実問題として発生することを具体的に想定しているものではない」という画期的な答弁を(憲法前文の平和主義の理念に基づくものと拝察される質疑により)引き出されています。