戻る

プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

63 / 267

5分

魔界への通行手形

 ランドセルを背負ったままの僕と彩歌(あやか)の前に、地下室への扉が現れた。 「凄い……!」 「さあ、入って入って!」  放課後、僕と彩歌は、日直(にっちょく)で帰りが遅くなる大ちゃんと、同じく日直の妹に付き合わされて何故か嬉しそうな栗っちに、彩歌の〝住宅事情〟を説明して、先に帰ってきた。 「早く部屋を作らないと、公園でテント生活を始めてしまうからね」 「も~! 始めません! 達也さんのイジワル!」  階段を降りて、扉を開くと広い空間に扉が4つある。僕、栗っち、大ちゃんの部屋と、練習場の引き戸だ。今日ここに、もう一つ部屋が増える。 『アヤカの場合は部屋というより住居だから、少し広く作っておこう。必要な設備はひと通り用意するが、何か欲しいものがあれば言って欲しい』 「嬉しい! ありがとう、ブルー!」  壁が出現し、部屋が出来た。中からガタゴトと音が聞こえてくる。 『アヤカ、キミが来るのが急だったので、部屋の作成には少し時間が掛かるよ』 「ごめんなさい。達也さんを驚かせようと思って……」 『いや、今日のタツヤの慌て方は最高だった。むしろ、グッジョブだ』  なんで喜んでるんだよブルー。まあ、嬉しいサプライズだったけどさ。  さて、とりあえず先に練習場を紹介するかな。 「この奥に練習場があるんだ。この扉も、彩歌さんの魔法で壊れないように頑丈に作ったって、ブルーが言ってたよ」  頑丈な扉を開けて、中に入る。 「広い! ここ、本当に地下なの?!」  驚くのも無理はない。飛行訓練が出来るほど天井は高いし、射撃訓練が出来るほどの奥行きがある。 「え?! 達也さんと……えっと、栗栖君?」  練習場の隅に土人形が2体、立っていた。 「ああ、それが前に話した土人形だよ。僕が作ったんだ」  僕は自分の人形を操作して、コミカルなダンスを披露した。 「すごい! それ、達也さんが動かしているの?」  クネクネと動く人形を見て、嬉しそうに笑う彩歌。 「平日に遠くへ出掛ける時の身代わりだよ。彩歌さんのも作らなきゃね」  僕の言葉を聞いた彩歌は、ニッと笑ってから呪文を唱え始めた。 「HuLex Thel aVat Ne」  彩歌の隣に、黒い影が現れた。徐々にハッキリとした姿になっていく。 「分身を作る魔法よ」  もう一人、彩歌が現れた。僕を見てペコリとお辞儀をする。つまり、可愛さ2倍だ。 『面白いね、アヤカ! これは自律式(じりつしき)なのかな?』  ブルーが嬉しそうに訪ねる。しかし、本当に何でも出来るんだな、魔法。 「分身は自分で考えて行動するわ。身体能力は私の3分の1ぐらいで、魔法は使えない。それと、消える時に記憶をもらえるから、分身に何が起こったのかわかるの」  操作しなくていいの?! 超便利だ! 『凄い魔法だね、アヤカ!』 「今回、達也さんの学校に来ると決めた時に、きっと必要になると思って買ったの」 「へえ、魔法って売ってるんだ!」 「うん。買って契約をすれば使えるようになるの。あ、魔力が無いとダメだけど」  僕も、魔法使いになれるかもしれない! MPもあるぞ。3だけど。 『でもこれだけ高機能だと、お高いんでしょう?』  なぜショッピング番組の口調(くちょう)なんだ、ブルー。 「ふふ。ちょっと頑張っちゃった。でも、分身できれば、学校を気にしないで一緒にどこでも行けるから!」  その為に買って来てくれたのか。スゴく嬉しい! 「よし、彩歌さん! 来週は一緒にオランダに行こう!」 「うん! 楽しみ!」 『タツヤ、アヤカ。分かってくれているとは思うし、今回の〝分岐〟は難易度の低い物だが、遊びではない。くれぐれもよろしくお願いするよ』 「大丈夫だよブルー。しかし、同じタイミングでユーリの〝予約〟の日だったな。何もなければいいが」 「友里さんの敵が来る日ね……」  今日の授業中に、かなり話し込んだので、ユーリの事、大ちゃんの事、栗っちの事など、彩歌には、今の状況がほとんど伝わっている。それ以前に、夜の暇つぶしに、実は少しだけ雑談をしていたりもするのだが。 「そういえばブルー、彩歌さんに時券(チケット)ってもらえるの?」 『申し訳ないが、私が発券してもらっている時券(チケット)は、私と同化したキミだけに有効だ。アヤカは別の方法で入手しなくてはならない』 「時神(クロノス)休日(きゅうじつ)。……魔法とか魔界のアイテムで、どうにか出来ないか、私も調べてみる」 「なるほど。若返りとかが出来るんだから、時間系の魔法もあるかもね」  というかむしろ、時間を止めるとか、魔法の領域の気がする。 「そうだ! 達也さん、もし良かったら、近い内に一緒に行かない? 魔界」 「ぜひ連れて行って! 前から行きたいって話してたんだ! なあ、ブルー!」 『アヤカ、私からもお願いしたい。好奇心が爆発しそうだ』  痛くしないでくれよ、その爆発。 「あ、でもそうなると、まず達也さんに魔力を身につけてもらわなきゃ。魔力を持っていないと(ゲート)が通れないのよ」  魔界の門には、一般の人間が迷い込まないように細工がしてあるらしい。魔力のない者は軽いダメージを受けて拒絶される仕組みだそうだ。 「あ、でもたぶん、魔力あると思うよ? 僕」 「え? でも、元々魔界生まれの人か、儀式を受けた人じゃないと、体に〝魔〟を宿(やど)す事は出来ないはずよ?」  そうなの? あ、もしかしてMP3ってブルー関係の〝不思議効果〟とかなのか? 「儀式ってどんな事をするの?」 「そうね。手っ取り早いのは、悪魔と契約しちゃうとか……魂と交換だけど」  それは嫌だ。死にたくない。 「ふふ。冗談よ。一般的には、軽いのでいいから、攻撃魔法を何回も受け続けるとかで大丈夫……あ!」 「ん? どうかした? 彩歌さん」 「もしかして、達也さんの魔力って……」 「……ああ! そっか!」  僕って正月早々〝究極の死の魔法〟とやらを、受けまくったよな。 魔界への通行手形の挿絵1

初回投稿日時:2019年10月6日 21:31

0

この作品が面白かったら「いいね」を押してね!

会員登録をして、さらに応援スタンプ・コメントで作品を応援しよう!

コメント

もっと見る

コメント投稿

スタンプ投稿


  • 賢者

    SHO

    〇200pt 2019年10月6日 21時54分

    何発も受けて、魔力3(笑)

    ※ 注意!このコメントには
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    SHO

    2019年10月6日 21時54分

    賢者
  • カレーうどん

    ガトー

    2019年10月7日 5時47分

    いつもありがとうございます! 〝にわか雨で喉を潤す〟ぐらいの力技ですので ゚(゚´ω`゚)゚。

    ※ 注意!この返信には
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    ガトー

    2019年10月7日 5時47分

    カレーうどん
  • ふるいちぶっかけうどん

    かみや

    ♡5,000pt 〇50pt 2021年7月12日 7時36分

    ※ 注意!このコメントには
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    これは興味深い

    かみや

    2021年7月12日 7時36分

    ふるいちぶっかけうどん
  • カレーうどん

    ガトー

    2021年7月12日 7時51分

    (@_@;)ああああっ! ありがとうございます! いつも沢山のポイント嬉しいです!

    ※ 注意!この返信には
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    ガトー

    2021年7月12日 7時51分

    カレーうどん
  • チンチラちゃん

    hake

    ♡500pt 2019年10月7日 8時01分

    ショッピング番組口調のブルーさんで吹きました(笑) ブルーさん、いつもいい味出してますね……!! 達也君との掛け合いもバッチリです! そして彩歌ちゃん(*´Д`*) これからはレギュラー登場みたいで嬉しいです!

    ※ 注意!このコメントには
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    hake

    2019年10月7日 8時01分

    チンチラちゃん
  • カレーうどん

    ガトー

    2019年10月7日 20時24分

    アアッΣ(´∀`;) 返信させて頂いたつもりができてませんでした! ( ;∀;) いつも有難うございます! ブルーとタツヤのやり取りは、作者の思惑を超えて行きます……( •̀ㅁ•́;)  そして! やっとこさ、ヒロイン参戦ですね! 是非この後の展開をお楽しみに!

    ※ 注意!この返信には
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    ガトー

    2019年10月7日 20時24分

    カレーうどん
  • ひよこ剣士

    渡鴉

    ♡100pt 2019年10月7日 20時15分

    ※ 注意!このコメントには
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    これは期待

    渡鴉

    2019年10月7日 20時15分

    ひよこ剣士
  • カレーうどん

    ガトー

    2019年10月7日 20時25分

    有難うございます! いつも元気を頂いております! ヾ(*´∀`*)ノ

    ※ 注意!この返信には
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    ガトー

    2019年10月7日 20時25分

    カレーうどん
  • 復讐乙女 ネメシス(デンドロ)

    東風雲雀

    ♡81pt 2019年10月6日 22時38分

    ※ 注意!このコメントには
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    にゃかにゃか良い

    東風雲雀

    2019年10月6日 22時38分

    復讐乙女 ネメシス(デンドロ)
  • カレーうどん

    ガトー

    2019年10月7日 5時48分

    ありがとうございますッ! 更に頑張って参ります (人´∀`).☆.。.:*・゚

    ※ 注意!この返信には
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    ガトー

    2019年10月7日 5時48分

    カレーうどん

同じジャンルの新着・更新作品

もっと見る
  • 癖者共のコンキスタドール

    よろしくお願いいたします

    3

    600

    0


    2026年1月19日更新

    傭兵上りの兵士だったが女王暗殺未遂の容疑をかけられた男、ガリヨンは流刑に処されてしまう……。 流刑として降り立ったその地は領主からの搾取。開拓に伴う食糧難、駐在兵の横暴にならず者共の襲撃で疲弊する村人たちが溢れた半島であった。 魔法やスキルなんて存在しない。 特殊なチートなんて存在しない。 そんな中世のとある世界のとある王国でガリヨンと共に一癖も二癖もある奴らが集う中、繰り広げられる癖者共のコンキスタドールが今、始まる。

    • 残酷描写あり
    • 暴力描写あり

    読了目安時間:1時間4分

    この作品を読む

  • VRライフ

    初めて出す物なので温かい目で見てください

    7

    20.4K

    103


    2026年1月19日更新

    あまりゲームを触ることがなかった鈴音真(すずねまこと)がVRゲーム界で知らぬ者はいない有名なJIN社が新しく造ったYour Dreams(君たちの夢)をのんびりと遊ぶ物語

    読了目安時間:15時間58分

    この作品を読む

  • ワルキューレ・シンギュラリティ 上

    魔女を失った大国は、魔女擬きを生み出した

    188

    223.1K

    485


    2026年1月19日更新

    ※現在ほぼ週刊更新、たまに週刊数話更新です 我々のいる世界と似て非なるこの世界は、魔法が科学として認知されている世界である。 魔法はエーテルと呼ばれるエネルギー体を触媒として、超常現象をプログラム的に再現する術式であった。 しかし、そんな世界に御伽噺から出てきた様な「生粋の魔女」が現れる。 彼女は術式を用いず呼吸をするかの様に魔法を繰り出し、人々は彼女の魔法は魔法ではなく「神通力」と称した。 彼女への畏敬を御旗とし、小国に過ぎなかったアースガルズはたった20年で、数多の国を同盟国として従える連合大国へと成長した。 だが覇権も長くは続かず、魔女は25歳になった時に仮死状態となり目覚めなくなった。 国力と軍事力の低下を恐れたアースガルズは、魔女が活動していた間に得た数多の情報や知識を元に、魔女の模造品を生み出す事を決意する。 生み出されたのは、人命保護と脅威からの防衛を最優先とする「護りのウルズ」、破壊を伴う殲滅をもってして脅威を排除する「破壊のヴェルサンディ」、彼女らは「ワルキューレ」と呼ばれた。 軍部はこの二人を数多の任務に関与させる事で競わせ、最も優秀な方を魔女の後継者として量産化する事を決めた。

    • 性的表現あり

    読了目安時間:12時間10分

    この作品を読む

  • 2022年初春、子々孫々まで祟ろうとした相手が子孫を残しそうにない弱々だった怨霊!困ったのでそいつに子孫を残させようと料理を作ったり掃除洗濯したりして奮闘! 子々孫々まで祟られてる男は、世話してもらって少しずつ体が治って人生が上向きになって、怨霊がかけがえのない存在になる! 除霊師とか術をかける人とかも2人に絡んでくる! 悪い霊が怨霊の力を奪おうとしてきたりする! 果たして2人は平穏に暮らせるのか、男は子孫を残せるのか!?だいたいそんな話

    • 性的表現あり

    読了目安時間:48時間26分

    この作品を読む

読者のおすすめ作品

もっと見る