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最強になって、何がしたいんですか?—最強アニメチャンネルへの応答・他(2026年1月13日の日記)

日記

 朝から仕事をしつつ、雪が積もっていたので合間に敷地と隣家の除雪をする。仕事の後は別件の仕事を片付けてからアニメを見る。東北の冬は吹雪で電波の入りが悪くなったりアンテナに着雪したりして困る。

最強になって、何がしたいんですか?—最強アニメチャンネルへの応答

「アニメ部」というミーム

 アニメ視聴者の間で流通している「アニメ部」というミームがある。「体育会系の雰囲気でアニメを視聴する部活」があったらシュールで面白いという発想から、架空の体育会系アニメ部にありそうなことを言うというものである。

 起源は明らかではないが、古いものでは2019年6月頃の投稿が確認できる(リンク)。明確な元ネタがあるわけではなく、各所で同じネタが繰り返し発生するうちに定着したようである。「アニメ部 大会」などで検索すると、一体何を競うのか不明なのに全国大会を目指す熱血発言が多数みられる。
 またTwitterでアニメ実況をしているオタクの間で定着しているユーモアとして「劇中のセリフの一部を"アニメ"に置き換える」というものがあり(例:『シュート! Goat to the Future』の掛川高校サッカー部をアニメに置き換えた「掛川高校アニメ部」)、これらも「アニメ部」ミームと合流していると思われる。

「アニメ部」はアニメを真剣に視聴していない?

 この「体育会系のアニメ部があったらシュールで面白い」というミームを使っている=体育会系のアニメ視聴をありえないとみなす我々のようなアニメファンを「大学生キッズ」「浅い」と批判し、「本当に体育会系のようにアニメを見るべきだ」と主張する文章が公開されていた(記事)。何か的外れな批判をされているようにしか思わないが、自分も批判を受けた側であるから応答しようと思う。

 著者は最強アニメチャンネルを名乗る。この記事では「アニメ部」のネタを当て擦っているような人には「アニメの視聴本数が少ない」「アニメ視聴に対する熱意や真剣さが足りない」「アニメを多数見ていないのにアニメについて語っている」という問題があると指摘し、アニメは可能な限り本数を見るべきである・多くの作品を見ている人が偉いとしている。またアニメに真剣でない人が使いがちな寒い発言として「過去アニメのネタを擦る」「有名アニメへの言及」「変な略称」「アニクラ」「キャプ画像での会話」などを挙げている。

 しかし前述の通り「アニメ部」のミームはTwitterでのアニメ実況と密接に関わっており、アニメ実況をしている人の多くは放送されているアニメを可能な限りリアルタイムで視聴する生活を十数年続けているので「視聴本数が少ない」とは思えない。実際に「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」や「大のアニメ好きが選ぶ“もっと評価されるべきアニメ」などの、相当な視聴本数を要する企画にも「アニメ部」ネタを使うアニメ実況者が結構いるようである。そのためこの批判はどうも藁人形論法のように思えてならない。とはいえアニメ実況者に対しても視聴本数がまだまだ少ないと思っているのかもしれないし、自分が知っているものとは別の「アニメ部」を指して批判しているのかもしれない。

 ところで最強アニメチャンネルが批判している「過去アニメのネタを擦る」「キャプ画像での会話」などはアニメ実況でよく見られるものである。個人的には過去に色々なアニメを見ているからこそキャプチャのストックがあり、それを覚えているから即座に取り出せているのではないかと思うのだが、最強アニメチャンネルにとっては「真剣にアニメを視聴していない」とみなされるようである。では最強アニメチャンネルが考える真剣なアニメ視聴とはいったい何なのだろうか?

最強アニメチャンネルの思想

 最強アニメチャンネルが考える真剣なアニメ視聴の態度とは何なのか。またどのようなアニメのオタクが「最強」であると考えているのか。それを明らかにすべく、以下では最強アニメチャンネルがどのような規範意識を持っているのか検討を試みる。準備として最強アニメチャンネルの動画ブログ・Twitter()をそれぞれ見た。

 視聴している本数はかなり多く、現在放送されている深夜アニメ・夕方アニメを可能な限り網羅しているようだった。そのすべてに対してSNSで短評を書き、1話ごとに30秒程度の感想動画を作成し、区切りがついたらブログで全作品の感想を公開している。SNSでもユーモアやネタツイなどはほぼなく、アニメの感想とアニメオタクとしての矜持についての発言が中心で、とにかくアニメ視聴に熱心であることは間違いないようだった。元記事でも視聴本数を根拠にして「俺が一番アニメに詳しい人間になる!って気概はないのか?」と言っているように「これほど大量にアニメを視聴しているので、自分は周囲よりもアニメに詳しい」という自負を常に持っていることがわかる。

 一方でこれほどの作品数を視聴しているため仕方ないとは思うのだが動画・ブログ・Twitterのいずれでも作品ごとの感想はかなり短い。内容も物語展開に関する感想が中心になっており、映像等についての言及は少なく、分析的な視点や専門用語は出てこず作品の良し悪しについて客観的・説得的な説明がなされることもあまりない(例:『違国日記』1話の感想動画)。アニメ関連書籍やスタッフインタビューなどが参照されることもないようだった。そのため主観的な感想が中心になり、動画では比較的穏当な言及をするがSNSではTier表など個人的な好悪を強く反映した評価をする。そうした主観的な感想を「多数の作品を真剣に見ている自分が抱いた信念なのだから一定の説得力があるはずだ」という形で打ち出している。この主観重視の姿勢も合わさってSNSでは挑発的な主張も目立ち、熱意のこもった主観をぶつけ合うレスバのようなやりとり(プロレス?)を真剣で尊いものとしているようだった()。

 元記事およびこれらの内容から、最強アニメチャンネルは次のような規範意識を持っていると考えられる。

  • 精神主義

    • アニメ視聴を武道における精神修養のようなものとみなし、アニメ視聴をより強いオタクとしての内面を鍛える行為であるとする。

    • より強い内面をもつオタクになることが、オタクとしての倫理的な義務であるとする。

    • 時間と労力を費やし苦労を重ねて多数の作品を視聴するほどに、より精神が鍛えられるとみなす(努力主義)。

    • 理論や技術よりも経験を重ねて精神修養することを重視し、経験によってのみ良い作品理解が可能であるとする。

    • 内面を鍛えることが重要であって、外部の知識の吸収・知見の共有・研究や批評などによる新しい知見の導出などにはほとんど関心がない。

    • 楽しい視聴やユーモアなどを使ったぬるい交流を拒否し、辛くても履修し、意見を戦わせて、オタクとしての強さを競うべきであるとする。

  • 権威主義

    • 時間と労力を費やして多数の作品を視聴した、経験を重ねたオタクほど偉いとする。

    • アニメ評価について、それが主観的なものであっても成熟した経験をもつ者(自分)による評価なのだから一定の正当性があるとする。

 最強アニメチャンネルの考える「真剣なアニメ視聴」とは、こうした精神主義・権威主義に基づいて、最強のオタクを目指すことであると思われる。最強アニメチャンネルは自身が掲げる規範に基づき、視聴本数を誇示して最強であることをアピールしつづけている。

最強になって、何がしたいんですか?

 著者もアニメファンはとにかく量を視聴すべきだという立場を持ち、自分でも可能な限り多くのアニメを視聴しているため、この一点だけは最強アニメチャンネルと意見が一致する。しかし目的の部分では全く相容れない。

 上記の記事は「多くの人に視聴されるアニメはごくわずかで多くの作品が埋もれている」「作品ごとに感想や評価をもらえる機会に大きな偏りがあるため、良い作品が良いと評価されないことがある」という問題意識のもとに、視聴本数を増やすべきではないかと書いたものである。みながアニメをもう少しだけ多く視聴することでさまざまな作品がフェアに評価されるようになるし、視聴者のリテラシーも高まるし、作品が埋もれずに評価につながることで良い作品が生まれやすくなるはずだと考えるまた同時代に放送された作品を数多く視聴することで時代の空気や作品の系譜などを掴むことができ、より正確な史観を編み出すことが可能になるのではないかと考えている。

 一方で最強アニメチャンネルは前述のとおり最強のオタクを目指すために数多くのアニメを見るべきだという立場をとる。しかし以下の3つの理由から、著者はこの立場を支持しない。

 第一に目的と手段の転倒がある。アニメ視聴は楽しいもの・豊かなものであるべきだという規範は疑いようがない。すべての人のアニメ視聴をより楽しく豊かで価値ある体験にするという目的がまず存在し、その目的を実現するために「多くの作品を視聴して知見を増やす」「その知見に基づいて感想や批評を発表し、世間に新しい価値を提供する」という手段をとるのが、本来の順序であるように思われる。つまり知識や経験のある強いオタクになることは、本来なら世の中をより豊かにするためのひとつの手段であったはずだ。しかし最強アニメチャンネルは最強のオタクとして自らを権威化すること自体が目的になっていて、その手段として多数のアニメを視聴している。多大なコストを払いながら多数のアニメを履修したことをアピールするが、正直なところすべての感想があまりに簡素で短いために視聴本数以外に特筆すべきことがなく、多数の作品を見てきた知見が反映されているわけでもない。そのうえ体育会系のノリ(プロレス?)で他人に突っかかったうえで視聴本数でマウントを取っている。みんながこんな権威主義的態度で喧嘩腰で、知見の共有も拒むのだったら同じアニメ視聴者仲間から何も得られないしアニメ視聴がマジでおもんなくなりそうなので支持できない。今回は「アニメ部」を批判された都合で反論を書かざるを得なかったが、正直どこか遠いところで勝手にやっていて欲しい……。

 第二に、最強アニメチャンネルが考える「最強」観があまりにしょうもないので誰も最強を目指していないという問題がある。多くのアニメファンが「最強のオタク」になることを目指していないのはやる気がないからではなく、視聴本数と主観的な熱意だけで理解度を測るという姿勢および他者と競って一番を決めるべきという規範に合意していないからではないか。
 確かにアニメは実際に見てみなければ分からないことが多いので、数多くの作品を視聴することは理解の第一歩であるように思われる。だが最強アニメチャンネルは見た本数で自らを権威づけするのみで、前述の通り主観的な感想にとどまり分析的な見方をほとんど発表しない。一方で別にすべてのアニメを見ているわけでない人でも、ショットを分析したり、作画を語ったり、物語について優れた批評を書いたりする。「熱意を持ってたくさん見ているのだから自分が一番をわかっている」という態度は行き過ぎた精神論で、かつあまりに狭量な考え方すぎる。むしろ熱意一辺倒で知識や理論を無視する態度のほうが、真剣さを欠いていると言うこともできるのではないか。絵画などに対して「見たままに感じたことが大事で〜」といって知識や理論なしでもすべて理解可能とするような、よくある通俗的な美術鑑賞の規範によく似ている。
 そもそも理解度とは競い合うものでもないし、基準も複数存在しているのではないかという問題もある。みな得意なアニメジャンルがあるし、同じ作品を見たとしてもある人は映像の理論に詳しい、ある人は物語の理論が得意、ある人は時代や文化と絡めた視点からの評論が強い……というように、得意分野が違う。どれが最強ということはなく、異なる視点からの分析や多様な感想を交換して、互いに知見を増やして視聴を面白くしていくというスタンスを取るほうが、単一の最強を競い激突するだけの態度より豊かであるように思う。

 第三に、最強アニメチャンネルは最強になって一体何がしたいのかという最大の問題がある。最強のオタクになりたい、そのなるために大量のアニメを見て精神修養をしたいというスポコンみたいな気持ちはわからないでもないし、修行している自分を誇りに感じるかもしれない。しかしそれで最強になったあと何がしたいのか。今のところ最強アニメチャンネルがやりたいことは自分は最強だという誇示ではないかという感じがある。先に述べた通りに、最強アニメチャンネルは本数こそ見ているが知見の共有や説得的な批評を行わないので、そのままでは「誰よりもアニメに詳しい」という意味で最強とは到底思えない。そのために視聴本数と熱血キャラで自らを権威化しているのではないか。アニメを見て一言感想を入れているだけで見ていないよりは遥かに偉いが「アニメを見た証拠」としての機能が主で、アニメをいかに語るかにはあまり関心がないのかもしれない。しかしあれほどのアニメを見ておいて行き着く先が結局はマウントと誇示だけなのだと思うとあまりにも虚しい。

 最強アニメチャンネルさん、あなたは最強になって何がしたいんですか?

きょう観たアニメの感想

真夜中ハートチューン 2話

 放送部の全員を声のプロにするため、有栖はそれぞれに目標と練習プログラムを課した。前半は歌手を目指す井ノ華六花のエピソード。歌うことへの不安を抱える六花と、その不安をまるで理解しない有栖。だが六花の歌声はかつて聴いたアポロのものを彷彿とさせる。夕陽に照らされたロングショットを何度も見せたり夕陽に照らされた下校での別れを見せてから、最後にまた夕陽のロケーションで、一度ロングショットを挟み有栖の心臓の音を聞く六花のアップ。
 後半は声優を目指す日芽川寧々とのエピソード。オーディションに向けた練習で、3週間の恋人生活をすることになり……。恋人生活を終えた後の、最後の本越しのキスシーン。狭い放送部の部室のロケーションを活かし、真横からのショットでは倒れ込んだ有栖を机で隠し、起き上がると見えてくる。ここから90度回って机とロッカーの間の狭い隙間を縦に写し、有栖と寧々が寄りで映されて距離が一気に近づく印象を与える。調子に乗るなと投げ技をかけられる有栖、部室奥からの入り口へ向かうショット(窓から2人のロマンスを窃視するようだ)から入り口→部室奥へと向かうショット(日常へと戻る出口でもある)の切り替えもいい。
 少しの嘘と秘密がラブコメを彩っていて面白いが、1人あたりのエピソードが短く急な感じがあるのであまりキャラに思い入れがないまま話が進んでしまったような感覚があった。

勇者パーティーにかわいい子がいたので、告白してみた。 2話

 人間として暮らし始めたヨウキは魔族時代の部下だったハピネス、デューク、シークと森で再会を果たす。部下たちもヨウキを慕って人間界で暮らすことになり、セシリアと魔族時代のヨウキの話で盛り上がる。さらにヨウキとセシリアは親公認のデートをすることになり……。かつては敵だった勇者の面々とも知り合い、トラブルになったり友情を育んだりする。
 異世界ものは服装がファンタジー衣装固定で見栄えしない印象があるが、この作品はもう普通の人間社会で生活するようになっているのでデートではヒロインが違う服を着るしメガネや帽子などサービスもある。贅沢なアニメという感じでもないし派手でもないが、萌えの勘所を押さえている印象を持った。

鎧真伝サムライトルーパー 2話

 上杉魁人は祖母を殺した妖邪の後を追う中で武装ギアを盗み出す。だが魁人は、人間の死体から変じたカイライと戦うことに戸惑い……。また凱は父である妖邪帝王・羅真我を倒すためサムライトルーパーの力を求めていたのだと明かす。今回は戦闘シーンで沢田研二の『TOKIO』が流れる。
 凱は主人公なのに人間と違い妖邪側の倫理観を持つため行動が予測できないというのが面白い。また魁人も妖邪の世界から来た凱の力を借りることを拒むなど複雑な思いを抱いている。普通は味方側で使われそうな真田十勇士が敵のモチーフになっていることや広告塔的ヒーローへの批判もあわせ、意図的に敵味方・正義と悪を混ぜている印象を持つ。

ダーウィン事変 2話

 ニューヨークで動物解放同盟「ALA」が爆破テロを起こした。メディアの報道からチャーリーが絡む過去の事件との関連を疑われ騒動に巻き込まれていく。ルーシーは孤立したチャーリーを手助けすることを決め、友情を育んでいく。やがてチャーリーの出自が明らかになっていく……。
 動物倫理の入門的な内容が今回もある。なぜ人間だけ殺して食べてはいけないのかという議論が、ヒューマンジーであるチャーリーから投げかけられることの緊張感。このあたりは『寄生獣』にも似ている興奮がある。
 面白いし真面目に作られているのだが、アニメでいかにもな西洋人が描かれて洋画の吹き替えのようなセリフ回しがあると洋画をパロディした悪ふざけの方が先に思い浮かんでしまい(そういうギャグをやる作品ってかなり多い)ちょっと笑ってしまうという事故があった。

異世界の沙汰は社畜次第 2話

 ハードワークを続けた結果、栄養剤の飲み過ぎで中毒症状を起こした誠一郎。だがアレシュによる治癒魔法と"魔力を馴染ませる処置"(どうみてもBLのエロシーンだが……)によってなんとか一命を取り留める。なぜ生活が保証されていても健康を害してまで働くのか問われた誠一郎はアイデンティティであるからと回答する。
 なんかものすごくいきなりBLアニメになり驚愕する。このところ僧侶枠含めてBLアニメが少なかったのでちょっと嬉しい気持ちもある。働き方をめぐる議論では仕事は単なる生計手段ではなく生きがいに絡むものだと主張しておりある程度は共感するが、タイトルにもある「社畜」と絡むとやりがいの搾取やワーカーホリックに見えてしまい、倫理的にやばそうに思ってしまう。
 森崎ウィンが声優をやっている(!)アニメ主題歌の人だと思っていたが知らないうちに俳優として大活躍していたと知る。そうだったんだ(アニメ以外何にも知らない君)。

アルネの事件簿 2話

 1話の事件で訪れた街から戻ったリンは、アルネとの出会いを回想する。貴族の一人娘として育てられたリンは、母を亡くして豹変した父を心配する日々を送っていた。そんなある日にリンが出会ったのは動く死体、異形、そして城に眠る吸血鬼だった……。
 アニメオリジナル主人公として登場したルイスが1話で死んでしまったというオチだったので2話以降のOPではゾンビになっている。酷くて笑う。ギャグシーンとホラーのギャップを際立たせた映像がいい。この作品は細かく予想を裏切るのが面白い。


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