紆余曲折を経て完成した「海洋堂エヴァンゲリオン仮設5号機――異色の造形ヒストリー」
エヴァンゲリオンTVアニメ放送から30周年という節目の年に、海洋堂のプラスチックモデルキットシリーズ「ARTPLA」から、ついに“エヴァンゲリオン仮設5号機”がプラキットとして登場する。その背景には、他のエヴァ造形にはない、特異な造形の歴史が刻まれている。
幻の最初期デザイン
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』冒頭に登場する仮設5号機。その異形の姿はファンに強烈な印象を残したが、じつは劇中の姿に至るまでにいくつもの変遷があった。特に最初期のラフデザインは、太く短い脚部を持つ独特のフォルム。海洋堂は劇場公開に合わせていち早く立体化を果たすため、造形師・谷明氏が寝る間を惜しみ、わずか数日で原型を完成させた。
しかし、完成と同時にデザイン変更の知らせが届く……! 脚部はより機械的に、そして動きのあるシルエットへとブラッシュアップされ、谷氏は再び修正に取りかかった。――幻に終わった最初期ラフデザインの立体物は、仮設5号機の歴史に残る最初のエピソードとなった。
“作画参考モデル”という唯一の存在
変更後のデザインを基に、谷氏の原型に山口勝久氏が可動機構を組み込み、映像制作の現場へと送られた。この一点のみが、当時存在した仮設5号機の立体物であった。映像制作と並行して用いられ、実際にアニメーションの動きにも影響を与えたとされるこのモデルは“作画参考モデル”としてエヴァンゲリオンの各イベントで展示されることとなった。
この段階では劇中とは形状の異なる簡易式ロンギヌスの槍(似非復元型)や頭部形状であり、その後さらに映像現場からのフィードバックを受け、ブラッシュアップが重ねられることとなった。
超少数販売!誌上限定レジンキャストキット
2009年、ホビージャパン誌上において仮設5号機が大々的に特集され、誌上限定でレジンキャストキットが通信販売された。価格は19,800円。谷明氏本人による彩色作例、さらにモデラー山田卓司氏によるジオラマ作例など、まさにファン垂涎の特集だった。
遊ぶためのフィギュアへ
同年にはリボルテックヤマグチからアクションフィギュアも発売。当時はまだ情報が錯綜しており、カラーリングの違いや仕様の試行錯誤を経て現在に至るまでに3バージョンが発売されている。PVC製で原型からディテールを簡略化し、大胆な可動関節を仕込みあえて“遊ぶため”に特化したこのフィギュアは、仮設5号機の立体イメージ像を築き上げた。
そして16年越しのプラキット化
幻の最初期原型、唯一の作画参考モデル、誌上限定のレジンキャストキット、そしてアクションフィギュア。数々の遍歴を経た仮設5号機が、原型誕生から16年の時を経て、ついに“誰もが手にできるプラキット”として蘇る。
今回のARTPLA版では、当時のレジン原型を3Dスキャンし、当時の佇まいを再現。そのうえで、当時の資料では立体化するには不十分だったパンタグラフの形状や細部ディテール、槍や頭部の造形を新規に補完し、完成度を高めた。まさに“歴史とプラキットの融合”といえる仕上がりだ。
テストショット画像も公開!
成形色は仮設5号機のイメージカラーでもあるグレーグリーンを採用。
ディテールの再現や組み立てやすさを考慮したサイズアップが施され、当時では再現しきれなかった形状をプラキット用にアップデート。リボルテックと比較してもこれだけのボリュームの差が出ている。
エヴァンゲリオン仮設5号機は、ただのメカデザインのひとつではない。クリエイター達の情熱と、ファンの期待といったさまざまなドラマを背負いながら、いま再びプラキットという形で我々の前に姿を現す。――それは16年をかけて紡がれた、“唯一無二の造形物語”である。
DATA
ARTPLA SCULPTURE WORKS エヴァンゲリオン仮設5号機“決闘ベタニアベース”
- 未塗装組み立てプラモデル(HIPS)
- 成形色:グレーグリーン
- ノンスケール
- サイズ:全高…約170mm(パンダグラフ先端)、全長…約270mm
- キット内容:エヴァンゲリオン仮設5号機
劇中モデル(劇中モデル用頭部パーツ/劇中モデル用簡易式ロンギヌスの槍(似非復元型))
作画参考モデル(作画参考モデル用頭部パーツ/作画参考モデル用簡易式ロンギヌスの槍(似非復元型))
※2タイプのモデルから、どちらか片方を選択して1タイプのみ制作できます。 - 原型:谷明(OZ)
- 発売元:海洋堂
- 価格:7,150円(税込)
- 2026年1月17日(土)発売
※本商品は組み立てが必要なプラスチックモデルキットです。
※組み立てにはプラスチックモデル用接着剤が必要です。
※掲載の画像は開発中CGのため、実際の商品とは異なる場合があります。
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