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たとえ、手のひらの上で転がされているだけだとしても! 3/Novel by geats

たとえ、手のひらの上で転がされているだけだとしても! 3

14,483 character(s)28 mins

表向きはやさしいけど、ちょっと意地悪で、本性ドSな蘇枋くんと、蘇枋くん大好きな女の子の話!

前回も、ブクマとコメントありがとうございます。
とても嬉しいです。
読むの大変かと思いますが、お付き合いいただけたら幸いです。

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 蘇枋さんは、女の子にモテる。
 あれだけ顔が良くて、やさしくて、ケンカが強ければ、女の子にモテて当然だ。そのうえケンカの仕方もスマートなのが、余計に女の子受けがいい。蘇枋さんに助けられたら、どんな女の子だって蘇枋さんのことが好きになってしまうだろう。オレだって、蘇枋さんにケンカを教えてもらっていると、自分が女の子だったら惚れていたと思う瞬間が何度もある。
 けれど、蘇枋さん自身はあまり女の子に興味がなかった。これまでにもたくさんの女の子たちに声をかけられているのを見たし、中にはモデルやアイドルのような可愛い女の子が蘇枋さんに話しかけているのを見たこともある。でも蘇枋さんは、誰も相手にしなかった。いつも、のらりくらりかわしては、自分の名前さえ明かさないし、ましてや連絡先なんて教えたりなんてしない。
 そんな蘇枋さんが、最近同じ女の子と一緒にいるのを何度か見かけた。初めは、女の子が粘り強く蘇枋さんを追いかけているだけなのだと思っていた。だけど何度も見かけているうちに、どうやらそれだけではないように見えて来た。

 それは、お昼を食べている時のこと。蘇枋さんのスマホが延々と通知を鳴らし続けた。これまでにない出来事に、オレはちょっと驚いた。蘇枋さんはもともと謎の多い人だけど、蘇枋さんのスマホがこんなにも通知音を鳴らすのは初めてだった。それに通知音に耳を立てる桜さんの顔が赤い。だからオレは、すぐにピンときた。蘇枋さんは鳴り続けるスマホを一切無視しているけど、そんな蘇枋さんにメッセージを送り続けている相手は、あの女の子なんじゃないだろうか。
 つまり、あの蘇枋さんが、女の子に連絡先を教えたということなのか……?
 オレにとっては大きな衝撃だった。
「蘇枋さん、スマホいっぱいメッセージが来てるけど、見なくていいんですか?」
「うん、大丈夫だよ。放っておかれるのも好きな子なんだ」
 やっぱりだ、間違いない。メッセージの送り主は、女の子だ。本当にあの蘇枋さんが、女の子に連絡先を教えたのだ。
「もしかして、蘇枋さんの彼女ですか!?」
「か、彼女!?」桜さんは、顔を真っ赤に染めて咽た。
 ついに、あの女の子と付き合い始めたのか。オレが驚いて蘇枋さんに聞くと、蘇枋さんは笑って「違うよ」と返した。
「しいていうなら、子犬かな?」
 犬。
 蘇枋さんは謎が多くて、ミステリアスな存在だ。だが、犬ってなんだ。
 桜さんの恋愛センサーが反応しているし、相手が蘇枋さんに好意を向けているのは間違いない。蘇枋さんは相手の子を犬と言うけれど、蘇枋さんはそう簡単に女の子に連絡先を教えるような人じゃない。
 かと言って、女の子からの連絡を無視しているところを見ると、蘇枋さん自身は相手にはまだ特別な感情を抱いていないのだろうか。
 連絡先を教えるくらいだから、少なからず好感を持っていることは確かなのだろうけれども。
「なあ、蘇枋」
 声を掛けて来たのは、同じクラスの山本君だった。山本君はいい人だけど、周囲と壁があって、人に助けを求めないような人だった。だけどそんな山本君が、先日クラスメイトに助けを求めた。そこに駆けつけたのが、蘇枋くんだった。
「この前、俺と一緒にいた女の子。病院までついて来てくれた……」
「ああ……」
「もしかして、蘇枋の知り合いか?」
「うん。まあ、そうだね」
 人を頼るのが苦手な山本君がクラスメイトに助けを求めたのは、一緒にいた女の子を巻き込んでしまったからだったらしい。どうやらそこにいた女の子は、蘇枋さんの知り合いだったようである。
 蘇枋さんとはよく行動をともにするが、蘇枋さんの知り合いの女の子なんて、あの子くらいしかい思い浮かばない……。
 蘇枋さんが山本君の危機に駆けつけたのも、ひょっとすると山本君ではなく、女の子のほうを助けに行くためだったんじゃないだろうか。もちろん山本君もクラスメイトとして助けに行って当然だ。でももしも、連絡先を教えたあの女の子を助けるために駆けつけたのなら、やっぱり蘇枋さんなりに、何か特別な思いがあるではないだろうか。
 蘇枋さんは犬だというけれど、もしかして、ひょっとして……。
「なあ、蘇枋。あの子の連絡先とか知ってたら、俺に教えてくれないか?」
 桜さんの顔が、赤く染まる。桜さんの顔を見なくたって、オレでもわかる。
 山本君は、先日の件で出会った蘇枋さんの知り合いの女の子が気になっているんだ。その経緯も、その思いがどれほどのものなのかもわからないけれど、少なからず確実に恋愛対象として興味を持っている。
 しかし、だ。
 恐る恐る蘇枋さんの、反応を窺う。
「ひっ」小心者のオレは、思わず小さい悲鳴を上げた。
 蘇枋さんは、ニコニコと笑みを浮かべていた。でも誰だってわかる。顔は笑っているけど、内心では笑ってない。不快感とか嫌悪感とか、そんな明確なものではない。蘇枋さんだから、他人にあからさまに感情をあらわにすることはしない。でも、それでもだ。いつもの温和でやさしい蘇枋さんじゃないのは明らかだ。
 桜さんもいつもと違う蘇枋さんの異変に気付くと、恋愛センサーで顔を赤らめるどころか、血の気を引かせて青ざめていた。
「す、蘇枋!? その、嫌だったら無理にとは言わない」
 凍った空気を察し、山本君が言った。というよりも、身の危険を感じたのだろう。オレも、蘇枋さんにこんな冷たい笑みを浮かべられたら、恐怖に震えあがっていただろう。
「どうして? 別に嫌じゃないよ」
「だって蘇枋、怒ってるだろ……?」
「アハハハ。いやだなぁ、なんでオレが怒るの? 山本君はいい人だし、全然いいよ」
 どう見ても全然いいわけじゃない。蘇枋さんは謎が多くて、自分のこととなるとはぐらかす人だ。だからよく自分のことは隠すし、何を考えてるのかわからないことも多い。でも今は、蘇枋さんの本心じゃないことくらいわかる。
「俺が悪かった、蘇枋。蘇枋って女の子とかに興味なさそうだから、あの子もそういう関係じゃないと思ったんだ」
「うん。山本君が憶測しているような関係ではないよ」
「だって蘇枋、あの子のことを助けに来たんだろ?」
「特別扱いしているわけじゃないよ。善良な町民を守るのが、ボウフウリンの使命だからね」
 ここまで来ると、どこまでが蘇枋さんの本心なのかわからない。山本君に紹介して欲しいと頼まれた直後は、明らかに空気が凍った。でも今では、蘇枋さんはいつもの調子を戻してへらへらと笑っている。本当にあの子に執着はないのか、それともただ本心を隠すのが上手いだけなのか。
 しかし本当に特別な感情を抱いているなら、いくら蘇枋さんでも、好きな女の子の連絡先を他の男に教えたりなんてしないだろう。だから蘇枋さんの言うとおり、やはりあの子も蘇枋さんにとっては、近所の子犬のような存在なのだろうか。
「ちょっと待ってね。今聞いてみるよ」
 蘇枋さんは、さっきまでしつこく鳴り続けていたスマホを取り出して、操作した。山本君に連絡先を教える許可を得るためのメッセージでも送っているのだろう。
 そして反応はすぐに返って来た。
 蘇枋さんはちょっと目を丸くすると、すぐに笑って山本君にスマホの画面を見せた。
「ごめんね。ブロックされちゃった」
「マジ!? 悪い、蘇枋」
「ううん。山本君こそ、気にしないで。山本君が悪いわけじゃないから」
「ああ……、うん。たぶん悪いのはお前だ、蘇枋」
「アハハハ! やっぱりそうかな~」
 山本君は複雑そうな顔で苦笑すると、「礼だけでも伝えておいてくれ」と言って、蘇枋さんのもとを離れた。
 山本君が言ったとおり、これは蘇枋さんが悪い。相手の女の子の気持ちを考えれば、怒ってブロックするのも無理はない。さっきから何度もメッセージを送っていたのに、全て無視し、やっと返事をしたと思えば、他の男に連絡先を教えていいか? というメッセージ。相手の女の子が、あまりに不憫だ。
「本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫だと思うよ。放っておけば、そのうちブロックも解除されるから」
「放っておくって……。それ、酷くないですか……?」
 オレが蘇枋さんの事情に口出しするなんて、生意気かもしれないけど。でも女の子は、たぶん蘇枋さんのことが大好きで、蘇枋さんにあんなメッセージを送られて深く傷ついている。それがわからない蘇枋さんではないはずだ。なのに蘇枋さんと来たら、女の子を傷つけて平然としているし、寧ろ面白がっているようにさえ見える。
 蘇枋さんは、相手の女の子のことを犬と呼ぶけれど、蘇枋さんにとっては、女の子なんて本当に弄ぶための玩具にしかすぎないのだろうか。
「きっと、すごく傷ついてますよ。ブロックされてて連絡取れないなら、直接会いに行った方がいいんじゃないですか?」
「オレが会いに行くねぇ……。……それは確かに、面白そうだ」
「面白そうって……」
 大丈夫なのかな。謝りに行くどころか、余計に傷口に塩を塗ることにならないといいのだけど。
 蘇枋さんは、相手の女の子に嫌われてもいいのだろうか。でも連絡先を教えるくらいだから、どうでもいい相手とも思えない。それとも、相手の女の子からの好意を知ってて、相手の好意に胡坐をかいているだけなのか……。どちらにせよ、女の子の恋心を弄んでいるようにしか見えないのだが。
「蘇枋さん……、性格悪すぎませんか?」
「アハハハ! オレもそう思う」
「女の子も、女の子ですよ。こんな人を追いかけるなんて……」
 いくら顔が良くて、ケンカが強くて、表面上はやさしいとはいえ、好意に対して真摯に向き合ってくれないような相手なら、追いかけても傷つくだけだ。
 蘇枋さんは、オレの考えを読み取ると、にっこり笑って肩をすくめた。
「オレなんて、やめておけばいいのにね」
 それはオレじゃなくて、本人に言うべきだ。
 どうせ本気で向き合う気がないなら、初めから期待なんて持たせるべきじゃない。蘇枋さんは女の子にモテる。それでも蘇枋さんが女の子を相手にしないのは、余計な期待を持たせないためのものかと思っていた。なのにどうして今回ばかりは、期待させて傷つけるような真似をするのだろうか。
「バカだよね……」蘇枋さんはそう言い、もう一度スマホの画面を見て、呟いた。
「……ほんと、可愛い」
 蘇枋さんが洩らしたそのひと言に、さっきまで無関心にスマホをいじっていた桜君の頬が、ぼっと赤く染まった。

====

 蘇枋くんに連絡先を教えてもらってからは、毎日が幸せだ。
 返事はまず来ないけれど、一日に一回くらいは既読がつく。それだけで蘇枋くんとの繋がりを感じられていて幸せだった。
「まさか鈴木が、あの蘇枋隼飛くんと連絡先を交換するなんてね」
 お弁当を食べ終えた田中ちゃんは、ポッキーを咥えながら言った。
 蘇枋くんは、とても有名な人らしい。学友の田中ちゃんでさえ、蘇枋くんのことを知っていたくらいである。私が蘇枋くんの出会った話をしたときも、ケンカが強い眼帯の人というワードだけで相手の男の子が蘇枋くんだと特定した。どうやら私がこの付近の不良の方々の知識が浅いだけで、蘇枋くんは有名な人だったようである。ケンカの強さもそうだが、あのルックスだ。女の子のあいだでは蘇枋くんを知らない子のほうが珍しいのだと、田中ちゃんは言っていた。
「まあ、連絡先を教えて貰えたところで、蘇枋くんから返事は来たことないけどね」
「当たり前でしょ。連絡先を教えてもらえただけでも奇跡なんだから。あの蘇枋隼飛くんから返信を貰おうなんて、高望みしたら罰あたるよ」
「だよね~」
 田中ちゃんが言うとおり、返事が欲しいなんて欲張るのは文武不相応だ。私はただ、蘇枋くんにメッセージを送って、蘇枋くんに無視されているだけで幸せだ。こうして蘇枋くんとのトーク画面を開いて、既読という二文字を見ているだけで顔がにやける。蘇枋くんからメッセージなんて来ようものなら、一ヵ月分の幸運を使い果たしてしまうかもしれない。
「蘇枋くんよりさ、このあいだの、山本くんとはどうなったの?」
「山本くん?」
 山本くんとは、先日怪我していたところを見つけた男の子である。不良に追われている山本くんに遭遇し、何もできないなりにも山本くんを助けようとした。が、最終的に山本くんを助けたのも蘇枋くんだった。
「そういえば山本くん、ひどい怪我だったけど、怪我の具合はよくなったのかな?」
「それもそうだけど! ひょっとしたら、蘇枋王子は高根の花でも、山本くんとなら恋愛に発展したりするかもよ?」
 田中ちゃんが言わんとしていることもわかる。私と蘇枋くんが恋愛的に発展するなんてことは、あまりに非現実的だ。田中ちゃんはそんな非現実的な相手を追いかけるよりも、もっと身近な男の子と恋愛すべきだと言いたいのだろう。
「鈴木だって、外見は可愛いんだから。山本くんとなら、いい恋愛ができるんじゃないの?」
「そんなの山本くんに失礼だよ。それに私は、彼氏が欲しいわけでも、恋愛がしたいわけでもないよ」
 今はただ、蘇枋くんが大好きで、毎日蘇枋くんのことを考えているのが幸せなのだ。蘇枋くんのことを考えたり、会って目があったり、たまに触れたりすると、胸がドキドキする。それは蘇枋くんじゃなきゃ意味がない。
「まあ、一応蘇枋くんも鈴木も同じ人類だからね。万が一ってこともあるかもしれないか」
「えへへ~。そんなことになったら、どうしよう~」
 絶対にありえない、その万が一を想像すると、ニヤニヤが止まらない。絶対に無理だとわかっていても、万が一の可能性を捨てきれない。ほんのわずかな希望に期待してしまう、それが人を好きになるってことなのだろう。
 そんなわずかな期待に胸を膨らませながらトーク画面を見ていると、私のメッセージに既読がつき、そして蘇枋くんからスタンプが送られてきた。
「わあああっ! 蘇枋くんからメッセージが来た!!」
「マジ!?」
 遂に、来るはずがないと思っていた蘇枋くんから、メッセージが来た。見たこともないダサいお茶のキャラのスタンプだが、蘇枋くんらしくてすごくいい。スタンプだけで蘇枋くんを感じられる。もうこれだけで好きだ。スタンプ1個にハートを100個くらい返したくなる。
 しかし何の用だろうか。蘇枋くんからのメッセージなら、例えジュース買って来いと命令されても、尻尾を振って買いに行ってしまいそうだが。
「で、なんて来たの?」
「えっとね……、“山本君が風子ちゃんのこと紹介して欲しいみたいなんだけど、連絡先教えていい?”……」
 私がメッセージを読み上げると、田中ちゃんは深いため息をついた。
 いや、ため息をつきたいのはこっちだ。寧ろこのスマホを叩き割りたいくらいの気持ちはある。
 蘇枋くんからメッセージが来ただけ奇跡だ。あまりの嬉しさに、ほんの数秒前まで舞い上がっていた。
 だが。
 私は素早くスマホを操作し、考えるよりも先にブロックの画面を出してボタンを押していた。
「こんなことってある!?」
「ごめん。慰めの言葉が見つからない……」
「そうだね!! 私も反対の立場だったら、いたたまれないかな!!」
 山本くんだって、深い意味があって私の連絡先を知りたがってるわけじゃないだろう。だけど、だ。好きな人に、他の男に紹介してもいいかと聞かれると、それは少し話が違ってくる。しかも、連絡先を交換し合って、最初のメッセージがこれである。
「蘇枋くんって、鈍感なの? こういうメッセージ送って、女子が傷つくってわかんないかな?」
「鈍感どころか、とても心の機微のわかる人だよ。わかるうえで、とてつもなく意地悪なんだよ」
 つまり蘇枋くんなら、こういうことをしたら私が傷つくこともわかっててやっているのだろう。蘇枋くんは意地悪で、いつも私をからかって弄ぶ。だけど、いくら大好きな蘇枋くんだって、私だって怒る時は怒る。今がまさに、その時だ。私は意思表示のためにブロックをしたが、蘇枋くんにとってはそれさえ面白い反応に過ぎないのかもしれない。
 何を選択しても、蘇枋くんに反撃できない。何をしたって、手のひらの上で転がされているだけ。
 どうせブロックしたことだって、放っておけば、また尻尾を振って戻ってくるとでも思っているのだろう。そのとおりなのだけれども。
「性格が悪すぎるよ!!」
「嫌いになった?」
「もちろん大好きだよ……ッ!」
 そもそも好きだからこそ、こんなにも腹が立つわけで。おそらく、それも全部蘇枋くんには見透かされている。
「悔しいよぉ゛……!! 蘇枋くんに勝てる気がしない……!」
 蘇枋くんのせいで、午後の授業は頭に入ってこなかった。蘇枋くんのせいで、あれからずっと胸がズキズキと痛いまま。
 私はこんなに蘇枋くんのことが好きなのに。蘇枋くんにとって、私は娯楽の玩具でしかないという現実を突きつけられているようで、あの文面を思い出すたびに泣きたくなった。
 いっそ田中ちゃんが言うように、他の人を好きになれたら、蘇枋くんのことを好きじゃなくなることができるのだろうか。けれど他の人を好きになろうとしたって、一週間後にはまた蘇枋くんの背中を追いかけてしまうのだろう。こんな私だから、蘇枋くんに弄ばれるのだ。私がもう少し蘇枋くんを好きなのを我慢できれば、蘇枋くんだってここまで私で遊んだりしないかもしれない。
 そうだ。私はもっと蘇枋くんに反抗の姿勢を見せるべきじゃないのか。
 今回はちゃんと怒って、蘇枋くんもたまには反省すべきだ。私からブロックを解除したりしないで、蘇枋くんに会いに行ったりだってしない。
 今回は、蘇枋くんから謝りに来てくれるのを待つ。
 蘇枋くんが謝ってくれるまでは、私も蘇枋くん大好きという感情を抑えよう。町で蘇枋くんを見かけたって、尻尾を振ってついて行ったりなんてしない。
「私だって、怒る時は怒るんだから!」
 私が宣言すると、田中ちゃんは「せいぜい3日くらいは頑張りなよ」と呆れながら言い、下駄箱から靴を出した。
 今日は下校したらそのままポトスへ行って、蘇枋くんに会いに行くはずだった。だけど今日は、蘇枋くんになんか会いに行ったりしない。ストレス発散のため、食べ歩きに田中ちゃんを誘えば、事情を知っている田中ちゃんは渋々了承してくれた。
「私は本気だよ、田中ちゃん。蘇枋くんから謝ってくれるまで、絶対に蘇枋くんに会いに行ったりしないよ」
「はいはい。蘇枋くんに会いに行かなくても、さみしいとか、蘇枋くん不足だとか言って、私に泣きつかないでね」
「泣きつかないとは言ってないよ!!」
 蘇枋くん不足で枯渇するのは目に見えている。そこを一緒に乗り越えてこその友人ではないか。
 不満を漏らし続ける田中ちゃんと歩いていくと、校門のほうに人だかりができていることに気づいた。人だかりは女の子が多く、周囲の男の子たちもそっちの方を見ながら何か囁いている。どうやら校門に誰かいるようである。
「まるで芸能人でも来ているみたいだね」
「他校の生徒かな? うちの生徒の誰かを待っているとか?」
 通りすがりに、人ごみのあいだを覗き込む。そして中心にいる人物に、私は目を疑った。と、同時に、中心にいる人物と目があった。
 何故だ。何故あの人がここにいる……?????
「どうしたの、鈴木」
「会いたい気持ちが強すぎるあまり、幻覚が見えたかもしれない……」
 なんでここにいるんだ……? この学校には不良はいない。不良がいない学校を選んだのだから、そこには自信がある。だからケンカをしにきたわけではないだろう。もしかして、この学校に私以外に知り合いがいる? まさか女の子?? あんなメッセージを送られた直後に、私の目の前で知らない女の子に会いに来たとかだったら、さすがに立ち直れる気がしない。

「風子ちゃん」

 後ろから呼びかけられ、びくりと肩が跳ねて足を止めた。
「どうして、オレのことを置いて行くの?」
「蘇枋くん……」
 蘇枋くんは後ろで手を組みながら、ニコニコ笑みを浮かべていた。
「そこで、誰か待ってるのかなって思って……」
「待ってたよ、風子ちゃんのこと」

 やばい。嬉しすぎて失神しそうだ……。ときめき殺される。
 いやいや、駄目だ。私は今怒ってる。だからどんなに嬉しくても、にやけたらそこで負けだ。
 蘇枋くんが会いに来てくれた、それだけでこれまでの怒りも、胸の痛みも、全部吹っ飛ばされてしまいそうだけど。でもここでまた容易く許してしまったら、また単純な奴だと思われて遊ばれてしまう。
 ここは強い精神力を持って感情を抑え込み、毅然とした態度を見せなくては。
「蘇枋くんが来てくれたからって、嬉しくなんか……」
「うん?」にっこりと笑って首をかしげる蘇枋くんが眩しい……。こんな人相手に、私は本当に毅然と立ち向かえるのだろうか。
「とりあえず、ここから離れようか」
 たしかにここでは、蘇枋くんが注目されすぎてまともな会話ができそうにない。ちらりと周囲を見れば、冷たい視線が背中を突き刺していた。もちろん主に女の子からの視線である。
 私は田中ちゃんにひと言謝り、歩き出そうとした。が、それよりも早く、蘇枋くんの手が私の手を掴み、強引に歩き出していた。
 毅然と、毅然とした態度を示さなくては。平静を取り戻そうとするが、蘇枋くんに手を繋がれて引っ張られたら、平静になんてなれない。心臓がバクバク高鳴り、顔は幸せでふにゃふにゃだ。
 無理……。蘇枋くん、好き……。
 蘇枋くんが謝ってくれるまで、毅然とした態度を取るつもりだった。でも、わざわざ学校まで会いに来てくれたと言うことは、蘇枋くんなりに昼間のことを悪いと思ってくれたのだろうか?
 もしかして、私が傷ついていることに心を痛めて、謝りに来てくれたのだろうか?
「ここまでくれば、大丈夫かな」
 学校の近くの公園に着くと、蘇枋くんはベンチの前で私の手を放した。蘇枋くんの手の感触と体温が名残惜しい。できることなら、ずっと手を繋いでいて欲しかったけれど、今は怒っている際中なのでそんなことは言えない。蘇枋くんはベンチを手で払うと、「座って」と私を促した。座るくらいなら、言うことを聞いてあげてもいいだろう。私が座れば、隣に蘇枋くんも腰を下ろす……が、とても近い。肩が触れてしまいそうなほど近くて、ドキドキする。まさか、私をときめかせて、全てうやむやにさせようとしている作戦なのだろうか。ちらりと蘇枋くんを見ると、蘇枋くんはにっこりと笑って返した。
 まずい……。近いうえに、今日も今日とてかっこいい……。
 美人は3日で飽きるというけれど、蘇枋くんは何度見たってかっこよくてドキドキする。こんなにドギマギしてばかりでは、全然怒っているようには見えないだろう。ちゃんと毅然と振舞って、怒っていることをアピールしなくては。
「蘇枋くん。私だって、今回ばかりはそう簡単には蘇枋くんのこと、許せないよ」
 私は蘇枋くんを睨んで切り出した。もちろん蘇枋くんの笑顔は揺るがない。温かな包容力のある声色で、「それって、メッセージのことだよね?」と私に聞き返す。
「当たり前だよ! 私、蘇枋くんからメッセージが来るのを、ずっと楽しみにしてたんだよ!? なのに、あんなメッセージ送ってくるなんて……」
 私はそこまで言いかけ、私はふと思い至り、「山本くんが悪いわけではなくてね」と訂正を入れた。蘇枋くんからもメッセージに怒っていると言うと、まるで山本くんが悪いようである。だが蘇枋くんのせいでややこしくなってしまっただけで、山本くんは何も悪くない。
「山本くんが迷惑だったわけではないよ。山本くんはいい人そうだし、山本くんが連絡先を交換しようって言ってくれたのは、すごくうれしかったんだよ。山本くんの怪我のこととかも気になってたし、連絡先を交換すること自体は」
 私が山本くんが悪いわけではないことを話していると、蘇枋くんは不意に私の口を指で塞いだ。
「山本君のことは、もういいから。オレと風子ちゃんの話を続けて?」
「でも、この話をする前に、前提として山本くんは何も悪くないという前置きが必要で……」
「いらないよ。風子ちゃんが他の男の話しをするの、オレは楽しくないな。だからもうおしまいね」
 勝手だな。蘇枋くんを楽しませるための会話をしているわけじゃない。だけど蘇枋くんの有無を言わせない強引さに、私はそれ以上山本くんの話をすることができなかった。蘇枋くんから山本くんの話題を出されてブロックしてしまったけど、山本くんが嫌だったわけじゃない。それがわかってくれているのなら、これ以上話す必要もない。私が怒っているのは、山本くんのせいじゃない、蘇枋くんのせいなのだ。
「蘇枋くんがいつも既読スルーするのも、そもそも既読すらつけてくれないのも、私は嫌じゃないよ。でも、私みたいな女の子に男の子紹介するのって、それは酷いんじゃないかな?」
「傷付いた?」
「とっても!!」
 蘇枋くんは、私が蘇枋くんを大好きなことを知っている。好きな人に異性を紹介されるなんて、そんなの眼中にないと言われているようなものだ。私が他の男の子と親しくなったって、何も感じないからそういうことができるのだ。蘇枋くんは気まぐれに構ってくれるけど、結局私は蘇枋くんにとってどうでもいい存在で、ましてや女の子としてなんて見てくれないのだと、改めて思い知らされた。
「蘇枋くんは、どうせ私が他の男の子とどうなろうと興味ないんだよね。わかってたけどさ……」
「怒った?」
「怒った!! それにすごく悲しいの!!」
「そっか」蘇枋くんは、とても嬉しそうに微笑んで、私の顔をじっと見つめていた。
 なんでこんな話をしている時に、蘇枋くんは笑っていられるのだろうか。私はつらくて悲しくて、こんなに怒ってるのに。
「さっきから、蘇枋くんなんでそんなに楽しそうなの?」
「風子ちゃんといるときは、オレはいつも楽しいよ」
「今は違うじゃん! 今は楽しい時じゃないじゃん!」
 私が真剣に話しているのに、こんな時でさえ蘇枋くんはいつもと変わらない。私が本当に傷ついているのだって、どこまでわかってくれているのかもわからない。私がこんなに苦しいのに、蘇枋くんは全然気にしていないようにすら見える。
「いくら蘇枋くんでも、今回のことでそんな態度されたら許せないよ」
「そう? 風子ちゃんなら、オレがどんなことをしても、許してくれると思うけど」
「私は蘇枋くんが思ってるほど、やさしくないよ」
「やさしさなんて求めてないよ。だけど、それでも風子ちゃんはオレを許してくれる。だって……、ね?」
 だって風子ちゃんは、オレのことが大好きだから。
 そう言いたげに、蘇枋くんは目を細めて微笑み、私の顔を窺った。完全に舐められている。私が蘇枋くんのことを好きだから、こんな時に私をからかっても許されると思っているのだろう。
 ……悔しいが、図星だ。
 蘇枋くんの言うとおりだ。蘇枋くんがどんな酷いことをしても、こんな不誠実な態度を取られても、やっぱり好きな気持ちが揺らぐことはない。それが悔しくてたまらない。なんでこんな人を好きになってしまったのだろう。どうして嫌いになれないのだろう。
 しかし、それなら不可解だ。
 蘇枋くんは、何もしなくても自分が許されることをよくわかっている。では、何故ここに来たのだろうか。
「蘇枋くん、私に謝りに来てくれたんじゃないの?」
 学校までわざわざ来るのだから、私を傷つけたことに少しは罪の意識でも感じて来たものかと思っていた。もしくは、ブロックされたから、さすがにまずいと思って来たのか。
 でも目の前でニコニコ笑っている蘇枋くんは、罪の意識も焦りも感じられない。謝る気なんて微塵もない。
「謝りに来たわけじゃないよ」
「じゃあ、何しに来たの?」
「傷ついている風子ちゃんの顔を見に来たんだよ」
 一瞬、頭がくらっとした……。聞き間違いであって欲しい。蘇枋くんは意地悪だけど、まさか人の不幸を見て楽しむような人ではあって欲しくない。だが残酷にも、蘇枋くんは恍惚な笑みを浮かべて、話を続けた。
「オレのせいで、風子ちゃんが傷ついているんだろうなと思ったら、すごく会いたくなっちゃった」
「はい……?」
「オレのことで怒って、悲しんで、苦しんでる風子ちゃんを、直接この目で見たかったんだ」
 意地悪とか、性格が悪いとか通り越して、歪みすぎてる。
「蘇枋くんは、私の苦しむ姿を見て楽しいの……?」
 気づけばポロポロ涙がこぼれていた。
 せっかく蘇枋くんが謝りに来てくれたと思ったのに。ちょっとは私の気持ちに寄り添って、やさしくしてくれると思ったのに。なのに傷つけておきながら、その顔を見て楽しみに来たって何? 蘇枋くんにとっては、私の気持ちってそこまでどうでもいいものなのだろうか。自分が楽しむためなら、私がボロボロになっても、蘇枋くんは何も感じないのだろうか。
「風子ちゃん」
 蘇枋くんの手が、強く私の手を掴み、もう片方の手で私の顔を自分へと向かせる。人の苦しむ顔を見て喜ぶ人なんかに、泣き顔を見せたくはない。しかし拒もうとしても、蘇枋くんの手がそれを許してはくれなかった。
「すごいなぁ、風子ちゃんは……。風子ちゃんといると、どんどん沼に足を引きずり込まれていくみたい」
「意味わかんないよ……! 蘇枋くん、おかしいよ。何考えてるのか、全然わかんない……」
「嫌いになった?」
 嫌いになんて、なれるわけないのに。そんな意地悪な質問しなくたって、蘇枋くんは私の出す答えがわかりきっている。だってこんな酷いことされても、蘇枋くんといると胸がドキドキする。
「……オレ、女の子には、あんまり興味がなかったんだ」
 さっきの校門の時もそうだったが、蘇枋くんは女の子からとても人気がある。蘇枋くんが少しでも女の子に興味があったら、今頃10人くらい彼女がいたっておかしくない。それなのに彼女を1人も作ろうとしないのだから、そもそも女の子にあまり興味がないのだろう。
「動物は好きなんだ。懐いてくれる犬や猫なんて、可愛くて仕方がないよね。だから構っていて楽しいのも、可愛いって思うのも、守りたいって思うのも、そういうものなんだと思ってたんだ。……だけど、全部オレだけのものにしたいと思うのって、愛玩動物に抱くような感情とは違うよね。それに、その泣き顔……」
 蘇枋くんの指が私の涙を拭い、蘇枋くんは熱い吐息をもらして、私の顔を見つめた。
「まさか自分が女の子にこんな感情を抱くなんて、オレ自身が一番驚いているよ」
「こんな感情?」
 なんの話をしているのだろうか。蘇枋くんの言わんとしていることが読めない。私が怪訝な顔で聞いていると、蘇枋くんは「つまりね」と言い、私の顎を指で上げた。
「女の子にキスしたいって思うの、初めてなんだ」
「…………うん?」
「キス、していい?」


 私は一つ深呼吸をすると、蘇枋くんの胸倉を掴み、渾身の力を込めてその額に額をぶつけた。
「蘇枋くんのバカ!!!! こんな時まで、からわかないでよ!!」
「そう来るかぁ……」
「当たり前だよ!! 人が真剣に話を聞いているのに、なんでそうやってふざけるの!?」
 何故か蘇枋くんが頭を抱えているけど、頭を抱えたいのはこっちの方だ。
 人が真面目に話しているのに、全然ちゃんと聞いてくれないし、蘇枋くんの話だってどこまでが冗談なのかもわからない。それにあんなこと言うなんて……。
 思い出しただけで体が熱くなって、私はベンチから立ち上がっていた。
「風子ちゃん?」
「飲み物買ってくる」
 やばい。ドキドキしすぎて、声が震える。
 蘇枋くんが私にキスしたいなんて、冗談に決まってる。いつもの意地悪な悪ふざけだ。こんな見え透いた冗談、一瞬でも本気にしたって思われたくないのに。
「……ねえ、風子ちゃん」
「なに?」
「顔、見せて?」
「見せないよ!!」
 今顔を見られたら、また蘇枋くんに本当の気持ちを見透かされてしまう。こんな気持ち弄ばれて、笑いものになんてされたくない。
 歩き出そうとすると、後ろから手を掴まれた。もちろん、まだ顔は耳まで赤いまま。今引き寄せられたら、赤く染まった顔を見られて、また蘇枋くんに笑われてしまう。「風子ちゃん」と、その声で名前を呼ばれ、私はびくりと体を震わせて身構えた。
「オレ、緑茶がいいな」
「蘇枋くんには買ってきてあげない!」
 私は素早く蘇枋くんの手を振りほどき、その場を逃げ出した。
 蘇枋くんが学校に来た時は、簡単に許さない、絶対にちゃんと怒るって決めていたはずなのに。怒るどころか、もっと傷つけられて、挙句の果てには泣かされて。なのに今となっては、ドキドキして顔も見られなかった。私の感情のすべてが、蘇枋くんの手のひらの上で転がされている。あんなに怒って、なんでこんな人好きになっちゃったんだろうとさえ思っていたはずなのに、今は好きという感情が溢れて心臓が爆発してしまうそうだ。
 あの時の、じっと見つめる蘇枋くんの目が頭から離れない……。
 あんなの、冗談だってわかっていても、ドキドキしない方が無理だ。あの時の光景が脳裏にちらついては、顔がぼっと熱くなる。
 自販機につくと、緑茶を二本買い、一本を頬に当てた。ひんやりしていて気持ちがいい。だけどこんなものでは、全然頭が冷えない。蘇枋くんから離れれば、少しは冷静になれると思ったが、まだ胸はせわしなく鼓動したまま。
 落ち着いてから、蘇枋くんのところに戻ろう……。でも、一体どんな顔で蘇枋くんのところへ戻ればいいんだろうか。

「ねえ、」

 知らない声に呼びかけられたが、呼ばれているのが自分であることに気づけなかった。二回目の「ねえ、」という声でようやく自分が呼ばれていると気づき、声のした方へ振り返る。
 同じ学校の制服を着た女の子が4人いた。4人とも揃って可愛い女の子だった。学校でもすれ違ったことがある、いわゆる一群と飛ばれる女の子たちだ。
「なんで、蘇枋くんといるの?」
 その一言で、女の子とたちが話しをかけていた意図に気づいた。蘇枋くんが校門で待っている時、その周りには女の子がたくさんいた。たぶんこの子たちも、その中にいたのだろう。
 私が返答に悩んでいると、他の女の子が「やめなよ」と口を挟んだ。
「こんな子が、蘇枋くんに相手にされるわけじゃないじゃん。それよりも蘇枋くんのところへ行こう?」
「そうだよ。ほかの女子たち、もう蘇枋くんのところ行ってるよ。先越されちゃうって」
 私を睨んでいた女の子は、舌打ちを一つ残すと、踵を返して蘇枋くんがいる方へと駆け出した。
 重い足取りで、蘇枋くんのいるベンチのほうへと歩けば、もうそこには女の子の人だかりができていた。中心にいるのは、もちろんニコニコ笑った蘇枋くん。
 蘇枋くんとの距離が、あまりも遠い。
 蘇枋くんにはからわかれてばかりだし、蘇枋くんには私のかわりになる女の子がいっぱいいるし。
 なんだか、疲れた……。
 胸がズキズキと痛み、また目には涙が浮かんでいる。
 遠くにいた蘇枋くんが、ふとこちらを見て、視線がぶつかった。蘇枋くんは何か言おうとしていたが、何を言われるのも怖くて、私は蘇枋くんの前から逃げ出した。

Comments

  • Peringo

    きゅん

    June 4, 2024
  • R

    最高すぎました😭🫰続きめっちゃ楽しみです😊

    May 27, 2024
  • 大好きですありがとうございます 続き楽しみにしてます😭

    May 26, 2024
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