ドラッグストアは「業界トップ3以外」消える?ウエルシア×ツルハ経営統合の本当のワケ
【合併の狙いその(2)】「トップ3」入りが“超大事”と言えるワケ
下表は日本のドラッグストアの売上高上位10社(2024年度)です。 この1位と2位が経営統合して、ダントツ1位の企業連合が誕生したわけです。これを見ると分かるのですが4位(現在3位)のコスモス薬品と5位(現在4位)のサンドラッグとの売上差が2,100億円以上あります。そして、6位(現在5位)のスギHDと7位(現在6位)のクスリのアオキHDとの間に3,000億円以上の開きがあります。 これだけの差が開いていると、なかなかスケールメリットをだして対抗するのが難しくなります。どの業界でも言われることですが、それぞれの業界のトップ3に入っておかないと、どこかの企業のM&A対象にもなり得ます。その意味では、ドラッグストア業界も生き残りをかけた、非常に難しい時代に入ったと言えるのです。単に前年比で2桁以上伸びていれば安泰という時代ではないのです。 2026年に入ってイオンはクスリのアオキHDとの業務提携を解消したことを発表しました。業界トップ3入りが超大事な中で、クスリのアオキHDは単独路線でスケールメリットを追わない選択をしました。この選択が今後、同社や同業他社の経営にどのように影響するのかも注目です。
【合併の狙いその(3)】日本初の「世界3強」に現実味?
日本のドラッグストア市場に対して、世界のドラッグストア市場はどんな状況に置かれているのでしょうか。 世界の薬局・ドラッグストア市場は日本市場以上に成長を続けています。世界の先進国では高齢者が増え続けていくことや、さまざまな疾患、健康分野への意識の高まりにより、今後も市場は拡大していくことが確実です。2029年には1兆5,536億4,000万米ドル(155円換算値;約240兆8,000億円)に達すると予測されています(Global Health and Aging reportより)。 同レポートでは、65歳以上の高齢者数は2050年までに15億人近くに達し、特に発展途上国で大幅に増加すると予測しています。がん、認知症、肥満、糖尿病などの疾患の増加により、薬局・ドラッグストア市場の顧客数も世界中で拡大していきます。 現在、世界のトップ2はウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、CVSヘルスという、いずれも米国を主体とするドラッグストアチェーンで、ドラッグストアなどの小売り部門の売上が20兆円を超える巨大企業(※CVSヘルス社は健康保険やヘルスサービス事業も含めると24年度で50兆円以上の売上)です。 3番手が香港のASワトソングループです。ASワトソングループの24年度の売上高は243億ドル(約3兆7,000億円)、アジアとヨーロッパで約1万7000店舗(2024年)を展開しています。 これらの世界トップ3とツルハとウエルシアの合算値148億ドル(約2兆3,000億円)、約5600店舗(2024年)を比較すると、まだ開きはありますが、「世界3位が視野に入ってきた」(同社)と考えているようです。今回の統合は、まずは日本でダントツの1位となり、世界のトップ3に入ることを狙った統合です。世界展開を前提に企業経営を進めることを決断したと言える統合なのです。