生活保護で「社会復帰しよう」と思ってバイトを始めると、制度上の罠にハマることがある。
多くの自治体では、ケースワーカーが「来月はこのくらい稼ぐだろう」という見込み収入を立てて、それを前提に翌月の支給額を事前に決める。
例えば、今月は日雇いで5万円くらい稼げそうだと見込まれた場合、翌月の保護費はその5万円分を差し引いた額になる。
ところが、実際には日雇いが入らずほとんど稼げなかったとする。すると理屈の上では後日精算されるのだが、振り込みは即日ではない。早くて中旬、遅ければもっと後になることもある。その間、どうするか。まず家賃を待ってもらう、という事態が現実に起こり得る。
役所からは「収入の予測が外れましたね、不足分は振り込みます」と連絡が来る。
だが問題は、それまで食いつなげなかったらどうなるのかだ。
じゃあ日雇いで埋めればいいかというと、そう単純ではない。稼いだ分はそのまま収入認定され、翌月の支給額がまた減る。後から帳尻は合うように調整されるが、ケースワーカーの計画と実際の稼ぎが噛み合わなかったとき、一時的に金が足りなくなる状況は簡単に起きる。
さらに、たまたま頑張れて保護費を超える収入を一月だけ稼げてしまった場合はどうなるか。
即廃止になることは少ないが、停止や再判定が入り、現場は一気に混乱する。経験者として言うが、この局面は本当にたいへんだ。翌月の支給がスムーズに再開される保証はなく、生活の不確実性が一気に跳ね上がる。
生活保護から抜け出そうとする意欲やメンタルを持っている人ほど、このトラップにかかりやすい。
生活保護を抜け出そうとする人が少ない、なんて批判されるけどこれは怠けの問題などではない。挑戦した瞬間に生活リスクが発生する制度設計の問題だ。
堕ちる人を受け止めるセーフティネットではあるが、同時に蜘蛛の巣のような構造を持っていて、一度絡まると抜けにくい。結果として「現状維持で働かないほうが、精神的にも金銭的にも安定する」という合理が生まれる。
学歴やどこでも通用する資格がある人、あるいはいきなりフルタイム復職できるガッツマン以外は、気合と根性と運が揃わないと抜け出せない制度だ。
問題は個人ではなく、明らかにシステムの側にある。
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佐々木大志郎|年末年始支援のクラファン挑戦中!
@dai46u
1月15日、東京・杉並区のアパートで強制執行に訪れた執行官ら2人が刺され、1人が亡くなる痛ましい事件が起きました。逮捕された男性は「生活保護を打ち切られた」と供述していると報じられています。報道によれば「保護を受けながらスキマバイトを始めたが、それが原因で保護を廃止された」とのこと。
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