山上被告に無期懲役の判決 生い立ち「酌むべき余地、大きくない」
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安倍晋三元首相銃撃事件で殺人や銃刀法違反などの罪に問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判で、奈良地裁(田中伸一裁判長)は21日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。起訴内容をすべて認めたうえで、犯行の悪質さは銃による他の殺人事件に比べて「著しい」と指摘。「不遇な生い立ちは犯行に大きく影響しておらず、酌むべき余地も大きくない」と述べた。 【写真】安倍元首相の演説終盤、山上徹也被告は後方にいた。そして… 元首相が選挙の演説中に襲われた事件から3年半。審理は母親の入信した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の影響や教団と自民党の関わりに及び、15回にのぼった。 判決はまず、争点の一つだった銃刀法の発射罪の成否について判断した。法定刑の上限が無期懲役と重く、弁護側は被告の手製銃は当時の同罪が適用される「砲」にあたらないと主張してきたが、口径の大きさから「砲にあたる」と認定した。 そのうえで、量刑の理由について説明した。 判決は、安倍氏を背後から銃撃した「卑劣な犯行」で、現場には約300人の聴衆がいて他の人も被弾する可能性があったと指摘。「公共の安全も侵害された」とした。1年以上をかけて複数の銃を作り、試射を繰り返した「計画性の高さ」も非難にあたると述べた。 母親が1億円以上の献金をして家庭の不和が極まったという生い立ちの不遇さは「理解不能ではない」としつつ、犯行時の被告は40代で、思いとどまる「規範意識」を持てたと指摘。教団幹部への殺意を「何ら落ち度のない」安倍氏に向けたのは「短絡的だ」とし、酌むべき事情はほとんどないと結論づけた。 弁護側は、被告は宗教を背景とする「児童虐待」の被害者で、生い立ちは動機に直結していると主張。実情に見合った刑罰を科すべきだとし、「重くても懲役20年」が妥当と訴えていた。 判決によると、被告は2020年12月ごろから奈良市の自宅で銃と火薬を作り▽22年7月7日未明に教団関連施設がある建物を撃ち▽翌8日午前11時半ごろ、市内の近鉄大和(やまと)西大寺(さいだいじ)駅前で、参院選の応援演説をしていた安倍氏を撃った。 裁判は昨年10月に始まり、現場にいた国会議員や警備の警察官、山上被告の母や妹、宗教社会学者ら12人が証人として出廷。5回にわたる被告人質問があった。 弁護側は控訴を検討するとしている。(仙道洸、遠藤美波)
朝日新聞社
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