中途半端でもいいから、やり残したことはやってみる

50代、60代であれば、やり残したことの中には人生の目標が含まれているかもしれません。

和田秀樹『死ぬのも楽しみ』(廣済堂出版)
和田秀樹『死ぬのも楽しみ』(廣済堂出版)

たとえば都会暮らしを切り上げて山の中で暮らすとか、クルーズ船で世界中の港をめぐってみるとか、絵や小説のような好きな分野で認められて賞をもらうといったようなことです。残りの人生で実現できれば幸せですが、たいていは実現できないまま70代、80代を迎えてしまいます。

「いまからじゃ、無理だな」とあきらめたあと、それでも悔いが残るようでしたら考え方を変えてみてください。

実現にこだわれば焦ります。でも、本当にやってみたかったことならやればいいのです。

バッグに着替えだけ放り込めば数日の山小屋暮らしならできます。世界中はまわれなくても国内の船旅ならできます。賞はとれなくても描きたい絵や小説に挑んでみることならできます。

それがどんなに中途半端でも、やってみたいことができれば、とりあえず幸せな気分は味わえるでしょう。

そんな調子で、好きなことややってみたいことにあれこれ手を出して、とりあえず幸せだと思えるなら、「あとはもう、死ぬまで好きなことやっていればいいんだな」と納得するでしょう。

「死ぬのも楽しみだ」と自然に思えてくるかもしれません。少なくとも、楽しい人生のままで死んでいけます。

「あいつは勝手なやつだけど、幸せな男だったな」

私自身、がんにでもなって残りの人生が3年とわかったら大きな映画を一本撮りたいと思ったことがあります。ですが、撮影中に資金が続かなくなるかもしれないし、借金してヒットしなければ迷惑をかけてしまいます。

でも、好きなことができて、そのまま死んだら幸せなんだろうなとも思います。たとえ完成が間に合わなくて、途中で死んだとしてもです。

やりたいことはやってみる。中途半端でもどんな形でもいいから、幸せなままで人生を締めくくる。高齢になったら、自分の気持ちに正直に生きても恨まれることはないでしょう。

「あいつは勝手なやつだけど、幸せな男だったな」と思われたら、その通り、その人にとっては幸せな人生のような気がします。

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