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プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

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5分

潜入せよ! ドラム缶工場跡地

 〝実験体〟は、マラソン大会が行われた日から、ダーク・ソサイエティのアジトに居るようだ。  大ちゃんを誘拐するために、実戦テストも兼ねて連れて来られたみたいなんだけど…… 「……結局、調整が間に合わなくて作戦には参加させなかったの。あれはとても危険よ」  それは、動物がベースで、様々な改造が施された、殺戮兵器。  命令は聞かないし、とにかく、すごい暴れん坊で、地下にある鋼鉄のケージに入れられてるけど、その気になれば、こじ開けて外に出ちゃうかもだって。 「アジトは、ここからすぐ近くの廃ビルよ。わかるかしら。元ドラム缶工場の……」 「うん……そこなら知ってるよ」  なるほど。あそこなら、敷地も広いし、人通りも少ない。アジトにはピッタリの場所だよね。  ずっと前に一度、たっちゃんと大ちゃんと僕で、あの中を探検した事があったけど、大人の人が出てきて追い出されちゃったんだ。 「あれ? そういえばあの人、黒いスーツを着てたような……」 「あそこには、いつも戦闘員が2体居るわ」  うわわわ。怖い! きっと、その時の大人って……よく追い出されるだけで済んだなぁ…… 「実験体は、力が強い上に素早いし、カメレオンのように、姿を消すことが出来るの。気をつけて」  見えなくなるのは、すごく厄介だよ……  急ごう。あの日からもう随分と経ってるし、きっとお腹を空かせてるから、外に出て、暴れ出しちゃう。  たっちゃんの話だと、戦闘員は毒ガスで攻撃して来るみたいだから、変身しなきゃだね! 「よーし、へんし……あ!」  よく考えたら、僕が変身した姿は、アースやピンクにそっくりで、コロンビーナを怖がらせちゃうかもしれない。先に天界に送ってあげなくちゃ。 「あなたを、天界に送ります。あとのことは僕に任せて、安心して行ってね」 「はい、ありがとう、あなたは神様……?」 「えへへ。僕はね、まだ神様じゃないんだよ」  ブルーさんの話では、救世主は、いずれ神様にもなれるらしい。もちろんその時は、るりちゃんも一緒に。 「それじゃ、いくよ!」  僕は、両手を天にかざした。 「神の名に於いて。この者に安らぎを与え給え」  地下室なのに、頭上に青空が現れて、光が差し込む。 「ありがとう、ありがとう」  コロンビーナは、笑顔でこの世を去っていった。 「……よし、じゃ、行こうかな」  僕は腕時計のボタンを押す。 「変身!」  まばゆい光に包まれて、変身が完了した。そういえば久しぶりだよね! 「さあ、急がねばなりません」  僕は地下室を出て、ダーク・ソサイエティのアジトを目指した。  >>>  道中、誰にも会わなかったのは〝確率操作〟の効果かな?   敷地をぐるっと高いブロック塀に囲まれた、ここが元ドラム缶工場の入り口だよ。  黄色や赤の〝立入禁止〟と大きく書かれた看板が、いろんな所に貼り付けられている。  かなり昔に廃業したようで、壁の向こうに見える建物は、かなりボロボロ。オバケとか出てきそうだよ……! 「(おさな)かったとはいえ、よくここに入ろうと思いましたね……」  いや……あの時、入ろうと言い出したのは、たっちゃんだ。僕と大ちゃんは一応、止めたんだよ?  鉄の扉を開し開けると、ギィッと気味の悪い音が響く。 「お邪魔しますね」  正面に建物の入り口がある。 「人の気配は無いようですが……」  僕の〝精神感応〟では、まだ動物の心の声を聞くことは出来ない。ここに居るのは動物ベースの実験体と、機械人形。いつもみたいに気配を探っても、何も感じないのは当たり前なんだよね…… 「まあ、千里眼を使えば全部お見通しなのですが」  僕が〝千里眼〟の構えを取ろうとした、その時。 「ピピピ……シンニュウシャ・カクニン」  突然、背後から声が聞こえた。  ……と同時に右腕を掴まれた! 戦闘員だ! 「うわああああっ!」  僕は驚きのあまり、ありったけの〝念動力〟で戦闘員を弾き飛ばした。数メーターすっ飛んで転がる。 「ピピピ……セントウモード・カイシ」  不思議な動作で起き上がって、走ってくる戦闘員。イヤだ! 動きが怖い!  えっと、確か弱点は…… 「腹部の丸い機関!」  丁度〝千里眼〟を使おうとしていたので、たっちゃんに聞いていた急所が透けて見えている。  僕は、いつも地下室で練習している〝念動力での射撃〟を使って戦闘員の〝お腹〟を撃ち抜いた。  戦闘員は再び吹っ飛んで、今度は動かない。うまく急所を破壊できたみたい。 「良かった。やはり日々の練習は欠かせないですね」  念の為に、転がっている戦闘員に少し近いて、お腹の中を〝念動力〟で念入りに壊しておく。これで大丈夫だよね。  僕はもう一度、千里眼の構えを取った。  建物の3階に、もう1体の戦闘員が居る。そして、地下に大きな鉄製の〝ケージ〟を見つけた。  ……しかし、ケージはズタズタに引き裂かれて、中には何も居ない。 「もう、逃げ出していますね……」  部屋を隅々まで調べたけど、何も見当たらない。もう外に出ちゃったんだろうか。 「でも確か、実験体は姿を消せるとおっしゃってましたね」  〝千里眼〟で、ひと通り見回したけど、扉や窓、壁にも破壊の跡がない。きっとまだ、この建物の中にいるんだ。  建物に近づいてドアノブをひねった……けど回らない。どうやら施錠されているみたいだね。  ……前に来た時は開いていたんだけど、そう都合良くはいかないなぁ。  僕は〝念動力〟で、内側から鍵を開けようとした。感触が無いから、手探りよりちょっと難しいけど……あ、開いた。 「お邪魔します」  扉をそっと開けて中に入る。  建物の中は薄暗く、静まり返っている。ヘルメットにライトがあったような……  確かこのボタンで……  ピッという音が響き、ヘルメットに内蔵されたライトが点灯した。ここは受付のカウンターらしきもの以外、何もないみたい。左に2つのドアと右に3つのドア、右奥に上へと続く階段がある。 「先に、上にいる戦闘員を倒しておきましょう」  もし実験体と同時に襲われたら面倒だし、今後、万が一、子どもが迷い込んだら危ないもんね。  僕は2階に移動した。周囲には、よく解らない機材などが乱雑に置かれている。  僕は音を立てないようにそっと、戦闘員の真下まで移動した。  〝千里眼〟で確認しながら腹部の急所を狙う。床は傷つけず、正確に戦闘員だけを狙って……えい!  戦闘員は倒れた。顔がこっち向いてるから怖いんだけど、一応、念の為に止めをさしておこうっと。 「あとは、実験体だけですね……」  相手は姿を消してる殺戮マシーン。  ……やっぱりちょっと怖いよね。 潜入せよ! ドラム缶工場跡地の挿絵1

初回投稿日時:2019年11月12日 9:20

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  • 賢者

    SHO

    ♡300pt 〇100pt 2019年11月12日 14時36分

    いやいや! 君の方が怖いぞ神の子よ! 粘土売り機…… 念動力って、不可視の攻撃だからね? 怖いからね?(・_・;

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    SHO

    2019年11月12日 14時36分

    賢者
  • カレーうどん

    ガトー

    2021年2月19日 21時34分

    ハサァ…(´・ω:;.:...まだ抜かってました……本当に……もうしわ……け……

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    ガトー

    2021年2月19日 21時34分

    カレーうどん
  • チンチラちゃん

    hake

    ♡500pt 2019年11月12日 12時30分

    栗っちのターンですね(о´∀`о) 穏やかながら、決めるところは決める! カッコいいです(*´꒳`*) 次は実験体との戦いでしょうか……? 動物ベース。どんな感じか楽しみです♪

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    hake

    2019年11月12日 12時30分

    チンチラちゃん
  • カレーうどん

    ガトー

    2019年11月12日 23時13分

    いつもコメントありがとうございます! 嬉しいです! (*°∀°)=3 メンバーが入れ替わり立ち代わりすみません…… お察しの通り、遭遇します! ヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。

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    ガトー

    2019年11月12日 23時13分

    カレーうどん
  • ひよこ剣士

    渡鴉

    ♡200pt 2019年11月12日 12時53分

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    頑張ってくださいね

    渡鴉

    2019年11月12日 12時53分

    ひよこ剣士
  • カレーうどん

    ガトー

    2019年11月12日 23時10分

    (〃∇〃)有り難うございます!! 頑張りますッ!

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    ガトー

    2019年11月12日 23時10分

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