ニーズはあるのに…介護福祉士養成校で相次ぐ募集停止 慢性的に定員割れ 少子化や高校生の進路多様化が背景

2026/01/18 11:30
介護福祉学科の学生募集を継続する鹿児島医療技術専門学校=鹿児島市
介護福祉学科の学生募集を継続する鹿児島医療技術専門学校=鹿児島市
 鹿児島県内で専門学校などの介護福祉士養成学科の募集停止が相次いでいる。少子化や高校生の進路の多様化による慢性的な定員割れが続き、2027年度末までに3校が学科や専攻を閉じる。関係者からは、受け皿の減少や地域の介護の担い手不足の加速に懸念の声が上がる。

 介護福祉士は専門的な知識と技術を持ち、利用者の生活全体を支える介護分野で唯一の国家資格。

 卒業までに受験資格が得られる県内の指定養成施設は8高校のほか、大学、短大、専門学校に計五つある。このうち鹿児島女子短期大学(鹿児島市)と鹿児島医療福祉専門学校(同)、奄美看護福祉専門学校(奄美市)は、専攻コースや学科で26年度以降の入学生受け入れを停止した。

 その一つ、鹿児島医療福祉の介護福祉学科(定員40人)は、23~25年度の入学者が13~15人。杉元羊一校長(71)は「専門学生の育成の大切さは理解しているが、定員割れが続き維持が難しくなった」と語る。

 他の2校も同時期の定員充足率が30~60%で推移し、苦戦が続いた。奄美看護の谷村志寿江こども・かいご福祉学科長(52)は「奄美を中心に、毎年15人ほどの学生を地元に送り出してきた。離島での進路選択や介護人材供給への影響が心配」と危機感を募らせる。

 厚生労働省の調査では、全国の養成施設は08年の434校から25年は325校に減少。入学者は10年の1万5771人をピークに、16年以降7000人台で推移し、25年は外国人留学生が全体の56.9%を占めた。

 高齢者介護に詳しい西九州大学(佐賀県)の江口賀子准教授(59)は「少子化による高校生の減少と、進路の多様化が進んでいる」と分析する。

 学生募集を続ける鹿児島国際大学(鹿児島市)と鹿児島医療技術専門学校(同)でも、専門学科・コースの定員割れが恒常化している。関係者は「人材育成のため、学科継続の努力を続ける」としつつ、看護師養成所に対する国・県の助成のような公的支援を求める。

 これに対し、県社会福祉課の田之上勇二課長(58)は県単独の助成は現時点で考えていないとし、「小中高生への出前授業などで介護職の魅力を広め、残る2校と課題を共有していきたい」と話す。

 江口准教授は「将来、アジア全体で介護職の需要が高まる。外国人技能実習生らが現場に来てくれるうちに、日本人の人材育成にもっと注力すべきだ」と訴えた。

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