Yahoo!ニュース

他人の写真を無断で使ってでも訴えたい、恵方巻廃棄のすさまじさ 年間468万円分の食品を捨てるコンビニ

株式会社office3.11代表取締役
株式会社日本フードエコロジーセンターに運び込まれた恵方巻(2025年、同社より提供)

2026年1月17日午前、Threads(スレッズ)に、taku1973515というハンドルネームの方が、リサイクルされる恵方巻の写真とともに以下の文章を投稿した(1)。

「恵方巻 買う人も売る人も アホやと思ってます バレンタインと同じ ただのビジネス くだらねー しかも毎年どんだけ廃棄してんの」

2026年1月17日午前、threads(スレッズ)にハンドルネームtaku1973515さんが投稿した(筆者がスクリーンショット)
2026年1月17日午前、threads(スレッズ)にハンドルネームtaku1973515さんが投稿した(筆者がスクリーンショット)

見覚えのある写真だった。

筆者が、昨年2025年2月5日に書いた「2025恵方巻廃棄の損失はコンビニだけで推計3億円超 2019年からの7年間で捨てる量は変わったか」という記事(2)で使った写真だったからだ。

株式会社日本フードエコロジーセンターからお借りした写真が無断で使われていた。

出典を追記していただきたい旨、ご本人の投稿にコメントし、自分でも投稿したが、2026年1月17日14時現在、反応はない。

恵方巻の廃棄について発信頂けることはありがたいが、企業からお借りした写真データなので、できれば出典を追記いただきたい。

2025年、株式会社日本フードエコロジーセンターに搬入された恵方巻や、巻く前の恵方巻(株式会社日本フードエコロジーセンター提供写真)
2025年、株式会社日本フードエコロジーセンターに搬入された恵方巻や、巻く前の恵方巻(株式会社日本フードエコロジーセンター提供写真)

この写真は、日本の食品業界を象徴している。

つまり、恵方巻や海苔巻きのように、巻いた形のものだけでなく、巻いていないもの、巻く前のものも入っているからだ。

欠品を許さない日本の食品業界

なぜ巻いていない恵方巻も含まれているかというと、日本の食品業界では欠品(品切れ)を許さない小売企業が多いからだ。

発注を受けてから、ご飯を炊いて海苔や具材も用意するのでは間に合わない。

あらかじめ、注文を受けてすぐに恵方巻が巻けるよう、スタンバイしておく。

でも、要らなくなったらお役御免。

巻かないままの恵方巻が捨てられる。あるいは日本フードエコロジーセンターのようなリサイクルセンターへ運ばれてくる、というわけだ。リサイクルされるものなんて、全国の食品小売業全体のうち、一部しかない。ほかのごみと一緒に燃やすのが簡単なので、たいていの余剰食品は燃やされる。一般廃棄物の処理費に年間2兆2,912億円の税金を費やしている。

2025年、日本フードエコロジーセンターに運び込まれた恵方巻(株式会社日本フードエコロジーセンター提供写真)
2025年、日本フードエコロジーセンターに運び込まれた恵方巻(株式会社日本フードエコロジーセンター提供写真)


最大手コンビニエンスストアは昨年対比で117%以上の売り上げ目標

2025年2月の節分時、最も多く売れ残っていたコンビニでは、日付が変わる前の23時台の時点で70本近くが売れ残っていた(2)。

その最大手コンビニ本部では、2026年の恵方巻の売り上げ目標として、2025年対比で117%以上の数字を立てていると関係者は語る。

2025年も、あんなに売れ残っていたのに。

グラフは、2025年の節分の夜に売れ残っていた恵方巻の売れ残り金額の平均値である。

2025年の節分の夜に売れ残っていた恵方巻の合計金額(調査データをもとに長谷巧海さん制作)
2025年の節分の夜に売れ残っていた恵方巻の合計金額(調査データをもとに長谷巧海さん制作)

我々消費者も恵方巻の売れ残りを食品価格と税金のダブルで負担

消費者が気づかなけばいけないのは、恵方巻の売れ残りは、他人ごとではないということだ。

まず、食料品価格の中に、間接的に捨てる費用が含まれている。企業も廃棄コストを負担するが、そのコストはどこから持ってくるか。客から受け取った金がその原資となる。客は、食料品価格を払うとき、間接的ではあるが、廃棄コストも負担している。

二番目に、安くはない税金が、コンビニ・スーパーで売れ残った食品の処理にも使われているということだ。売れ残り食品は「産業廃棄物」ではなく、「事業系一般廃棄物」として、多くの自治体が別々に収集するが、家庭ごみと一緒に燃やす場合が多い。

そして、一般廃棄物の年間処理費は2兆2,912億円(3)だ。我々が納めた税金の結集である。

これは、全国の国立大学の運営交付金(1兆971億円)(4)の2倍以上に相当する。

2025年、日本フードエコロジーセンターに運び込まれた恵方巻(株式会社日本フードエコロジーセンター提供写真)
2025年、日本フードエコロジーセンターに運び込まれた恵方巻(株式会社日本フードエコロジーセンター提供写真)

コンビニ会計で損するのは加盟店

大手コンビニではコンビニ会計(5)が使われている。

廃棄した商品の仕入れ値を原価に含ませない。

廃棄が増えても本部の取り分が変化しない。

そこで、2009年6月以降は、本部も10%台を負担するようになった企業が多いが、それでも加盟店が80%以上を負担する状況に変わりはない。

本部と加盟店の力関係で本部が強いのは当然だ。

本部が損しないとなれば、加盟店への発注が増える傾向にある。

「昨年対比で117%」などと言われた日には、今年2026年も、恵方巻の発注を増やさざるを得ないだろう。

大手コンビニ1店舗あたり年間468万円(中央値)分を廃棄

公正取引委員会によれば、大手コンビニ1店舗あたり、年間468万円(中央値)の食料を廃棄している(6)。

恵方巻などの季節商品だけではない。

筆者の取材によれば、普段から廃棄が常態化している店舗では、1ヶ月あたり100万円、年間1,200万円以上の廃棄が出ている。

他人の写真を無断で使ってでも、食料廃棄を批判したくなるだろう。

自分たち消費者は、たとえ恵方巻を買わなくても、全国の自治体で「事業系一般廃棄物」のごみ処理費に使われる税金で、無駄にお金を損している。そのことを知ってほしい。

参考情報

1)2016年1月17日、taku1973515さんがthreadsに投稿した内容

2)「2025恵方巻廃棄の損失はコンビニだけで推計3億円超 2019年からの7年間で捨てる量は変わったか」(井出留美、Yahoo!ニュースエキスパート、2025/2/5)

3)一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度)について(環境省、2025/3/27)

4)令和8年度国立大学運営費交付金予算について【国立大学協会会長コメント】(国立大学協会、2025/12/26)

5)弁当の廃棄ロスを招く、コンビニ会計のからくり 粗利の5割がロイヤルティーとして本部の懐へ(中野大樹、東洋経済オンライン、2023/2/23)

6)コメ不足なのに「大量のおにぎり」をゴミにしている…コンビニ店員が証言「468万円分の食品廃棄」のキツイ現実(井出留美、プレジデントオンライン、2025/4.7)

  • 13
  • 4
  • 2
ありがとうございます。
株式会社office3.11代表取締役

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書『私たちは何を捨てているのか』『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』『SDGs時代の食べ方』『食べものが足りない!』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞など受賞

井出留美の最近の記事

あわせて読みたい記事