芸術・芸能系フリーランスの収入は、生成AIの影響をどの程度受けているのか──やくみつる氏が名誉会長を務めるフリーランス調査団体の日本フリーランスリーグは1月20日、こんな調査結果を発表した。芸能・芸術系フリーランス約2万4991人に、生成AIへの所感や利用度、収入への影響を聞いた。
回答者の内訳は、イラストレーターが全体の54.2%、漫画家が15.0%、ライターや作家が7.5%、デザイナーが4.5%、映像制作系が2.5%、アニメーターや音楽家がそれぞれ2.2%。その他カメラマンや俳優、Web制作関係者による回答もあった。全体の31.9%は収入の8割以上をフリーランスとして得ている専業者、41.8%が8割未満を得ている兼業者など、残りがフリーランスクリエイターとしての収入はない人もしくはその他だった。
収入への影響を聞いたところ、全体の9.3%が「10~50%程度減った」、2.7%が「50%以上減った」と回答。収入が増えたと答えた人は「10~50%程度増えた」が1.7%、「50%以上増えた」が0.6%だった。ただし、最も多いのは「ほとんど変わらない(過去1年程度に対してプラスマイナス10%以内)」で全体の40.9%、次いで多いのは「分からない」(30.7%)だった。
職種別にみると「50%以上減った」が最も多いのは「企画・編集」職(4.5%)。逆に「50%以上増えた」が最も多いのは「Web制作」(3.2%)だった。
収入への影響に関する具体的なエピソードやコメントも職種別に集めた。例えばストック素材サイトでイラストを販売しているイラストレーターからは「自分のイラストを勝手に学習したかもしれないイラストと競合している状態」などの声があった。
他にも副業デザイナーから、生成AIのロゴ制作機能が高まった結果、自身のデザインがコンペなどで採用されにくくなったとするコメントも。今後、自分の書いた小説にAIを使っていないことの証明が難しくなっていけば、“魔女狩り”に遭う懸念が高まると訴える作家の声もあった。
生成AIを脅威に感じているかも聞いたところ、「強くそう思う」が65.3%、「ややそう思う」が23.3%で、8割以上が脅威に感じると答えた。残りは「どちらともいえない」が4.3%、「あまりそう思わない」が3.9%、「全くそう思わない」が1.8%だった。
生成AIの利用度も複数回答で聞いた。「利用しておらず、今後も利用するつもりはない」が62.9%、「アイデア出し、ブレインストーミングに使う」が21.4%、「背景制作や文章校正など定型的作業の自動化に使っている」が9.3%、「今後使ってみたい」が6.4%、「ラフスケッチや下書きの作成に使っている」が4.1%、「作品の一部または全部の仕上げに使っている」が2.8%だった。
自身の作品が生成AIの学習データにされることへの受け止めも聞いた。最も望ましい同意の仕組みを尋ねたところ、最多は「オプトイン」(事前許諾制)で61.6%、「著作権法改正で学習データ化を原則禁止とすべき」が26.6%、「オプトアウト」(事後の申し出があれば除外する)が5.1%、「同意は必要ない」が4.0%だった。
その他、アンケートでは国に求める対策や今後のキャリア形成に関する考え方を調査した。日本フリーランスリーグは一連の結果やイラストレーターの回答が多かった点を踏まえ「回答に現れたクリエイターの危機感は、そのまま日本の『ゲーム・アニメ輸出の供給基盤』である『絵を描く人材』供給力の低下、持続可能性に対する警報である」とコメント。行政に向けAI学習データの透明性確保の義務化や公正な収益還元制度の整備、クリエイターを統括する機関の創設などを提言するとした。
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