中国は景気悪化で深刻な就職難
さて、中国の大学生には切実な事情がある。中国はいまだ、コロナ禍に端を発した景気の悪化が続いている。現在の就職難は日本の「就職氷河期」よりはるかに深刻だという。
「中国各地の大学を訪れると、卒業=失業であると、肌で感じます」
25年の中国の大学卒業者数は過去最高の約1222万人(大学院などを含む)。約58万人(学部卒のみ)の日本と比べ、けた違いの多さだ。公式な統計はないが、直近では中国の大学生の就職率は5割ほどだといわれている。
安定した仕事はほとんどない
「10年前、中国の大学卒業者の多くは北京、上海、深センなどにある大企業を目指した。けれども、3年ほど前から安定した仕事はほとんどない。工場のラインで働いたり、フードデリバリーをしている人が少なくありません」
収入の相場は日本円で、月6万~8万円。家賃と食費を引けば、ほとんど残らないという。
「今の中国の若者はかわいそうです。お金がないから彼女もできないし、結婚もできない。自分の将来に自信が持てない」
大卒者が職にあぶれ、ライフプランを立てられない――。まるでバブル崩壊後の1990年代半ばから2000年代半ばの日本を見ているようだが、かつての日本よりはるかな大きな規模で進行中というのが、中国が向き合うシビアな現実だ。
水面下の日本企業への就職活動
琴さんは、こう訴える。
「日中間の政治情勢が悪化した今だからこそ、緊密に人材交流をしなければならない。それは、日本領事館、日本の自治体や企業、日本語人材の育成にたずさわってきた我々の共通認識です」
そんな思いから、琴さんは、日本での就職を希望する中国の大学生を支援する活動を水面下で続けている。
「日本企業の就職説明会を開催するなど、目立つことは控えなければなりません」
仮に就職説明会を開催し、その様子を撮影した写真や動画がインターネット上に投稿され、一部反日感情を持つ人々が「ネタ」として取り上げて炎上すれば、大学に大きな迷惑がかかるからだ。
「そのため、中国の大学生を個別に日本企業に紹介して、オンラインで面接を受けてもらったりしています。人目につかない就職活動であれば、中国の大学も好意的に見てくれる」
背景には中国が直面する少子化による大学経営難への不安と、大学生の就職難の問題がある。
「今後、中国の大学は入学者が減少し、淘汰が進むといわれています。だからこそ、なん大学はなんとしてでも『重要業績評価指標』を上げたい。なかでも上位の指標が『就職率』なのです」
















