「声を上げられるのは私しかいない」旧友の問いかけに覚悟を決めたーーいまも続く攻撃の中、竹内元県議の妻が思うこと
ノンフィクションライター・松本創
暴言重ねる立花、目をそらし続ける斎藤
元兵庫県議の竹内英明の自死が報じられた2025年1月19日の午後1時半頃、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志がXにこう投稿した。
〈竹内元県議は、昨年9月ごろから兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを受けていました。こんな事なら、逮捕してあげた方が良かったのに〉
同じ日、YouTubeチャンネルで「竹内元県会議員、どうも明日逮捕される予定だったそうです」と発言。さらにライブ配信の街頭演説では、「私文書偽造、同行使罪」「気の毒だが自業自得」「僕は事実を述べてるだけですよ。事実を述べて、それを苦に命を絶つ人がいたら、それは致し方ない」と言い放った。
複数の新聞が兵庫県警に取材し、竹内の取り調べも逮捕予定もなかったと報じると、立花は一部投稿を削除。翌20日の県議会で県警本部長が「明白な虚偽。極めて遺憾だ」と全面否定すると、いちおう訂正・謝罪した。
だが、その後も「竹内県議はかなりでっちあげをしていた」「そもそも政治家が中傷されたぐらいで死ぬな、ボケ」などと暴言を吐き続けた。
その立花が「二馬力選挙」で応援し、知事に再選された斎藤元彦は、20日の登庁時に「心からお悔やみを申し上げます」「行財政改革などについて率直で、時に厳しいご質問をいただいた」とコメントを読み上げた。
だが、立花の発信したデマや誹謗中傷が広まり、竹内が苦しんでいたことへの見解や対策を問われても、「立花さんのSNSは拝見していない」と言い、「人を傷つけてはいけない。SNSは冷静な使い方が大事」と凡庸な一般論を繰り返すのみだった。
目の前の深刻な被害から目をそらし、それを引き起こした立花には決して言及しない。その姿勢は、知事選の最中から竹内の死後1年になろうとする現在まで、何ら変わっていない。
夫の死後、またも激化した攻撃に妻は苦しめられた。
「主人は亡くなったことで余計に責められ、新たな〝疑惑〟や〝闇〟が作り出されていきました。3月の千葉県知事選に立候補した立花氏は、なぜか兵庫県内で演説し、『竹内は本当に自殺だったのか』などと言っていた。そんなことがまかり通るのが耐え難く、打ちのめされました。
(立花や同調者は)言いたいことがあれば警察へ行け、法に訴えろと言いますが、遺族が声を上げるのは簡単じゃない。そんなことできないだろうと高を括っているんですよね」
立花を訴えないのかと聞かれることもあったが、そこまで考える余裕がなかった。夫の死を受け止めきれない中で、まず何よりも子供たちと生活を守らねばならない。弔いもある。ようやく少し状況を俯瞰できるようになったのは、四十九日も済んだ3月半ば以降のことだ。
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