このままでは日本車も半導体も作れなくなる…日本が誇る基幹産業を"人質"に取った習近平の「最大の切り札」
■各企業が分散させても対中依存度は6割 当面、中国が、日本に対する強硬姿勢を緩和することは考えづらい。わが国としては、米国との安全保障の関係を重視しながら、極東や台湾情勢への対応方法を独自に考えることが必要だ。安易に中国に譲歩すべきではないだろう。 ただし、レアアースの対日輸出規制の影響は、報道されている以上に深刻になる可能性がある。2010年に、中国は、一時、わが国に対するレアアースの輸出を停止した。それ以降、日本企業は調達先を分散し、2024年の対中依存度は6割程度に低下した。それでも最大のレアアース調達先であることに変わりはない。 昨年、中国は米国に対するレアアース輸出を規制した。その際、わが国でも、自動車の生産が停止する企業が出た。レアアース調達先の分散など、供給網の管理は各社で異なる。中国がレアアースなどの輸出を絞ると、国内の自動車、工作機械、半導体などの電子部品、防衛関連機器、およびバッテリー関連部材などの生産は減少するとみられる。 ■輸出停止でGDPが下押しされるリスク 自動車産業の付加価値創出額は約11兆円と推計されている。中国からのレアアース輸入が1年間停止し、輸入割合(6割)の分だけ自動車生産が減少すると、約6兆6000万円分の収益が減ることが懸念される。つまり、GDPの1%を超える打撃が発生する。他の産業への直接、間接の影響も含めると影響はそれを上回るはずだ。 1年程度の期間にわたって中国からのレアアースが入ってこないと、2〜3%程度GDPが下押しされるリスクは覚悟した方がよい。 さらに重要な懸念は、安全保障体制の不安定化だ。米国がアジア地域など世界の安全保障にどう関与するか、先行き不透明感は高まった。世界の主要国は防衛費を積み増している。わが国もその方針を掲げた。 わが国は米国との関係を維持し、欧州や韓国、アジアの親日国との連携を強化することが必要だ。必要に応じて、合同訓練などの必要性は高まる。今後、わが国は安全保障に関する政策を迅速に練り直すことが求められるだろう。