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プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

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7分

※視点変更 パンタル・ワン → 栗栖和也

秘密基地を作っちゃおう!

 〝特殊武装戦隊マンデガン〟カッコいいよね! 僕、本物のヒーローを見たの、初めてだよ!   「……あ、夢中になっちゃってごめんなさい。自己紹介しなきゃ!」  栗栖和也だよ。僕たちは今、香川県に来ているんだ。  ここから〝ルート〟っていう、ワープゾーンを使って〝シギショアラ〟まで、魔界の(ゲート)を閉じに行くんだけど…… 『タツヤ、ルートの入り口は無事だ。いつでも移動できる』 「オッケー、ブルー。良かったぜ!」  あ、たっちゃんの口調が変わってるのは、変身してるからだよ。  でね、その〝ルート〟の入り口に、悪の秘密組織〝ダーク・ソサイエティ〟が、アジトを建設しようとしていたんだ。すごい偶然だよね! 「マズいね。敵に、われわれの存在を知られてしまった……」 「……いや、マスター。心配いらない。すでに、この施設内のネットワークに侵入して、今回の件に関するデータは、全て削除した。映像や音声データが、外部に漏れた形跡もないようだ」  モジャモジャ頭の〝マスター〟っていう人と、レッドが、なんだか難しい話をしている。 「そうか。キミたちは、地球を守るために戦っているんだな」  この人は後藤千弘(ごとうちひろ)さん。マンデガン・ブルー。 「それにしても、あなた達、すごく強いわね!」  このお姉さんは、慈許音(じもとね)貴代(たかよ)さん。マンデガン・レッド。 「まったくじゃあ! ちっこい体で、大したもんじゃのう!」  そしてこの人は、土田端(どたばた)和久(わく)さん。マンデガン・イエロー。  ヒーローの皆さんは、僕たちの事、あまり詳しくは聞こうとしないんだよ。秘密のヒーロー同士だから、事情を察してくれてるんだね、きっと。 「しかし、大ちゃん……もとい、レッドくん。敵は強大で得体が知れない。ここも、いずれまた狙われるかもしれないよ……」  マスターは困った顔をしている。  そうだよ。こんなに立派な建物を作りかけておいて、放っておいたりしないよね。 『タツヤ、普通の人間では認識できないはずの〝精霊〟ノームの声に、サルの姿をした怪人は、わずかだが反応していた。ヤツらは高確率で〝ルート〟にも、気付く恐れがある』 「それはちょっとマズイな。ルートを悪用されるとか、地味に厄介だ」  みんな、この場所をどうするか話し合っている。とっても大事な事だよね。 「……ならば、ここをマンデガンの基地にすればいい。私が少し手を加えて、無敵の要塞にしておこう」  えへへ。〝大ちゃんが少し手を加える〟って……たぶん、世界中の軍隊がいっぺんに攻めて来ても、平気な感じになるんじゃないかな。 「まず、外壁の強化と電磁バリアの設置だ。そして自動反撃システムは対空と対地をそれぞれ50機ずつ用意しよう。幸い、ここには資材が充分にある」 「いやはや、冗談……じゃないみたいだね。すまないがよろしく頼むよ。それで、日数はどれぐらい掛かるかな?」 「84分で作成と設置が完了する。その後、32分で、4着すべての〝マンデガン・ジャケット〟を、可能な限り強化しよう。少なくとも、今日のサル程度なら軽く倒せるぐらいになるだろう」 「ええっ?!」 「マジかよ……」 「今日、戦闘中に軽く改良した際に、ジャケットの構造は把握した。元がしっかりしているので、機能の向上は容易(たやす)い」  ……なんか、マスターもヒーローさんたちも、口を開けたまま固まってるんだけど。 「それと……ブルー。〝喫茶ガブロ〟から、ここまでの抜け道を作れないだろうか」 『了解した。早速とりかかろう』 「ありがとう、助かる。次に、光学迷彩だが……」  えへへ。あっちのお話は、僕にはあんまり関係ないみたい。それじゃ僕は、こっちの人たちと、お話をしようかな。 「……解除」  僕は、変身を解いた。  マンデガンの人たちには、素顔を覚えられても平気みたいだし、それに……えっと、変身したままだと、怖がらせちゃうから。ね? 「神の名に於いて命ずる。答えよ」  パン! という音が鳴り響く。それじゃ、始めようか。 「…………うん。そうだよね。あなたたちは、とても悪いことをしたんだよ」  目の前にいるのは、ダーク・ソサイエティの()()()()()人たち。  ……の、霊体。 「みんな、分かってるんだね。そう、生きている時は、どうしても、それに気付けないんだ。悲しいよね。みんな、本当は優しい人たちなのにね」  ここにいる3人は、自分がしてきた悪事をすごく後悔しているよ。 「大丈夫。神は……僕はあなた達を見ているよ」  だから、とても安らかな場所で、(つぐな)う機会が与えられる。怖くもないし、痛くもない、辛くもない、ただ、償いをする。そんな場所に行けるんだよ。  ……甘いかな? 生ぬるい? 違うよ。  それは痛みや苦しみをもって償うのとは、まったく別の事なんだ。人間の(ことわり)では、説明できないんだけど。 「そうだよ。もう誰も、あなた達を傷つけることは無いんだ。ほら、見えるでしょ? あの光を目指して行けば大丈夫」  とっても素直(すなお)な、いい子たちだったよ。  でも、ほとんどの人は〝少しだけ〟とか〝いっぱい〟とか差はあるけど、必ず〝悪い心〟を持ってしまうんだ。悲しいね。 「……という感じで大丈夫だろう。今回のように、怪人が複数で襲ってきても、籠城しつつ全員を呼び戻し、撃退する事ができる」 「すごい……! 本当にすごいよ、レッドくん!」 「この場所を防衛してもらえるなら、われわれも助かる。それではさっそく取り掛かろう。アース、(ほり)と壁の作成をお願いするよ」 「任せとけ! ちょちょいのチョイだぜ!」  あ、お話が終わったみたい。アースは、腕をグルグル回しながら部屋を出ていく。 「えへへ。僕もなにか手伝うこと、あるかな?」 「ああ、和也少年。悪いが、そこに転がっている怪人の死体と戦闘員を、こちらに並べてくれないだろうか。改造して、この基地の衛兵にするのだ」  すごいよね! レッドにかかれば、昨日の敵は今日の友だちだもん。  あ、でも、完全に粉々になっちゃって、死体が残っていない怪人もいたよね? 「〝イヌ〟と〝桃〟は、完全に(ちり)と化しているので、復元は不可能だ。〝ゲジゲジ〟と〝サル〟をお願いするよ……ん?」  レッドが、急にピタリと動きを止めて、怪人の残骸を見つめる。 「……どうしたの? レッド」  レッドは不思議そうに首を傾げてから、サル怪人が居た場所に近付いてこう言った。 「頭部が、無い」 「えっ……頭が? なんで……?」  確かに、手足と、胴体は転がっているけど、レッドがさっき切り飛ばしたはずの〝首から上〟が見当たらない。 「にゃー? 頭? アレじゃニャい?」  イエローが指さした先に、サルの頭が転がっている。 「ふむ? ……そうか。私の記憶では、ここに有ったはずなのだが。目を離したすきに、誰かが蹴ったのかもしれないな」  うわぁ。不注意で生首を蹴って転がすとか、怖いよね。  >>>  レッドは、本当に2時間足らずで、建設途中だった〝ダーク・ソサイエティ〟の基地を〝特殊武装戦隊マンデガン〟の基地に仕上げちゃった。 「これで、この基地を制圧できるのは、われわれ〝プラネット・アース〟ぐらいのものだろう」 「こんな短時間で……?! 信じられないよ! 一体キミは何者……いや、やめておこう。組織の秘密は、お互い知らないほうが良さそうだ」  マスターが、にっこりと微笑む。 「だいちゃ……レッド、そしてプラネット・アースのみんな! 本当にありがとな!」  後藤千弘(ごとうちひろ)さんが、右手をレッドに差し出した。 「少し待ってほしい……解除!」  変身を解いた大ちゃんは、後藤さんと握手を交わす。男の友情って感じで良いよね! 「大ちゃん、ありがとう! おかげで香川の平和は守れそうよ」  後藤さんと大ちゃんが固く握手している、その手の上に、慈許音(じもとね)貴代(たかよ)さんの手が乗せられる。 「うおおお! お前はすごいヤツじゃい! また会いたいのう……!」  土田端(どたばた)和久(わく)さんの手も重ねられた。  一度は同じ戦隊として戦った4人。きっと、僕たちには分からない、熱い友情が生まれたんだろうね! 「それじゃ、俺たちは行くぜー! また会おうなー!」  >>>  僕たち五人は、香川県をあとにした。目指すは〝シギショアラ〟だよ。 「みんな、ありがとな。おかげで助かったぜー!」  大ちゃんが、申し訳なさそうに苦笑いしながら言った。  それにしても〝ルート〟って面白いね。フワフワと宙に浮かんでいる感じだよ。 「九条くん、無事で良かったわ」 「本当に! 一時はどうなる事かと思ったよ」  彩歌さんとたっちゃんも、大ちゃんの無事を喜んでいる。 「やー! もし大ちゃんに何かあったら、ダークから手ぇ突っ込んで、ソサイエティをガクガク言わせてやるところだったさー!」  ああっ! セリフは意味が分からないけど〝精神感応〟で直接流れてくる感情を読むと、怖くて思わず泣いちゃいそうな内容だよ! 「それにしても、今回は危なかったなー! 変身できない上に、怪人が4匹だぜ?」 「だよね! あんなに悪い怪人が4匹も……あれ?」  待って? さっきいた怪人の霊体って、たしか3人だったよね……?  秘密基地を作っちゃおう!の挿絵1

初回投稿日時:2020年4月3日 6:48

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  • 賢者

    SHO

    ♡300pt 〇100pt 2020年4月3日 7時14分

    きーづいちゃったきーづいちゃったわーいわい!♬ ででででっででん!

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    SHO

    2020年4月3日 7時14分

    賢者
  • カレーうどん

    ガトー

    2020年4月3日 7時23分

    おはようございます!ヽ(=´▽`=)ノ🌏 いつもありがとうございます!  …………わたし、でっ◯ちゃんにそっくりらしいのですが……!(ノ∀`)

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    ガトー

    2020年4月3日 7時23分

    カレーうどん
  • れびゅにゃ~

    とら猫の尻尾

    ♡500pt 2021年5月11日 23時30分

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    おもしろい

    とら猫の尻尾

    2021年5月11日 23時30分

    れびゅにゃ~
  • カレーうどん

    ガトー

    2021年5月11日 23時46分

    有難きお言葉……! 。・゚・(ノ∀`)・゚・。 いつも勇気とパワーを頂いております! ありがとうございます!!

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    ガトー

    2021年5月11日 23時46分

    カレーうどん
  • チンチラちゃん

    hake

    ♡500pt 2020年4月10日 19時47分

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    「えぇーーーー!?」ステラ

    hake

    2020年4月10日 19時47分

    チンチラちゃん
  • カレーうどん

    ガトー

    2020年4月10日 21時31分

    (`;ω;´)アアッ!! 続けてお読み頂けて嬉しいです! いつも有り難うございますッッッ!

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    ガトー

    2020年4月10日 21時31分

    カレーうどん
  • ひよこ剣士

    渡鴉

    ♡300pt 2020年4月3日 10時00分

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    続きを楽しみにしてるよ

    渡鴉

    2020年4月3日 10時00分

    ひよこ剣士
  • カレーうどん

    ガトー

    2020年4月3日 10時43分

    アアッ(人´∀`).☆.。.:*・゚ありがたきお言葉! 頑張りますッッ!

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    ガトー

    2020年4月3日 10時43分

    カレーうどん
  • キューコ(デンドロ)

    潮ノ海月

    ♡200pt 2020年4月3日 7時34分

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    応援しています

    潮ノ海月

    2020年4月3日 7時34分

    キューコ(デンドロ)
  • カレーうどん

    ガトー

    2020年4月3日 9時26分

    いつも有難うございます! ヾ(*´∀`*)ノ ご声援にお応えすべく、全力を尽くしてまいりますッ!!

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    ▼▼

    ガトー

    2020年4月3日 9時26分

    カレーうどん

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