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「表現の自由」は不自由なのか?

表現の自由」という言葉がある。
文字通り、誰かが何かを表現しようとしたとき他の誰かによって制限されたり妨害されない権利のことを言う。

これは日本国憲法21条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する
と規定されるように、私たちがこの国の国民である以上この前提を忘れてはならない。

ではこの観点から「自由」は不自由たりえるのかを考えていきたい。

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主催者も表現者としての意地があったのだろう

「アーティストには表現をする権利もある表現をしたわけです」

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一見、自費でやれという意見は真っ当であると思われた

「じゃあ自費でやってくれ」

その決着にはおよそ4年の月日を要することとなる……。



表現の不自由展って?

愛知県にて行われている芸術展示会、通称「あいちトリエンナーレ(現在は別称)」。2019年に開催された際、特定のギャラリーにおいて展示された「表現の不自由展・その後」というテーマをあつかう展示を一般としては「表現の不自由展」として認知されているものである。

少し検索すると色々と分かると思うが、どうにも政治色が強すぎるあまり主に税金を納める現地市民らのクレームが過熱した経緯をもつ。また展示の負担を契約していた市からも

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誰もが同じことを考えたかもしれない

「こんな侮辱的な表現を認めるわけにはいかん(意訳)」

として展示にかかった負担金の支払いを拒否するという異例の事態に発展、訴訟沙汰となったなかなかスパイシーな事案である。


事の顛末は

結論から言うと「市はちゃんと展示会の委員会にお金をはらおうね」という事になった。
一般的な意見の多くでは、冒頭の2人が演じたように「自分のやりたい表現なら自分たちのお金で賄え!」という意見で紛糾した。まあ感覚としてもそりゃそうだろうな、という所ではある。

しかし司法はそう判断しなかった。

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まず憲法21条は「表現の自由」を保障している。
どういう珍妙な表現をしようと、それを妨げる権利は国にも個人にもないぞという事をはっきりと示している。
つまり「表現物を展示するので助成金をお願いします」という契約について「一見侮辱的な表現が散見された展示会であった」としても契約としてはなんら違反していないので、契約通りお金を払おうね!

……という、一般人にはやや理解の難しい判決が下されている。


お前の嫌は権利ではない

「お前の気持ちは憲法が保障しない」
と書くと結構トゲトゲした表現になってくるが、この「表現の不自由展」が示したのはまさに上記のとおりであった。

主文を読むのは各々に任せようと思うが、1審2審ともに我々が肝に銘じるべき流れは……

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「しかしねえ君、私たちとしては『芸術活動の域としてそれは違法であること』を明らかにする立場なのだから……」

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BANGじゃないのはご愛敬

「よくしゃべる……ッ!!」(公平審理ドンッ!)

被告(名古屋市)は沈黙したな。
おい、奴の痴態を片付けてやれ……誰でもいい、やってくれ!

当たり前だと思っていた常識が痴態に変わった瞬間であった。(ちなみに市が被告というのは、支払うべきお金を支払い拒否したという側のため)

ここに一つの疑念が湧くと思う。
侮辱的な内容には違いなかったのではないか?なぜ不問に?」と。
これは「一般的なやり取り」ではなく「芸術活動の一環として評価したかどうか」が焦点のようである。
[週刊金曜日』2024年3月22日号:「平和の少女像」展示の芸術祭負担金訴訟で名古屋市の敗訴確定 守られた表現の自由]

芸術活動の性質に鑑みれば、不快感や嫌悪感を生じさせるという理由で、ハラスメントなどとして芸術活動を違法だと軽々しく断言できない……(一部抜粋)
としている。
つまり事前に「これは正当な理由がある」として個人らの感情を法が制した事例にあたるとみることができるだろう。

映像作品であれば例えばボクサーは殴られれば鼻からも口からも、穴という穴から血の数滴は垂れて当たり前だろう。それを「読み手が不快になるかもしれない」からといって表現を省いてしまったどうだろうか。表現が成立しなくなる。

「月がきれいですね」という表現が特定の場面では変わった意味合いをもつとき、表現者がまったく関係のない場で「月がきれいですね」と述べたとしてもそれは「月がきれいである」事実以外の説明をしないのである。
ここぞという時にこそ遣おう。

その他諸々、ネットにおける事例は以下のリンクにもあるが、なるほど範囲が広い……。

[プロバイダ責任制限法 権利侵害明白性ガイドライン 裁判例要旨]

さて、そもそもこの話題を書き始めたのには理由がある。
「表現はいつどうであれば、どこまで許されるのか?」である。

ある雑誌が政治家Aの不祥事を掴んだとしよう。記事は出来上がっているが、その内容が実は事実と異なっていたとする。その可能性を鑑みた政治家本人が「出版を止めてくれ」と要求した場合……

そう、要求に従う必要があるようだ。
憲法21条は表現の自由を保障をするが、同時に検閲をしてはならないともしている。
つまり「出版物や言論を確認した後、これは口にするな、書くな、公表するな」と制限する権利は誰にもない事になっている。

ただし、という話でもあってその表現が不当に相手を貶めたり名誉を毀損するものであればそもそも「表現の自由下」にない表現に該当するため、取り消しや差し止めなどの制止に従う必要が生じる。

繰り返しになるが、先の表現の不自由展では「芸術としての表現である」前提をもってハラスメントや侮辱表現であるという認定を回避したという訳である。


表現者は無敵か

先の例をみるに、事実ではないことを表現したり芸術の域にない表現で過激なものに奔る行為を憲法は認めているわけではない。
平易に言うと「デマ」や「侮辱の為の侮辱」は止めろという事。

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持てる力の使い道を誤ってはいかんぞ

ヒトは情報を伝えるために、壁画を開発し、文字をつくり、数字を用い、また絵を用いるに至ってきた。
文字よりは画像が、画像よりは映像が我々を強く誘導する力をもっている。表現力の豊かな者はまさに「剣よりも鋭いペン」を携えたサムライであり、表現によって何かを斬り捨てる事も容易である時代であった。

しかしその特権は平民にも等しく与えられる時代が訪れている。数年前であればそれは「スタンプ」であった。これが「生成画像」へ進化するのに四半世紀もかからなかった。

表現者による一方的な主張はいずれ通じない時代が訪れる。声で主張をリアルタイムに表現する時代もくるかもしれない。
いずれにせよ「強い言葉でしか主張できなかったこと」が、2次元的に表現できるようになった昨今。しかしその時代にあってまず知っておくべきは「これは芸術活動か、それに準じるものか」の意識が求められるのだろうと思われる。


簡単に文字を書きこめる時代において、その手軽さから熟考する機会が減ったように思われる。これは即ち文化人としての退化ではないだろうか。


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