暮らし

2025.07.16 18:00

その年相応は誰が決めた? 「人生で人より遅れている」と感じるあなたへ、発想を変える方法

Shutterstock.com

Shutterstock.com

社会の一員として、私たちは次第にタイムラインに支配されるようになる。卒業・就職・結婚・子どもを持つ時期から「己に気づく」べき時期に至るまで、あらゆることに社会的に認められている最適な時期があるように見える。

このようなプレッシャーは、SNSのフィードで他の人が人生の節目を迎えるのを目にしたり、家族との会話あるいは同年代の人との微妙な比較によってもたらされたり、強く感じたりする。

そのため、当然ながら「自分は年相応のことを達成していない」という考えが染み付くことになりかねない。タイムラインへのこうした執着はストレスを生むだけでなく、自分の進歩を評価する方法を歪めてしまう。最終的には、自分がどれだけ成長したかさえ見えなくなる。

厄介なのは、この思い込みが事実のように感じられたり、自分が十分なことをしていないという証拠のように感じられたりすることだ。実際にはこうした信念は通常、現実の人生の複雑さを反映していない、成功や進歩の限定された定義によって形成されている。

スタートを切るとき、人によってペースや手にしているリソース、取り巻く状況、責任などは異なる。自分と比較対象相手のスタートラインは同じではない。そのため、自分の道を他人のものと比較するのは不公平でしかない。

ある年齢までに、あるいは他の人と同じように何かを達成できなかったからといって、あなたが遅れているということにはならない。それは単に、あなたが異なる道を歩んでいるということだ。

人生で遅れを取っていると感じるのをやめ、自分の進歩を認められる2つの方法を研究に基づき紹介しよう。

1. 時間に関する考え方のバランスをとり、「自分ならできる」という認識を高める

「遅れを取っている」という考え方をシフトさせる強力な方法の1つは、自分の過去と未来にどう関わっているかに目を向けることだ。

2019年の研究では時間に対する認識、特に過去と未来との関わり方が目標を達成する自分の能力に対する考え方、いわゆる自己効力感にどのように影響するかを調べた。

研究チームは2つの研究を通して、異なる時間的展望を活性化させることが、人々の自信や個人的な目標の遂行に影響を与えるかどうかを調べた。

最初の研究では、参加者に近い将来達成したい目標を挙げてもらった。最終的に目標を達成した参加者は「過去肯定」と「未来」の時間的展望のスコアが高かった。つまり、過去の成功体験を覚えているだけでなく、未来に対して前向きな考え方を持っていた。

だが、人生は自分ではどうにもならないという信念を持つことを指す、「現在の状況は運命で決まっている」という考え方のスコアが高い人は、自分の成功する能力を信じない傾向が強かった。

2つ目の研究では、過去に成し遂げたことや将来の目標、あるいはその両方について参加者に文章を書いて振り返ってもらった。その結果、ポジティブな過去を持ち、将来の目標をはっきり見据えている人は自己効力感がかなり高いことが明らかになった。

この研究は、「自分は人生において遅れを取っている」という思いが、感情的なものであるだけでなく、認知的なものであることを示している。

常に自分を他人と比べたり、まだ起こっていないことばかりに目を向けていると、未来を不安視し、過去の失敗に注意を向けるというアンバランスな時間的展望を持つようになる。研究に見られるように、この組み合わせは自己効力感を低下させるだけだ。

これを変えるには、過去の成功体験を思い出し(過去肯定)、未来に向けた明確な意図(未来志向)と組み合わせて、時間的展望のバランスを意識的に調整することに集中する必要がある。このシフトは、真の行動の変化につながり得る。

次ページ > 明瞭に振り返るために客観視する

翻訳=溝口慈子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事

Forbes BrandVoice!! とは BrandVoiceは、企業や団体のコンテンツマーケティングを行うForbes JAPANの企画広告です。

2025.12.26 11:00

女性起業家の挑戦を讃える「ヴーヴ・クリコ ボールド ウーマン アワード 2025」受賞者が決定

MHD モエ ヘネシー ディアジオが扱う、フランス生まれのシャンパーニュメゾン「ヴーヴ・クリコ」が、女性起業家の挑戦と成果を讃える「ヴーヴ・クリコ ボールド ウーマン アワード 2025(Veuve Clicquot Bold Woman Award 2025)」の受賞者を発表した。

メゾンを世界的ブランドに発展させたマダム・クリコの精神を体現する女性に贈られる「Bold Woman Award」には、ビジョンケア代表取締役社長の髙橋政代、次世代の女性リーダーに贈られる「Bold Future Award」には、ASTRA FOOD PLAN代表取締役CEOの加納千裕が選ばれた。

11月27日に行われた授賞式では、受賞者2人からのスピーチのほか、2人を加えたパネルディスカッションやカクテルパーティが開かれ、審査員を務めた歴代のアワード受賞者や各界の有識者、起業家たちがネットワークを構築する場となった。


日本では5回目の開催となるBold Woman Award。アワード自体は、メゾン創業200周年となる1972年に創設された。マダム・クリコは、27歳で夫を亡くし、事業の後継者としてシャンパーニュに革新をもたらした女性起業家の一人。マダム・クリコの挑戦の精神に敬意を表し、同じように大胆な精神力と想像力を持つ世界の女性リーダーをたたえようと「Business Women Award(BWA)」が誕生した。2020年には、「Bold Woman Award」に改名。世界では延べ27か国450名の女性が本アワードを受賞している。

新規性・アイデア・ストーリー・時事性の評価軸で厳正なる審査を務めたのは、エムパワーパートナーズ ゼネラル・パートナーの村上由美子、ジャーナリストの木田隆子、ジャパンタイムズ代表取締役会長兼社長の末松弥奈子ら。シロ代表取締役会長の今井浩恵や、森トラスト代表取締役社長の伊達美和子ら歴代の受賞者も審査に加わった。

MHD モエ ヘネシー ディアジオ代表取締役社長のブルノ・イヴォン
MHD モエ ヘネシー ディアジオ代表取締役社長のブルノ・イヴォン

審査員の一人を務めたMHD モエ ヘネシー ディアジオ代表取締役社長のブルノ・イヴォンは、授賞式のあいさつで「受賞者のみなさんは起業家でありリスクテイカーでありイノベーター。より多くの日本の女性たちにとって、大きなインスピレーションとなることを願っている」と、女性の活躍に大きな期待を寄せた。

「かくれフードロス」をゼロに
独自技術でアップサイクルが当たり前の社会を目指す

Bold Future Award 受賞者の加納は、年間約2,000万トンが発生する「かくれフードロス(原料生産・製品加工工程での未利用食品)」という、いまだほとんど知られていない社会課題に着目し、2020年にASTRA FOOD PLANを創業した。

独自開発により特許を取得した「過熱蒸煎機(食品乾燥・殺菌装置)」の販売、その技術を用いて野菜の端切れなどで作ったアップサイクル粉「ぐるりこ®」の製造・販売、食品関連企業への導入支援や大手メーカーや自治体との協業による製品開発と、年々事業領域を広げている。

ASTRA FOOD PLAN代表取締役CEOの加納千裕
ASTRA FOOD PLAN代表取締役CEOの加納千裕

「起業のきっかけは、父の挑戦と失敗だった」と話す加納。大手小売企業に勤めていた父が、突然会社を辞めて「世界中の子どもたちに、食の安心・安全を届けたい」と過熱水蒸気を利用した食品関連事業を始めたという。

しかし事業はうまくいかず、父の会社で働いていた加納は、2020年に親子ともに会社から解雇される挫折を経験。「父の思いを引き継いで、次こそ事業を成功させたい」という悔しさがモチベーションとなり、過熱蒸煎機という新しい機器の開発につなげていった。

「過熱蒸煎機はわずか10秒で、あらゆる食品を乾燥・殺菌・粉末化できる装置です。従来は捨てたほうが安かったはずの食品の端材・残渣・ジュースの残りかすも、過熱蒸煎機によって低コストで商品へとアップサイクルできるようになる。例えば吉野家ホールディングスさんとは、製造過程で大量に出る玉ねぎの端材を粉末化し『タマネギぐるりこ®』として製品化。それをさまざまな食品に活用しています」

大事にしているのが「社外に仲間を増やす」こと。現在も、大手食品メーカーをはじめ多くの企業との協業や実証実験が進んでおり、「一人の担当者との信頼関係を大切に築いていく」ことで、数々の大きなプロジェクトを生み出してきた。

「一人味方を作ることができれば、一緒に大きな組織を説得して協業する形まで広げていくことができます。そして今、事業を通じて目指しているのは、サーキュラーエコノミーが当たり前な世界を作ること。これまで、食品工場で出た残渣には“廃棄”以外の選択肢がありませんでした。これから『ぐるりこ』に変えたほうが経済的だという世界が作れれば、工場の仕組みは一変するでしょう。

経済合理性と環境性の両方を備えなくてはサーキュラーエコノミーの実現は不可能だと感じています。また、業界全体でのアップサイクルの社会実装を広げるために、協会の設立や認証制度の立ち上げ、また環境省へのリサイクル法に関する政策提言などと活動の幅を広げています」

事業をリードする立場として、「かくれフードロスをゼロにする」という起業時のビジョンがぶれないよう徹底していると話す加納氏。意思決定に迷うときは、「今やっているプロジェクトはかくれフードロスの削減につながっているのか」に立ち戻っている。

「アワードをいただき、みなさまからの期待に応えたい、世界を変えたいという思いがより強くなりました。まだまだ、アップサイクルという言葉も浸透しているとは言い切れません。受賞をきっかけにアップサイクルの理解と認識が社会に少しでも広がっていくことを願っています」

患者を救うため
未知の“ビジネスの世界”に飛び込んだ

「Bold Woman Award」を受賞した髙橋は、2014年に世界で初めて、患者本人のiPS細胞から網膜細胞を作って移植する手術を実現。その技術を標準治療として多くの患者さんに届けるべく、「網膜疾患の治療法の開発」をミッションに掲げたビジョンケアを2017年に設立した。

今回の受賞理由は、「研究成果を社会実装することで、極めて大きな社会的インパクトをもたらす点が高く評価された」こと。再生医療分野で第一線を走ってきた髙橋だが、「研究は“勘違い”から始まった」と振り返る。

「人生の転機は、京都大学に勤務していた34歳のとき。夫の転勤に帯同する形で、アメリカ・カリフォルニアでソーク研究所に留学し、そこで神経幹細胞に出会いました。『眼科医として神経幹細胞を知っているのは世界で私一人だ。この技術を網膜の再生医療に応用して治療を作らなくてはいけない!』と、ある種の勘違いから使命感に火が付いたんです」

ビジョンケア代表取締役社長の髙橋政代
ビジョンケア代表取締役社長の髙橋政代

帰国後、基礎研究に専念するために京都大学から理化学研究所へ転籍。もっとも勇気が要る“人生最大の決断”だったという。行動の原動力はいつも、目の前の患者さんを救いたい、という思い。14年の世界初の移植手術の成功後も、「これを標準治療にするまでは死ねない」「治療の開発をやり遂げるために、退路を断とう」と研究所を辞め、右も左もわからないビジネスの世界に飛び込んだ。

「理研のラボのときも60人ほどの研究員を率いて組織づくりはしていましたが、ビジネスの世界に入ってみると、ここはまさに総合格闘技の場。経営の本を読み漁り、経営者に話を聞いて手探りで進んできました。だからこそ今回、起業家、経営者として賞をいただけたことは本当にうれしいことです」

あとに続く女性起業家へのメッセージを聞くと、「勇気を出して一歩枠を外れてみてほしい」という言葉が返ってきた。

「新しい挑戦をするとき、8割くらいの人は『辞めたほうがいい』と全力で止めてくるものです。理研での移植手術も途中で中止に追い込まれそうになり、あきらめようと思ったこともあります。ただし、どんなときも残り2割の人たちが共感し、力を貸してくれました。みなさんの周りにも、そんな味方が必ずいます。共鳴し合える仲間を見つけながら、新しい挑戦にわくわくし続けてほしいなと思っています」

起業家たちの"Real Voice"を共有する
パネルディスカッション

表彰式イベントの後半には、スペシャルゲストにタレントで起業家のRIKACOを交えたパネルディスカッションが行われた。

「挑戦の裏にある“Real Voice”」をテーマに、受賞者の2人、審査員を務めるメディヴァ代表取締役の大石佳能子がそれぞれの経験を共有。ヴーヴ・クリコが立ち上げた国際調査「女性の起業家精神に関する国際的なバロメーター」の2023年の結果を見ながら、「挑戦の原動力」「仕事と、家庭やプライベートとの両立」といったテーマを語り合った。

「(壁が立ちはだかったら)正面から向かうんじゃなくて、横から回り込めばいい(笑)。それでも反対する人や壁は出てきます。そんなときも私のなかで6割『イケる』と思ったら、自分のパッションを言葉にして伝え続けて人を巻き込み、協力者を集めてやり遂げます」(髙橋)

「失敗やいやなことはすぐ忘れます(笑)趣味のバイオリンをオーケストラで演奏する時は、没頭して仕事のことは一切忘れられます。メンターの経営者にも、『経営者として一番大事なのは気を保つこと』と言われました。経営者が迷えば、事業も迷走してしまう。だからこそ意識的に自分の機嫌を取るようにしています」(加納)

起業家としての悩みや“Real Voice”を来場者と共有した二人。「賞をいただき、私自身が一番励まされました。もし、私たちの姿を見ることで勇気を持ってくださる女性がいらっしゃったら、こんなにうれしいことはありません」と髙橋がいうように、起業家やその支援者も含めたすべての人をエンカレッジするようなトークに花が咲いた。

女性起業家たちの挑戦に光を当ててきたBold Woman Award。受賞者たちが示した「勇気を出して一歩枠を外れる」姿勢は、次世代の女性リーダーたちへの力強いメッセージとなった。彼女たちが切り拓く道の先に、新たなイノベーターの誕生を期待したい。

 MHD モエ ヘネシー ディアジオ
https://www.mhdkk.com/

promoted by MHD モエ ヘネシー ディアジオ / text by Rumi Tanaka / edited by Kaori Saeki