iPS由来のNKT細胞でがん免疫治療 安全性確認、有効性の兆候も 約10年で実用化へ

千葉大と理化学研究所の研究チームは16日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した免疫細胞の一種「NK(ナチュラルキラー)T細胞」を、世界で初めて頭頸(とうけい)部がん患者に投与した治験の結果を発表した。重篤な副作用はなく安全性が確認され、有効性の兆候もみられたという。

治験を指揮した本橋新一郎・千葉大教授は「安全性を確認できた新たな治療法を早く患者に届けたい。10年程度での実用化を目指す」と話した。

治験は令和2~5年、口の中やのどなどに腫瘍が生じ、手術や抗がん剤投与などの標準的な治療では効果がなかった、40~70代の頭頸部がん患者10人を対象に行った。

NKT細胞は、体に侵入した異物を攻撃する役割のNK細胞と、免疫の司令塔となるT細胞の特徴を併せ持ち、がん細胞を攻撃しつつ免疫全体を活性化する。ただ、血中では量が少ない上に、体外で増やしにくい。

そこで治験では、健常者から採取したNKT細胞をiPS細胞に変化させた後、再びNKT細胞に戻し凍結保存。必要時に解凍して大量培養し、腫瘍に栄養を送る動脈に投与した。いったんiPS細胞にすることで増殖能力を高め、作り置きと大量培養を可能にした。

最初の3人にNKT細胞約4500万個ずつ、残りの7人は約1億5千万個ずつ、最大3回投与した。1人に副作用とみられる全身の発疹が生じたが、すぐに回復した。

また、投与から6週間後に腫瘍の大きさを調べた8人のうち、3人は増大が続いたが、5人は増大が抑制され安定。そのうち2人は腫瘍の長径が11~12%縮小していた。そこでチームは、安全性と治療効果の兆候を確認できたと結論づけた。

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