【タイムトラベラー】
「最近家庭菜園を始めてさ、」
「へえ、いいじゃん。丁寧な暮らしって感じで」
「昨日終わらせた」
「終わらせたってなんだよ枯らしたって言えバカ」
「すいません!今って西暦何年ですか!?」
「えっ、なんですかいきなり。今年は2005年ですけど…」
「2005年!?しまった、行きすぎちゃったか!」
「? 行きすぎってどういう…」
「いえ!こっちの話です!教えてくれてありがとうございます!では!」
「消えた…!?」
「なあ、今のって」
「ああ、もしかしてタイムトラベラーってやつかも」
「いやそれもだけど」
「2005年ってめちゃくちゃウソじゃん。今年2025年だろ」
「ああ」
「「ああ」じゃねえよ」
「どうするんだよタイムトラベラーにウソついて。スシローの場所きかれて鈴木史朗資料館の場所教えるのとはわけが違うぞ」
「鈴木資料史朗館がそもそも存在しないだろ」
「しょうがないだろ。タイムトラベラーっぽいやつに西暦を聞かれたらウソの年を教える、これはおれが小さい頃から抱き続けてきた夢なんだから」
「なんだそのどうしようもない夢は」
「映画とか観てるとタイムトラベラーが時間移動した後にその辺の人に話しかけてそこがいつの時代かわかるシーンってあるじゃん。あれって毎回正確な答えが返ってくるけどそれはお話の中だけで、現実はそうじゃないってことをタイムトラベラー自身にその身をもって知らせたいんだよおれは」
「さっきもすごいスッとウソ答えてたもんな」
「タイムトラベルの概念が一般化したらこういう輩が出てくるのか、メディアが栄えた後の時代にトラベルするの難易度たかいな」
「すいません!」
「あっ、また来た」
「今って本当に2005年ですか?」
「はい。2005年です」
「まっすぐ目を見て答えたな」
「今年ポケモンの映画にルカリオが出てくるんですけど超楽しみにしてます」
「ってことはまた失敗か…、ありがとうございます!では!」
「あーらら、またまんまと信じてやんの」
「信じられないなお前」
「そんな目で見てくるなよ。だから言っただろ、これはおれの夢だからしょうがないんだって」
「ルカリオ出たの20年前?」
「そっちかよ」
「いや、またウソをついたことにも驚いてるけどね。何度も来るってことはこの時代がなにかの分岐点になってるってことだぜ。話を聞いてみるくらいはしてもいいんじゃないか」
「ムリ」
「気がふれてるから」
「そうか…」
「気がふれてるんじゃあんま強く言えないな…」
「あーあ、おれもタイムトラベルができたら家庭菜園を失敗する前に戻るんだけどな」
「今度は枯らさないようにだ」
「土の捨て方には決まりがあるって過去の自分に教える」
「枯らす未来を避けろよ」
「自治体のホームページに捨て方が載ってるんだけどさ。ほら見て、土って不燃ゴミなんだって」
「あの、」
「2005」
「まだ聞かれてもないのに」
「また2005年!?おっかしいなあ、どこで間違えてんだろう」
「ってあれ!?」
「あなたが手に持ってるそれスマホじゃないですか!2005年には存在しないはずですよ!」
「すまほ…?」
「これはキットカットですが…?」
「思い切ったな」
「えっ!!?2005年のキットカットってこんなサイズなんですか!!??」
「小っさ!!オモチャじゃん!!」
「ってそんなことはどうでもいいんだ、では!」
「キットカットめちゃくちゃでかくなるらしいぞ」
「オモチャって言ってたしな。待ちきれねえよその未来」



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