衆議院を解散へ 各党動き出す
衆議院を解散することを決めた高市早苗首相(自由民主党総裁)。いっしょに連立政権を組む日本維新の会の吉村洋文代表に考えを伝え、2月8日投開票とみられる衆議院議員選挙(総選挙)に向けて各党が動き出しました。なぜ解散なのか専門家に聞くとともに、そもそも解散とはどういう仕組みなのかも解説します。
2月8日に衆院選の投開票か
経済対策に大事な通常国会の初めに…批判の声も
高市早苗首相は1月14日、23日に召集される通常国会の初めに衆議院を解散すると伝えました。解散後の衆議院議員選挙は27日に公示、2月8日に投票と開票をする考えです。通常国会での冒頭解散は60年ぶり2回目で、1月召集となった1992年以降では初めてです。
衆議院議員の任期は4年。いまの衆議院議員は2024年10月の選挙で選ばれたので、任期の3分の1にも満たない日数で辞職をせまられます。
これまでにも衆議院を解散する話は出ていましたが、時期は国会で新年度の当初予算(最初にたてる予算)が成立した後とみられていました。高市首相は、経済対策を最優先に取り組むとしていたので、それには予算の成立が重要だからです。
ところが首相は、解散する道を選びました。自民党の中でもごくわずかな人にしか相談をしなかったために、党内からも疑問や批判の声が上がっています。
一方、大阪府の吉村洋文知事(日本維新の会代表)は、大阪市の横山英幸市長(同副代表)とともに辞職し、出直しダブル選挙を行うことになりました。大阪都構想へ再挑戦すべきかどうかを問うためです。
高市さん 選挙に勝つなら「いま」と判断
朝日小学生新聞のニュース解説でおなじみ、国分高史さんに聞きました。
予算がおくれ 生活に影響するかも
高市早苗首相が、衆議院の解散を決めた理由はひとつ。自分への人気が高いいまこそが、自民党が衆議院議員選挙に勝つチャンスだと考えたからです。
去年10月に高市さんが首相になり、政権を支える連立与党の組み合わせも「自民党と公明党」から「自民党と日本維新の会」に変わりました。この新しい顔ぶれに政権を任せるべきかどうかを総選挙で国民に問うことには、意味があります。
ただ、いま選挙をすれば、政府の新年度予算案(国のお金の使い方)を国会で話しあい、3月末までに成立させることはまずできません。そうなると、例えば小学校の給食費や高校の授業料をほぼ無料にするなど、4月からの予定だった政策の始まりがおくれるかもしれません。予算成立のおくれは、私たちの生活にも影響するのです。
1年間の予算案をつくり、次の年度が始まる前に成立させる。これは、どの政権にとっても最も重要な仕事のひとつと考えられています。このため、これまでの政権は年度末に近いこの時期の解散・総選挙は避けてきました。
高市さんは予算よりも選挙に勝つことを優先させた形になります。野党だけでなく、政権内からも「自分勝手だ」という批判が出ています。
立憲と公明が新党結成へ
一方、野党の立憲民主党と公明党の衆議院議員がいっしょになって新党をつくると決めました。力を合わせて自民党に対抗するねらいです。
投票は2月になる見通しですが、深い雪のため準備が大変な地方もあります。大学受験シーズンとも重なります。若い有権者の中には「投票に行きたくても行けない」という人も出てきそうです。
衆議院議員の任期は4年ですが、まだその半分も終えていません。国政選挙はこれで3年連続。選挙は国民の意思を示す大切な機会ですが、あまりに多いとよくない点も出てきます。
議員たちには日本の将来をじっくり考える余裕がなくなります。また、国民の間に「また選挙か」といううんざりした気持ちも広がりそうです。
衆議院の解散 任期4年待たず総選挙へ
参議院より国民の声を反映しやすい/「衆議院の優越」
国会には衆議院と参議院という二つの議院があります。法律や予算など、私たちのくらしにかかわることがらを、より慎重に話し合う必要があるからです。
衆議院の任期は4年、参議院は6年と決められています。任期が終われば、選挙をして議員を選び直します。しかし衆議院だけは、選挙から4年たたなくても任期を終わらせてしまうことができます。これが「解散」です。
衆議院を解散するかどうかを実際に決めるのは首相です。衆議院が「この内閣を信用しない」という決議案を可決したときや、首相が選挙で国民の意見を聞いてみたいと思ったときに衆議院を解散し、総選挙を行います。
第2次世界大戦が終わり1946年に新憲法が公布されてから、いままでに28回の衆議院議員選挙がありました。そのうち4年間の任期が終わるのにともなって行われた選挙は1度だけです。
任期が短く、解散もある衆議院は、参議院よりも国民の意見が反映されやすいと考えられています。このために、衆議院には参議院よりも強い力が与えられています。
法律案の議決や予算の審議・議決、内閣総理大臣の指名などについて、衆議院と参議院の意見がわかれた場合は衆議院の議決を優先する「衆議院の優越」が認められています。
(朝日小学生新聞2026年1月17日付)
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