「存否応答拒否」の資料集
月刊ガバナンス(ぎょうせい)で連載コラムを書き始めてから四半世紀になります。当初は若手でしたが、今や最古参の一人です😅今回は、森友学園問題に関わる文書改ざん問題が「不存在」とされた事例を取り上げています。全部ではありませんが「開示」の方向へ向かう予定とのこと。真実が明らかになることを、当事者はもちろん多くの人たちが待ち望んでいます。
コラムを書き上げるために活用した資料を以下に紹介します。関心のある方はお読みください。なお、判決や答申の要旨はAIが生成したものです。細部の正確性はともかく、概ね的確な内容と言えます。こうした時代の変化に顔を背ける人もいますが、ボクは課題を限界や認識しつつもポジティブに受け止めています。遅筆にはありがたいツールです😆
25年1月30日、大阪高裁は財務省が大阪地検に提出した文書の「不開示」を取り消す判決を出した。対象は、森友学園問題に関わる文書改ざん問題で、財務省近畿財務局が大阪地検に任意提出した文書である。改ざんを命じられ、悩み苦しむ中で自死した元近畿財務局職員の妻(赤木雅子さん)が開示を求めていた。この判決を画期的と言うことはできない。むしろ、しごく当たり前な判決であり、「不開示」としてきた国の非常識が強く戒められた。石破首相は上告をせずに判決を受け入れた。
地裁判決【判決要旨】
本件は、原告が情報公開法に基づき、財務大臣および近畿財務局長が令和3年10月11日付けで下した行政文書不開示決定の取消しを求めた事件である。原告は、学校法人Aに対する国有地売却に関連する被疑事件の捜査に係る行政文書について、開示請求を行ったところ、両行政機関は、情報公開法第8条に基づく存否応答拒否を理由に、不開示決定を行った。原告は、当該行政文書の存在が公知の事実であるとの主張を展開したが、裁判所は、各不開示決定において、対象文書の存在の明示が、捜査機関が任意提出した文書の内容や捜査手法等を推知させ、将来の刑事事件捜査に支障を及ぼすおそれがあるとの理由に基づき、合理的な判断がなされたと認めた。また、行政機関の長に与えられた裁量権の範囲内で判断が行われたことについても、逸脱又は濫用が認められないと判断された。以上より、本件各不開示決定は適法であり、原告の請求は理由を欠くとして棄却する。なお、訴訟費用は原告の負担とする。
【第3 当裁判所の判断(存否応答拒否に関する部分)】
当裁判所は、情報公開法8条に基づく存否応答拒否の要件について、以下のとおり判断した。まず、行政機関の長が「開示請求に係る行政文書の存否」を回答することで、当該文書に記録された不開示情報が推知され、結果として本来開示すべきでない情報が露呈するおそれがある場合に限り、存否応答拒否が認められるとした。すなわち、対象文書の存在を回答すること自体が、不開示情報(特に、捜査の手法や内容、任意提出の事実等)を明らかにするリスクを伴う場合、その回答を拒否することが適法と判断される。さらに、当該判断にあたっては、対象文書の存在が公知の事実であるか否かや、行政機関が文書を任意提出したか否かといった具体的事実が十分に考慮されるべきであり、これらの情報が明らかになれば、存否応答拒否は許されないとする原告の主張を却下した。結果として、被告行政機関の長による存否応答拒否処分は、裁量権の逸脱や濫用には該当せず、合理的かつ社会通念上適当な判断として認められるとの結論に至った。
【情報公開審査会答申 要旨(存否応答拒否に関する部分)】
審査会は、本件各開示請求に対し、処分庁が文書の存否を回答するだけで、法第5条4号に定める不開示情報―すなわち、捜査機関の手の内に関する具体的な捜査内容や関心事項が推知され、将来の捜査に支障を及ぼすおそれがある情報―が明らかになる場合に限り、存否応答拒否が許されるとする法の趣旨を踏まえた。
一方で、審査会は、本件対象文書について存否を回答したとしても、明らかになるのは、単に任意提出の有無および文書が保有されているという基本的事実にとどまり、具体的な文書内容やその通数、詳細な捜査手法等の敏感情報が推知されるものではないと判断した。したがって、文書の存否を回答することによって、公共の安全や秩序の維持に著しい支障が生じると認める合理的な理由は存在しないとの結論に至った。
以上から、審査会は、本件対象文書の存否応答拒否は不適用であり、行政機関は文書の存否について回答すべきであると結論付けた。
【情報公開審査会答申 要旨(本件対象文書の存否応答拒否の妥当性に関する部分)】
審査会は、行政文書の存在を回答するだけで、捜査機関の具体的な捜査内容や関心事項―いわゆる「手の内情報」―が明らかになるとは認められないと判断した。具体的には、本件対象文書について回答すれば、明らかになるのは、財務省または近畿財務局が、被疑事件の捜査において東京地検または大阪地検に対して何らかの文書を任意提出したか否か、または保有しているという基本的事実にとどまる。さらに、たとえ回答により文書の通数や分量などが推知されたとしても、それが捜査手法等の機密性を侵害し、将来の捜査に支障を及ぼすほどの具体性を持つ情報に該当するとは認められない。よって、本件対象文書の存否応答拒否は、法の趣旨に照らして適用されるべき理由を欠くものであり、存否を回答すべきであるとの結論に至った。
二つの答申の比較
両答申とも、存否応答拒否の適用について、「文書の存否を回答するだけでは、捜査機関の具体的な手の内情報(捜査内容・関心事項)が明らかにならない」という基本趣旨を採っており、回答すべきとの結論に至っています。
【異同の指摘】
・表現面では、第一答申は「本件各開示請求」に対する回答全体を背景に説明しているのに対し、第二答申は「本件対象文書」に焦点を当て、より具体的な事実(例えば、任意提出の有無や文書保有の事実)に基づいて判断している。
・論旨の構造や結論はほぼ一致しており、双方とも、回答によって開示され得る情報は限定的であり、捜査の機密性を侵害するほどの具体性を持たないとの立場をとっています。
つまり、両者は趣旨および結論において大きな相違はなく、記述の焦点(全体的な開示請求と個々の対象文書)に若干の違いがある程度です。
交際判決と答申の比較
以下、記事が伝える高裁判決要旨と、前述の情報公開審査会答申の要旨との主な異同を指摘します。
【共通点】
・いずれも、文書の存否を回答するだけでは、捜査の具体的な手の内(捜査内容・内部判断等)が明らかになるとは認められず、回答すべきとする立場を採っている点は共通しています。
【異同】
・【高裁判決要旨】では、特に本件が2019年に不起訴処分となり捜査が終了している点を重視し、将来の捜査に支障を及ぼすリスクがないとして、存否応答拒否の適用理由が不十分であると判断しています。
・【審査会答申】は、より一般的な趣旨に基づき、任意提出の有無や保有状況などの基本事実しか明らかにならないため、存否回答が機密情報の漏洩に当たらないと結論づけています。
・つまり、高裁は事案特有の状況(捜査終了、改ざん事件等の内部事情)を踏まえて判断しているのに対し、審査会答申は一般原則として存否回答の合理性を認める立場を示している点で、判断の焦点や事案認識に若干の違いがあります。
参考リンク
行政機関の保有する情報の公開に関する法律
情報公開審査会の答申2024年3月29日 答申第899号 答申第890号
【判決要旨】公文書改ざん問題の関連文書、国の不開示決定取り消す(朝日新聞2025年1月30日)
<社説>
森友問題の文書 国は直ちに開示せよ(東京新聞2025年2月4日)
財務省と森友 ただちに文書の開示を(朝日新聞2025年2月1日)
森友「不開示」取り消し 真相解明の足がかりに(沖縄タイムス2025年2月1日)
日本弁護士連合会「情報公開法の改正に関する意見書(情報公開法の制度運営に関する検討会報告に対する意見)」2006年2月17日


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