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【社説】首相が解散表明 なぜ今か 大義が見えない

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社説

 高市早苗首相が、23日召集の通常国会冒頭に衆院を解散すると表明した。衆院選は27日公示、2月8日投開票で、異例の短期決戦となる。

 重要法案の国会審議を後回しにしてまで、あえてこの時期に解散・総選挙をするのはなぜか。首相の記者会見では納得できる説明がなかった。多くの国民の疑問は晴れないままだろう。

 衆院選の影響で、国民生活に資する当初予算を3月末までに成立させることは困難になった。首相も暫定予算が必要だと認めている。

 首相はかねて、予算の早期成立を重視していた。それを脇に置いて解散に踏み切るのは、政権の都合を優先させたためと言うほかない。

 「今なら選挙に勝てる」と打算が働いたことも想像に難くない。やはり大義なき解散との批判は免れまい。

 高市内閣は発足直後から高い支持率を維持している。勢いに乗じて自民党の議席を増やし、政権基盤を強化してやりたい政策を実現する。それが狙いであることは記者会見の発言からも明らかだ。

 首相は「国論を二分する改革に果敢に挑戦するためだ」「進退を懸ける」と威勢のよい言葉を連ねた。

 とりわけ経済財政政策と安全保障政策に関しては、抜本的に転換する考えを繰り返し強調した。

 であれば、具体的な改革像を国民に示す必要がある。それなしに「高市早苗に国家経営を託せるかどうか」を国民が判断することはできない。

 記者会見では説明が足りなかった。自民の政権公約で詳細を明らかにし、衆院選の争点とすべきだ。

 今回の唐突な解散・総選挙は、首相が政治の師と慕う安倍晋三元首相の手法によく似ている。

 通常国会で本格的な論戦が始まると、閣僚や与党議員の失言や不祥事を追及される可能性がある。内閣支持率の低下につながる懸念材料から、国民の目をそらす意図もありはしないか。

 前回の衆院選から今回の解散まで1年3カ月しかたっていない。昨年7月には参院選が行われ、国政選挙はこの1年半足らずで3度目である。 これほど頻繁に国民の審判を仰ぐ是非についても議論しておきたい。

 与党幹部は「解散は首相の専権事項」ともっともらしく口をそろえるが、どこにも明文化されていない。

 憲法は7条と69条で衆院解散を規定する。69条では衆院で内閣不信任決議案が可決、または信任決議案が否決された場合に、内閣が総辞職せずに解散を選べる。

 首相の専権事項の根拠とされるのは、天皇が「内閣の助言と承認」により解散すると定める7条だ。これを恣意(しい)的に解散権が行使できると解釈するのは無理がある。

 解散権の乱用に歯止めをかけるべきだ。これも衆院選の争点にしたい。