「私たちは選挙を守り切れなかった」…2馬力選挙が揺さぶった2024年兵庫県知事選 津久井進弁護士の悔恨

2026年1月18日 06時00分 会員限定記事
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 兵庫県の斎藤元彦知事によるパワハラなどの疑惑告発文書問題を追及する中、誹謗(ひぼう)中傷の対象となった竹内英明元県議=当時(50)=が亡くなって18日で1年。2024年11月の知事選では、再選した斎藤氏の対立候補が、脱法的な選挙手法やネット上での誹謗中傷などにさらされた。対立候補の選挙運動を支えた当時の陣営幹部に、公平・公正な選挙に向けた思いを聞いた。(中根政人)

◆現職に敗れた候補を後援会の共同世話人として支えた

 思い返せば、異様な雰囲気の選挙戦だった。
 斎藤氏が、パワハラなどの疑惑告発文書問題を巡る県議会の不信任決議で失職したことに伴い、2024年11月17日に投開票された兵庫県知事選。斎藤氏は再選されたが、選挙戦では、斎藤氏の当選を目的とする「2馬力選挙」が公然と展開され、交流サイト(SNS)でも候補者に関する誹謗中傷や誤情報が数多く飛び交うなど、公平・公正な選挙のあり方を巡り、大きな課題を突き付けられる結果となった。

2024年の兵庫県知事選を振り返る津久井進弁護士=兵庫県西宮市で(伊藤遼撮影)

 斎藤氏に13万票余りの差で敗れた前尼崎市長の稲村和美氏の陣営を、後援会の共同世話人として主体的に支えた津久井進弁護士(56)には、今も抱く後悔の念がある。
 「ちゃんと政策を訴えるべき選挙の場を、私たちは力強く守り切れなかった」

◆市民派の候補が「既得権益」の象徴として標的にされ

 取材のために訪れた兵庫県西宮市の弁護士事務所の一室。本棚に並ぶのは、阪神大震災や東日本大震災など、災害対策に関連した書籍ばかりだ。
 本来、災害法制の見直しや被災地・被災者支援をライフワークとする津久井氏は、選挙運動という政治の生々しい現場に身を投じた理由について「市民派として行政運営に取り組んできた稲村さんが、知事選も市民派の立場で臨むということで、ただ応援したい一心だった」と振り返る。
 だが、選挙戦の狂乱は、津久井氏の想定を大幅に超えていった。情勢調査で優勢が伝えられた稲村氏は、斎藤氏に対する最有力の対抗馬として扱われ、投開票日の3日前には、兵庫県内29市のうち22市の市長が稲村氏支持を表明。斎藤氏を応援する勢力からは最大の「攻撃目標」とされた。「私に言わせればデマだが、『既得権益VS斎藤氏』という構図を演出されてしまった」

◆中傷、争点ずらし、虚偽通報…さまざまな攻撃にさらされ

「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首

 自身の当選ではなく斎藤氏の支援目的で活動する「2馬力選挙」を展開したのは政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首だった。津久井氏は、立花党首の動きに関して、当時は「異質なものが来たという印象でしかなかった。扱いには困ったが、最後まで選挙戦の『本筋』ではないと思っていた。まともに戦い合う相手ではないと感じていた」というが、稲村氏の敗北という選挙結果を見たとき、「もっときちんと向き合った方がよかったのではないか」と反省を口にする。
 立花党首は、県議会の調査特別委員会(百条委員会)で斎藤氏への厳しい追及を繰り広げていた竹内英明氏が、あたかも疑惑告発文書問題の「黒幕」であるかのような不当な主張も展開し、竹内氏を中傷した。「斎藤氏が実際にパワハラに及んだかどうかということではなく、(立花氏による)争点ずらしに振り回され続けた」

兵庫県庁(資料写真)

 稲村氏自身も、「外国人参政権を推進している」など複数のデマをネット上で拡散されたことで苦しんだ。後援会が運営していたX(旧ツイッター)のアカウントは、不特定多数による一斉の虚偽通報で2回も凍結される「被害」にも遭った。

◆どうやって「荒れた選挙」の再発を防ぐべきなのか

 津久井氏は、稲村氏の陣営の「ネット選挙」への向き合い方について「私たちの考える政策をコツコツと訴え、説いていくということは、路線を変えずに最後までやり切ったものの、SNS時代の選挙という意識が薄すぎた。SNSは『実弾戦』。書き込んだ分だけ、読まれた分だけどんどん広がっていく。私たちの陣営にはそこまで対応できなかった」と話す。

2024年の兵庫県知事選を振り返る津久井進弁護士=兵庫県西宮市で(伊藤遼撮影)

 荒れた選挙戦の現場は、兵庫県知事選にとどま...

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    みんなのコメント1件

  • ユーザー
    大手町の従業員 3 時間前

    N国が参議院で議席を取得したあたり(立花は執行猶予中)で、つぶしていれば、惨劇は起きなかったのではないかと口惜しいです。

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