このままでは日本車も半導体も作れなくなる…日本が誇る基幹産業を"人質"に取った習近平の「最大の切り札」
■日本株の好調ぶりはいつまで続くか 1月上旬、国内の株価は史上最高値を更新したが、日中関係の悪化が経済に与える影響は過小評価できない。2025年11月以降、中国が台湾周辺や尖閣諸島周辺に、艦船や航空機を展開することは増えた。12月には台湾周辺での軍事演習も実施した。 中国軍の戦闘機による、自衛隊機へのレーダー照射も起きた。こうした中で経済の安定を維持するために、わが国は、安全保障体制を真剣に考える必要がある。それは、わたしたちの安心、安全に欠かせない要件だ。 また、個人や家計への打撃が懸念されるのは、物価上昇圧力が追加的に高まるリスクだ。主要国の景気動向を見ると、中国は日米欧と異なりデフレ圧力が高まっている。過剰生産能力の深刻化を背景に、経済全体で価格は下落傾向だ。たとえば昨年、中国ではレアアースの生産が急増し、価格下落圧力が高まったといわれている。 米大手金融機関などの推計によると、中国のデフレ圧力は世界の物価上昇率を平均して0.3〜0.5%押し下げたようだ。中には、0.7%程度の物価引き下げ要因になったとの試算もある。 ■日中関係の悪化は日本人の暮らしにも打撃 中国と欧州や米国は、鉄鋼製品やアパレル製品、太陽光パネル、一部の汎用型半導体、EVバッテリーのダンピング(不当廉売)を巡って対立した。そうした対立の構図は、世界経済の適切な運営にとって大きな障害になる可能性もある。 中国との円滑な貿易取引が難しくなると、わが国の企業は代替調達先を確保しなければならない。それに伴い、企業のコストは増加し、価格転嫁は加速するだろう。 日中関係の悪化、それによる中国の対日貿易管理の強化は、わが国のインフレ加速要因になるだろう。自動車分野では、素材や部品が不足して新車供給が落ち込み、中古車の価格上昇が鮮明になる恐れはある。衣料品、生活雑貨、食品も同様だ。 マクロ経済、安全保障、そして個人の生活への打撃を抑えるため、政府は中国との関係安定化を真剣に模索することが必要だ。 ---------- 真壁 昭夫(まかべ・あきお) 多摩大学特別招聘教授 1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授、法政大学院教授などを経て、2022年から現職。 ----------
多摩大学特別招聘教授 真壁 昭夫