戻る

プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

92 / 267

5分

※視点変更 栗栖和也 → 大波友里 ※舞台変更 廃工場 → 某病院

姉ちゃんに報告しよう!

「心配していたのよ? どうしてすぐに来てくれなかったの?」  姉ちゃんが怒るのも無理はない。この前の戦いから3日、私はここに来るのを躊躇(ためら)っていた。  あ、いっけねー! 名乗らなくちゃ!  ごめんごめん、私だよ、ユーリちゃんだよ!  今日は、姉ちゃんが入院してる、病院に来てるんだ。 「電話で〝勝った〟ってだけ言って、そのままって、一体どういう事なの?」  ……ここに来づらかった理由は、いくつかあるんだよ。まず一つが、 「とにかく、よくやったわ! さあ、ガジェットを出して。メンテナンスしなきゃ」  これだよー。どうしよう…… 「何してるの? 早く出して」 「……壊れちゃった」 「……え?」 「…………」 「ごめん、ユーリ、よく聞こえなかったわ。もう一度言ってくれる?」 「……ガジェット、壊れちゃった」  姉ちゃんは、目を見開いて、口をパクパクしている。 「壊れたって……壊れたってユーリ! あなたそれ、どういうことか分かってるの?!」  そりゃあ、こうなるよねー。  で……  こうなると、たぶん、もう一つ、聞かれるよなー…… 「それで、どう壊れたの?! ガジェットはどこ?!」  ……ほらぁ。 「ここには無いの。でも、大丈夫だから!」 「なにが大丈夫なの? 意味がわからない! ガジェットが無いと、もう地球はおしまいなのよ?!」 「う、うん……」 「ガジェットはどこなの! 言いなさい!」  ……言うと、絶対に怒られるよなぁ。でも、ちゃんと説明しなきゃ。 「大ちゃんに、預けたんだよー」 「……はい?」 「直せるって言ってくれたからさー、預けたの」 「……!?」  ね……姉ちゃん、まず、瞬きと呼吸をして。死んじゃう。 「ユーリ? お姉ちゃん、ちょっとあなたが何を言ってるのかわからないの。もう一度、言ってくれる?」 「だから、大ちゃんにね、預けてね、直してもらってるんだー」  あ、姉ちゃんに瞬きが戻った……てか、いつもの10倍ぐらい瞬いてるよ。 「だいちゃんって……誰?」 「やー! クラスメイトでさー! すっごい、頭が良くてさー!」  あ、あれ? 姉ちゃんが小刻みに震えてる? 「ちょっと、そこに座りなさい……そうじゃなくて、正座……で、ちょっと頭を出しなさい」  ……おもいっきり引っ叩かれた。あいたた! 何すんだよ、姉ちゃん! 「何すんだよじゃない! あなたの方こそ何してるのよ! 大切なガジェットを、あろう事か、地球人に預けたですってぇぇぇ?!」 「だって、大ちゃんが直してくれるんだよ? 預けなきゃだめじゃんかー!」 「ユーリ、あなた正気なの?! ガジェットを直せる人間なんて、銀河中を探しても、そうそう居ないのよ?! それを、地球人の? しかも小学生が?!」  姉ちゃんは大きく息を吸い込んだ。 「直せるわけないじゃない! 馬鹿なの?! あなた馬鹿なの?!」  2回も馬鹿って言われた…… 「はぁ……はぁ……」  良かった。呼吸も戻ったみたいだよ。 「今すぐに、取り返してきなさい」 「……え?」 「え? じゃない。 早く!」 「いや、姉ちゃん、なんで? 大ちゃんは絶対、ちゃんとガジェットを直してくれるんだよ? あ、そうだ、パワーアップもしてくれるって! だから任せようよ!」 「……ユーリ、あなた本気で言ってるの? ガジェットを修理? パワーアップですって?!」 「姉ちゃん、落ち着いて。大ちゃんはすごいんだよ。ガジェットは絶対に直してくれるからさー」  と言った瞬間、姉ちゃんが涙をこぼした。ええ?! なんで? 「ユーリ……あなた、本当にどうしたの? どうして……どうして……」  ポロポロと涙を流し続けている姉ちゃん。  ぜんぜん心配ないのに、なんで泣くかなー! 「泣かないで。大丈夫だから。大ちゃんに任せれば大丈夫だから!」 「この子は、まだ言うの?!」  姉ちゃんは腕を大きく振りかぶって、私の頬を叩こうとした。  次の瞬間、その手を、赤いラインのスーツを身に(まと)ったヒーローが受け止めた。  ……やけにカッコいいエフェクトとともに、変身が解ける。 「ユーリ、お前は本当に説明が下手だなー!」  大ちゃんだー! 「誰?!」  それだけ言って、なんとも言えない表情で固まっている姉ちゃん。  そりゃー驚くよー。目の前に突然、ヒーローが現れたら。 「はじめまして! 俺は、九条大作。大ちゃんって呼んでほしいぜー!」 「あなたが……大ちゃん?」 「病室の扉、開けっ放しだったぞー? 大声でやっちゃ駄目な内容の会話だろー」  あれ? 閉め忘れてたかー! またやっちった! 「お姉さんには、俺から説明するぜー……ユーリ、これ」  大ちゃんが渡してくれたのは、ガジェット。え? もう直ったの? 「ちょっと材料を揃えるのに手間取ったけどなー! ひと晩あれば、十分だぜー!」  やー! やっぱ大ちゃんカッコイイ! 好きすぎる! 「直ったって……あなた、一体」 「俺は、たぶん地球で一番頭がいい小学生だぜー!」  それ、自分で言っちゃうんだ! さすが大ちゃん! 愛してる! 「そのガジェットは、武装用の回路が傷んでたから、修理がてら、ちょっとパワーアップさせておいた。試してみてくれるかなー?」 「えっと、その……大ちゃん? それを扱える技術者なんて、地球には居ないのよ? 直すどころかパワーアップなんて……」 「あー。普通は、そうだよなー」  でも、俺は普通じゃないからなー! と言って、ニヤッと笑う大ちゃん。もうダメ! 抱きしめて! 「やー! とにかく、動かしてみるよ! 姉ちゃん、ガジェットに触れて」 「まあ、時間を止めるとかの回路は、あんまりイジってないけど、エネルギー効率は、30%ほど、良くなってると思うぜ」  姉ちゃんは(いぶか)しげに、ガジェットに触れた。早速、戦場(ボード)を作成する。  ……病室の時計の秒針が止まり、周囲の音が全くしなくなった。良かった。ちゃんと動いてるよ。 「壊れてはいないようね。良かったわ」  ほっとした様子の姉ちゃん。 「よし、じゃあ、武装を試してくれよー!」 「えええええっ?! なぜ動けるの?! あなたガジェットに触っていないのに!」  ギョッとした様子の姉ちゃん。 「んー。まあ、こういう所が、ちょっと普通じゃないんだよなー」 「姉ちゃん。実は、この前の戦い、大ちゃんが助けてくれたんだ」 「ああ。あれはヤバかったなー!」 「……あなた、何者なの?」 「まあ、それについては あとでゆっくり説明するぜー! ユーリ、武装してみてくれよ」 「りょーかい! 武装!」  まばゆい光が辺りを包み、いつものように、戦闘装束に……うわぁ! すっごい! 「ユーリ、その姿は……?!」  姉ちゃんが驚くのも無理はない。  病室の洗面台の鏡には、今までの重厚な武装ではなく、大ちゃんや、たっちゃんと同じような姿の、ヒーローが映っていた。 「ラインは黄色だ。お前、ミカン好きだからなー」  さっすが大ちゃん! 愛を感じちゃうなぁ!! 姉ちゃんに報告しよう!の挿絵1

初回投稿日時:2019年11月16日 6:50

0

この作品が面白かったら「いいね」を押してね!

会員登録をして、さらに応援スタンプ・コメントで作品を応援しよう!

コメント

もっと見る

コメント投稿

スタンプ投稿


  • 賢者

    SHO

    ♡300pt 〇100pt 2019年11月16日 7時51分

    この場合、ユーリの説明が下手というか、凝り固まった常識はリンゴより硬いって事で、それをぶっ壊しつつ相手を納得させる為にはつまり、最低限作者様の握力に勝るパワーが必要とされる訳であり、それ即ち大ちゃんという事なんですよね! ・:*+.\(( °ω° ))/.:+

    ※ 注意!このコメントには
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    SHO

    2019年11月16日 7時51分

    賢者
  • カレーうどん

    ガトー

    2019年11月16日 12時47分

    アアッΣ(´∀`;) いつも有難う御座います!  まさかの〝作者の握力話に一旦飛び火する〟パターン?! ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル 

    ※ 注意!この返信には
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    ガトー

    2019年11月16日 12時47分

    カレーうどん
  • チンチラちゃん

    hake

    ♡500pt 2019年11月16日 15時45分

    大ちゃんかっこいいーーー!!!・:*+.\(( °ω° ))/.:+ これはユーリちゃん惚れ直すでしょうし、お姉ちゃんも認めてくれますね!? きっと!!

    ※ 注意!このコメントには
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    hake

    2019年11月16日 15時45分

    チンチラちゃん
  • カレーうどん

    ガトー

    2019年11月16日 16時40分

    コメントとポイントいつも有難うございます! ヾ(*´∀`*)ノ 大ちゃんをお褒め頂けて嬉しいです! (≧▽≦)キャー お姉ちゃんの〝地球を守りたい〟という強い気持ちには、理由があります(ノ∀`)この後のお話、ご期待下さい!

    ※ 注意!この返信には
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    ガトー

    2019年11月16日 16時40分

    カレーうどん
  • ひよこ剣士

    渡鴉

    ♡200pt 2019年11月16日 16時24分

    ※ 注意!このコメントには
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    ほほう やるではないか

    渡鴉

    2019年11月16日 16時24分

    ひよこ剣士
  • カレーうどん

    ガトー

    2019年11月16日 16時28分

    いつも有難う御座います! ヾ(*´∀`*)ノ 嬉しいですッッ!

    ※ 注意!この返信には
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    ガトー

    2019年11月16日 16時28分

    カレーうどん

同じジャンルの新着・更新作品

もっと見る
  • ヒーローをプロデュース

    健はヒーローになれるのか?

    113

    19.6K

    670


    2026年1月19日更新

    保坂健は庶民でごくフツーの高校生。 そんな健が西園寺財閥の令嬢で、全国模試1位、陸上百メートル覇者、人気モデルの西園寺未来に恋してしまった! 「俺は未来ちゃんの彼氏になる! 彼氏になってあんなことやこんなことをヤッてやるぜ!」 一念発起した健は周囲にからかわれながらも、ひたむきに頑張る! そんな時、健の超能力が偶然発動! ある目的のために超能力者を集めていた未来は健をスカウトする。 かくして始まった健と未来の物語! これに謎の魔導組織〝暗黒黙示録神団〟が関わって── 果たして健は未来の彼氏になれるのか? 未来のヒーローになれるのか? 超能力・青春ラブコメをぜひお楽しみください!

    • 暴力描写あり
    • 性的表現あり

    読了目安時間:2時間16分

    この作品を読む

  • bar「Bloody Moon」Refresh

    店に関わる人達の少し不思議な日常短編集

    0

    100

    0


    2026年1月19日更新

    「執事」としてお客様を「久々に帰ってきたご主人様」としてお迎えするコンセプトバー。 ――bar「Bloody Moon」(バーブラッディムーン) 同名シリーズの心機一転版です。 改めてイチから読む方向けのキャラ紹介短編シリーズに近い作品集。 ※設定およびキャラクターは前シリーズと共通です。

    読了目安時間:1分

    この作品を読む

  • ハッピー・カニバリズム・スローライフ

    因習村出身リーマンと人喰い女子大生の毎日

    0

    0

    0


    日時集計中

    主人公である捌キノ健二は因習村出身の悪人である。 神への贄として人間を調理する捌キノ家の役割を誇りに思い、村を潰した現代社会を恨んでいる。 ヒロインである古島ミミミは人喰いの悪人である。 人喰いによって得られる超人的な力と第六感に魅了されている。 この作品はボーイミーツガールである。 同じ趣味を持つ男女が出会い、温かな食卓を囲んで仲を深めていく作品である。 問題なのは主人公とヒロインが悪人である事。 そして、二人を繋ぐ因果が食人である事。 故にこの物語は穏便に終わらない。 まともなスローライフなんて出来るはずもない。 ヤクザも悪魔も警察も天使も、世界の全てが主人公達の敵だ。 それでも、二人は幸せな生活を手に入れるでしょう。 世界にとってのハッピーエンドを身勝手で幸せなバッドエンドで塗り潰して。 ※週一更新でのんびりと連載予定です。

    • 残酷描写あり
    • 暴力描写あり

    読了目安時間:2分

    この作品を読む

  • ダンシング・ウェポン

    それは、武器を持たない戦士

    375

    1.1M

    7.5K


    2026年1月19日更新

    80年代のアメリカの街、メンフィス。空前のダンスブームのこの街では、鍛え上げられたブレイクダンサー──通称B-boyたちがスケボーで走り回り、建物間を飛び回る。喧嘩、場所取り、異性へのアピール、どんなことも踊って決めるのが彼らの風習。 その中で、トップクラスのB-boyとして腕を振るうスパイクは、謎の少女フレアの紹介により、大男赤蜂とバトルすることになる。しかし、彼女にはある秘密があった。さらに、B-boyたちを蝕む陰謀が徐々に明らかになる。 自身の欲望や名誉のために交錯するダンサーたち。これは、この時代に生きた若きダンサーたちのプライドと葛藤を描いた物語! ※ダンスの知識が無くても楽しめます! ※今作は一部、実在する場所や建物の名称を使用していますが、物語そのものはフィクションです。ダンサーのしきたりや街での抗争も創作であり、実際のダンサーの行動様式とは異なります。ご理解の上お楽しみください。 表紙絵、作中挿絵は自作しております。

    • 暴力描写あり

    読了目安時間:25時間55分

    この作品を読む

読者のおすすめ作品

もっと見る
  • 水田柚のドット絵プロムナード

    描いたドット絵を飾っています

    434

    217.5K

    415


    2026年1月17日更新

    作家を休んで絵師になって二年。 今まで描いたドット絵と、今から描くドット絵を不定期で飾っていきます。

    読了目安時間:1分

    この作品を読む

  • 魔法使いの宿題

    魔法使いはある宿題を出す

    3

    2K

    200


    2026年1月19日更新

    貧しい国に生まれた少年に魔法使いは宿題を出す。

    読了目安時間:1分

    この作品を読む

  • 蒼空世界のメカ娘~レミエと神とあの空の話

    生意気最強メカ娘と往く空中都市の冒険譚

    72

    2.4M

    8.6K


    2026年1月19日更新

    機械の四肢で空を駆けるメカ娘『奉姫』が人を支える空中世界『カエルム』 空の底、野盗に捕えられた奉姫商社の一人娘『アリエム・レイラプス』を助けたのは奇妙なAIと奉姫のコンビだった。 『奉姫の神』を名乗るタブレット、カミ。 『第一世代』と呼ばれた戦艦級パワーの奉姫、レミエ。 陰謀により肉体を失ったというカミに『今』を案内する契約から、アリエムの冒険が始まる。 カエルムと奉姫のルーツ、第一世代の奉姫とは? 欲する心が世界の秘密を露わにする、蒼空世界の冒険譚。 ・強いて言えばSFですが、頭にハードはつきません。むしろSF(スカイファンタジー) ・メカ娘を率いて進む冒険バトル、合間に日常もの。味方はチート、敵も大概チート。基本は相性、機転の勝負。 ・基本まったり進行ですが、味方の犠牲も出る時は出ます ・手足武装はよく飛びますが、大体メカ娘だ。メカバレで問題ない。 ※2020.3.14 たのの様に表紙およびキャラクターデザインを作成いただきました。 ※2020.8.19 takaegusanta様にメカニックデザイン(小型飛空艇、十二姫装)を作成いただきました。 ※2021.9.17 Gen様にキャラクターおよびメカニックデザインを作成いただきました。 ※2022.8.17 ドズミール様にキャラクターおよびメカニックデザインを作成いただきました。 ※2023.2.15 なないち雲丹様にキャラクターおよびメカニックデザインを作成いただきました。 ※2023.1.15 ドクロ改様に第1部17話『アノソラのメサルティム』に挿絵を作成いただきました。 ※2023.9.15 鉄機様に第1部35話『メズラク決戦』の挿絵を作成いただきました。 ※2023.11.24 鉄機様に第2部5話『スカイレイダー(2)』の挿絵を作成いただきました。 ※2024.7.15 なないち雲丹様に第1部18話『航空警備隊24時』他の挿絵・キャラクターデザインを作成いただきました。 ※2024.12.21 takaegusanta様に第3部1話『奉姫転生』他の挿絵・キャラクターデザインを作成いただきました。 ※2025.1.7 鉄機様に第1部35話『メズラク決戦』の挿絵を作成いただきました。 ご協力いただきましたクリエイターの皆様、この場を借りて感謝申し上げます

    • 暴力描写あり

    読了目安時間:35時間14分

    この作品を読む

  • 爆炎のサガ

    やさしさは万能のギフト

    380

    297.6K

    14.6K


    2026年1月17日更新

    転生ハイエルフの元王女が持つギフト【万能】は優しさを開花させて行きます ※本作品の表紙絵と挿絵は生成画像です

    • 残酷描写あり
    • 暴力描写あり
    • 性的表現あり

    読了目安時間:3時間32分

    この作品を読む