「父のような刑事に」アーティスティックスイミングから転身 鈴木ひかりさん

警視庁警察学校物語 新たな挑戦編①

アーティスティックスイミングの選手から警察官に転身した鈴木ひかりさん(緒方優子撮影)
アーティスティックスイミングの選手から警察官に転身した鈴木ひかりさん(緒方優子撮影)

東京都出身。小学1年生から打ち込んだアーティスティックスイミングで2022(令和4)、2023年、世界水泳選手権の舞台に日本代表チームの一員として立ち、銀、銅メダルを獲得した。

足を酷使するため、疲労骨折やひざの痛みなど、けがに苦しんだ現役時代。2023年世界選手権の前もけがの影響で約3カ月間、練習できない期間があり、出場は「ギリギリのラインだった」。それでも困難を乗り越えて仲間と勝ち取った栄光に、大きな達成感を覚えた。

世界水泳選手権大会で、獲得したメダルを掲げる鈴木ひかりさん=令和5年7月、福岡市(本人提供)
世界水泳選手権大会で、獲得したメダルを掲げる鈴木ひかりさん=令和5年7月、福岡市(本人提供)

「選手としてはやり遂げた。次の道へ進もう」。そう思い追いかけたのは、警視庁で刑事を務める父の背中だった。

道で困っている人を見つけると「考える前に体が動く」父の姿に、幼いころから憧れていた。家の中では仕事の苦労を見せなかったが、唯一、平成23年の東日本大震災の被災地に派遣された後は「つらそうだった」。命に向き合う、警察官の仕事の重みを感じた。

昨年9月から始まった警察学校での生活は「組織として動くため、規律やあいさつ、礼儀など、チーム競技と共通するところも多い」と感じている。いちばんの楽しみは「食べること」。選手時代は激しい運動に耐えられるよう、1日4千キロカロリーを摂取していたが、現在は、ボリューム満点で栄養バランスの良い学校の食堂のごはんがパワーの源だ。一番のお気に入りは、サクサク食感の「チーズデニッシュ棒」。

アーティスティックスイミングの演技に臨む鈴木ひかりさん=令和6年8月、東京都江東区(本人提供)
アーティスティックスイミングの演技に臨む鈴木ひかりさん=令和6年8月、東京都江東区(本人提供)

人を笑顔にしたい-。アーティスティックスイミングの選手として描いた夢は今、警視庁警察官を拝命し、「都民の笑顔を守りたい」という夢に進化している。目指すのは、父と同じ刑事。競技生活で培った度胸と挑戦心で、失敗を恐れずに全力で突き進む。

首都・東京の治安を担う警視庁の職員として採用された人に、イロハを教える府中市の警察学校。少子化などを背景に採用の多様化が進む中、アスリートや自衛官、会社員など、異業種・異分野で活躍した経験を生かし、第一線を目指して鍛錬を重ねる学生らがいる。今年、学校を卒業し、新たな一歩を踏み出そうとしている4人の横顔を紹介する。(緒方優子)

会員限定記事

会員サービス詳細