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消費税減税、本当にできるの? 減収5兆円、物価高対策の効果疑問 市民は歓迎、識者「ばらまき」

衆院選で各党が公約に

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衆院選(キービジュアル)

 衆院選に向け、自民党は21日、高市早苗首相の方針を受けて「食料品消費税の2年間ゼロ」を盛り込んだ公約を発表した。中道改革連合も基本政策で税率ゼロを掲げている。市民からは物価高が続く中で「暮らしが楽になる」と歓迎する一方で、大幅な税収減のしわ寄せを懸念する声も。実現には課題も指摘されている。

 福岡市・天神の青果店で、5歳と1歳の孫のためにイチゴを購入していた市内の男性(71)は「毎日必要な食料品が実質1割引きとなれば、年金暮らしには本当に助かる。この年齢になると、支出の大半を食費が占めるから」と話した。

 首相は19日の記者会見で、食料品消費税の2年間ゼロの「実現に向けた検討を加速する」と表明。中道も税率ゼロの期間を「恒久的にしたい」と訴える。他の政党も食料品減税や消費税廃止などを主張している。

 2026年度の消費税収は約34兆円となる見込み。そのうち国の税収となる約6割は年金、医療、介護、少子化対策の社会保障4経費に充てられる。

 食料品消費税をゼロにした場合、年間約5兆円の税収減になるとされる。首相は、超党派の「国民会議」を早期に立ち上げて財源を検討するとし、赤字国債に依存せず、補助金や租税特別措置の見直しなどを例に挙げる。

 だがガソリン税などの暫定税率廃止と、高校授業料などの教育無償化の財源も、必要な2兆2千億円のうち1兆4千億円しか確保できていないのが現状だ。

 小学3年と同1年の娘2人を育てる福岡市中央区のシングルマザー(42)は、「財源が足りなくて選挙後に『やっぱり減税はできない』と言い出すのではないか」と疑念を口にする。

 福岡県新宮町のパート女性(50)も「歴代の首相が『消費税は社会保障に必要だ』とずっと減税を否定してきた。急に方針転換して大丈夫なのか。将来受け取る年金額などに影響しないか心配だ」と話し、財源を明示するよう求めた。

 第一生命経済研究所の熊野英生氏は「財源の穴埋めのため、歳出の多くを占める社会保障関係費の削減は避けられず、高齢社会には痛みが大きい。各党は、ばらまき的で近視眼的すぎる」と批判する。

 物価高対策としての効果にも疑問が根強い。

 大和総研の試算によると、飲食料品税率ゼロの場合、全世帯平均の年間負担軽減額は8万8千円になる。年収階層で見ると、上位2割(年収768万円以上)の世帯は11万8千円で、下位2割(同235万円以下)の5万7千円の2倍に上る。

 一橋大の佐藤主光教授(財政学)は「所得の低い人や若い人にアピールする政策だが、実際の恩恵は高級スーパーで買い物するような所得の高い人に大きい」と指摘する。

 レジのシステム改修や値段表示の変更などに時間がかかるとの指摘も。過去の税率変更時には、準備のために改正法公布から施行までに少なくとも1年半かかった。

 減税対象外となる飲食店では、消費者の外食離れが加速するとの懸念も広がる。福岡市博多区でうどん店を営む男性店主は「外食と内食の価格差が広がると、今以上に消費者は外食を控えるのではないか。持ち帰りや宅配は食品扱いになるのかなど、まだ分からない点も多い」と話した。 (中野雄策、下村ゆかり)