2月でロシアがウクライナに侵攻してから丸4年となる。ウクライナが米国と策定中の和平案も、着地点は見込めず、終息に向けて米国が仲介する和平交渉の行方はどうか。
昨年末にウクライナが示した和平案は次の通りだ。
安全保障について、NATO加盟国と同等の強力な安全保障を欧米から得る。領土問題では東部2州のドンバス地方(ドネツク州とルガンスク州)を非武装化し自由経済圏とする案を検討している。
領土問題と大いに関係の深い停戦・境界線については、停戦時点での戦線を「事実上の境界線」とし、ロシアが最低60日間の停戦に合意することが条件となっている。ロシアが占領していない地域からのウクライナ軍撤退も条件付きで提示した。
ロシアは全く相手にしていない。戦争は、一方的に相手を破り相手が降伏するか、両者が力尽き膠着(こうちゃく)状態にならないと、本格的な停戦・休戦は難しい。攻勢の方はもっと領土がとれると思うが、劣勢の方は和平案を出してなんとか戦争をやめたい。だが攻勢側は受ける気がない。
軍事的にみると、ウクライナが若干劣勢だ。トランプ大統領はほぼ膠着状態か、若干のウクライナ劣勢でもロシアとの交渉でなんとかなると考えたのかもしれない。しかし、プーチン大統領はそもそもウクライナ全体がロシアの領土という考え方の持ち主なので、部分的な領土割譲ではとても満足しない。
2022年9月には東部・南部4州(ドネツク州、ルガンスク州、ザポリージャ州、ヘルソン州)のロシアへの併合宣言をしたくらいで、そのうちの東部2州(ドネツク・ルガンスク州)の自由経済圏化では満足しないのは明らかだ。
ウクライナでは国民経済が破壊され厭戦(えんせん)ムードが出ているが、ロシアではまだだ。ロシアの継戦能力をそぐためには、経済がヘトヘトになるのがいい。しかし、これまでのところ戦時好況もあって、意外とロシア経済はいい。
西側諸国の経済制裁もあって日用品のインフレ率は高い。ロシア経済の鍵を握るエネルギー価格はウクライナ侵攻以降、低下傾向であるが、さらなる低下があるとロシア経済は持たなくなる。
トランプ政権がシェールを増産すると、そうした環境になる。ベネズエラでの増産とともに、米国内も「ドリル、ベイビー、ドリル(資源を掘りまくれ)」を合言葉に、増産態勢をさらに強化したらいい。これはロシアを締め上げるだけでなく世界経済にも朗報の政策になる。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)