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プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

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5分

終焉へのカウントダウン

「この〝部屋〟は……〝守護者〟は、もう……俺の命令を聞かぬ」  傷が(ふさ)がったとはいえ、まだ完全に回復したわけではない。  魔力も、ほぼゼロだろう。  ラゴウは苦しそうな表情だ。 「……すまぬ」    傷の痛みや魔力の低下もあるが、後悔と申し訳なさから来る表情だったようだ。  ラゴウが、ぼそりと謝罪の言葉を漏らす。 「俺はシェオールのために……人間の未来のために、邪悪な者たちを滅ぼさねばと思ったのだ」  僕が〝使役:土〟で作ったドーム状のシェルターに、織田さん、ラゴウ、僕の3人がいる。  〝接触弱体〟で補強したけど、接触面積が狭かったから、どこまで()つかはわからないぞ。 「88・87・86……」  カウントダウンが続いていた。  このままでは〝守護者〟が転送されてしまう。行き先は、地下都市シェオール、城塞都市、そして地球(アガルタ)。 「兄さん、なぜアイツらを止められないのですか?」 「……俺自身も〝終焉計画〟のターゲットになってしまったからだ」  ラゴウが立てた〝終焉計画〟は、シェオールに住む人間以外の知的生命体を全滅させるという物だった。  しかし〝部屋〟は今の人類を〝人間〟とは認めなかった。  ……結果、全ての知的生命体が、ターゲットとなってしまったのだ。 「つまり、俺の命令は〝抹殺対象からの命乞い〟という扱いになる。聞き入れられるはずもない」 「そんな……!」  織田さんは、焦った表情でラゴウを見る。 「78・77・76……」  そろそろ残り1分だ。僕が全力で攻撃しても、転送までにアイツらを全滅させるのは難しいだろう。  知的生命体の全消去。除外したはずのシェオール人も、抹殺の対象となっているようだ。現に、守護者から攻撃を受けたラゴウは大きな怪我を負った。 「そもそも〝守護者〟って何なんだ? 機械仕掛けの人形じゃないのか?」  僕の質問に対して、ラゴウは首を横に振る。 「〝守護者〟は、この部屋と管理者を守るための兵士だ。神ではなく、人……旧人類によって作り出された、疑似生命体なのだ」  生命を作るだって? 「70・69・68……」 『タツヤ。〝守護者〟が現れる時、細いロープのような物がたくさん積み重なっていた。これは推測だが、あの細い線を複雑に組み合わせて〝自我〟を持つほどの神経回路を構成しているのではないだろうか』  なるほど。全身が脳みたいなものか? でもさ…… 『自我を人為的に持たせる、なんて事が出来るのか……?』 『生物と人工物の区別をつけるのは、神様ではなくて、この世界のシステムそのものだからね。条件を満たせば、あらゆる物に魂は宿るよ? 何度も言うがアレは〝生命体〟だ』 「59・58・57……」  残り1分を切った。マズい! 「何か止める方法はないのか……?」 「計画に〝マイナスに作用〟する命令は聞かぬだろう……止めようがない」  ラゴウが、悔しそうに下唇を噛む。 「49・48・47……」 「兄さん、アイツらに弱点は無いのですか?」 「……無い。少なくとも、魔道士が〝守護者〟を倒す事は出来ぬ」  そう。アイツらに魔法は効かない。  いやそれどころか、呪文にも魔力にも頼る事のない〝使役:土〟ですら、かき消されてしまった。 「37・36・35……」  刻一刻と、転送の時間が迫る。もう……どうしようもないのか……?  マイナスに作用する命令は無効……まてよ! 「計画にプラスに作用すると判断されれば、命令を聞くかもしれないのか……?」 「内海さん、計画にプラスって……どういう事ですか?」  〝守護者〟は、物事を機械的に判断する、とても頭のいいバカだ。もしかしたらいけるかもしれない! 「〝守護者〟に〝知識〟や〝教養〟を与えることはできるのかな?」 「……可能なはずだ。だが〝守護者〟に知恵をつけてしまえば、さらに驚異が増すだけではないのか?」  そう。計画にはプラスであろう命令。これなら拒否されることはないだろう。  (いぶか)しげな表情の織田さんと、怪我と魔力低下も相まって(うつ)ろな表情のラゴウ。 「内海さん、なぜそんな命令を?!」 「19・18・17……」  時間がない! 急がないと手遅れになるぞ? 「早く命令を! 大丈夫、きっとうまくいくから!」 「14・13・12……」 「……わかった。やろう」 「兄さん?!」  ラゴウは苦しそうな表情で、命令を告げた。 「〝終焉計画〟遂行のための追加命令だ。今すぐに俺の〝知識〟を、全ての〝守護者〟に複写しろ」  数秒の沈黙。  どうだ?! 「……了りょう解かい・しました・ますたー・の・脳のう内ない・情じょう報ほう・複コピー写・3・2・1・完かん了りょう・しました」  突然、ドームの外で大きな爆発音か響き、部屋が大きく揺れる。  よし! やったぞ! 「な、何が起きたんですか!?」  爆発音は増え続け、振動は激しさを増してゆく。僕たちのドームにも、何かがぶつかるような音が聞こえるが、なんとか持ち(こた)えているようだ。 「なるほど、同士討ちか……!」  ラゴウが苦しそうな表情のまま、ニッと笑う。  そう。見えないけど、このドームの外では、1000体の〝守護者〟達による、殺し合いが起きているはずだ。 「同士討ち?! なぜ急にそんな……〝守護者〟に、兄さんの知識を与えただけではないんですか?」 「そうだ。与えられた命令を機械的に実行するだけだった1000体の〝守護者〟は、俺の知識を得た。つまり〝知的生命体〟となったのだ」 「……知的生命体? そうか! 〝守護者〟たち自身も抹殺対象になったんですね!」  その通り。アイツらが生き物だというなら、ある程度の知恵をつけてやれば、条件はすぐに満たされる。  命令に忠実な奴等だ。目の前に群がるターゲットを放っておくことは出来ないだろう。 「異い常じょう事じ態たい・発はっ生せい・中ちゅう・転てん送そう・可か能のう・な・〝守DO護LL者〟・あと・48・29・13・9・8・3・1」  徐々に戦闘音が治まっていく。  やれやれ。これで最後の一体を倒せば一件落着だな。  ……僕はドームを解除した。  部屋一面に転がる〝守護者〟の残骸……いや、死体かな。 「転てん送そう・完かん了りょう」  僕たちが目にしたのは、生き残った最後の一体が、不思議な光りに包まれて、どこかに転送されていく姿だった。 「うおおおい! ちょっと待て!!」  一体とはいえ、魔法効果を無効化し、怪我も瞬時に治してしまう、魔王を凌ぐほどの戦闘力を持ったバケモノが、外界へ解き放たれた。  ヤバい! 今のヤツ、どこへ飛んだんだ?! 終焉へのカウントダウンの挿絵1

初回投稿日時:2020年3月4日 22:30

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  • 賢者

    SHO

    ♡300pt 〇100pt 2020年3月5日 7時05分

    詰めが甘ああああああい(笑) ナル〇の分身同士が喧嘩して……みたいなのを想像して可笑しかったんですけど、そりゃあ最後に一人は残るよなとw

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    SHO

    2020年3月5日 7時05分

    賢者
  • カレーうどん

    ガトー

    2020年3月5日 8時11分

    🌏ヾ(*´∀`*おはようございます〜! いつも有り難うございます! 今回はナ◯トですか! これはもう集○社さんが黙ってないですね!(*´σー`)エヘヘ ←自意識過剰&何故か嬉しそう

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    ガトー

    2020年3月5日 8時11分

    カレーうどん
  • れびゅにゃ~

    とら猫の尻尾

    ♡500pt 2021年1月24日 23時11分

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    えんどろ~!ファイ

    とら猫の尻尾

    2021年1月24日 23時11分

    れびゅにゃ~
  • カレーうどん

    ガトー

    2021年1月24日 23時21分

    。・゚・(ノ∀`)・゚・。有難うございます! もっともっとお楽しみ頂ける作品目指して、頑張ってまいります!!

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    ガトー

    2021年1月24日 23時21分

    カレーうどん
  • チンチラちゃん

    hake

    ♡500pt 2020年3月5日 16時18分

    えぇぇえぇぇぇぇえぇえ!!!????:(;゙゚'ω゚'): つ、続きを……ッ続きをぉおおおお!!!!

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    hake

    2020年3月5日 16時18分

    チンチラちゃん
  • カレーうどん

    ガトー

    2020年3月5日 18時24分

    あああああっ! 嬉しいですッッ! いつも有り難うございます! (´;ω;`)ブワッ  とても危険な存在、どっか飛ばされる! ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブルもう少しだけ、お待ち下さい!!

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    ガトー

    2020年3月5日 18時24分

    カレーうどん
  • ひよこ剣士

    渡鴉

    ♡200pt 2020年3月5日 0時21分

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    グッジョブ!

    渡鴉

    2020年3月5日 0時21分

    ひよこ剣士
  • カレーうどん

    ガトー

    2020年3月5日 1時26分

    いつも有難うございます! ヾ(*´∀`*)ノ 頑張ります!!

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    ガトー

    2020年3月5日 1時26分

    カレーうどん

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