阪神大震災で被害免れた「免震構造」の神戸のビル2棟、普及のきっかけに…能登でも効果発揮
免震技術は数々の地震の知見を踏まえ、飛躍的に発展してきた。23年には、和田さんらの尽力で、免震ゴムなどの性能を実物大で検証できる世界最先端の大型試験施設「E―アイソレーション」が兵庫県三木市に完成した。「海外からも利用希望が相次いでいる。より安全な免震装置の開発につながる施設だ」。和田さんはそう期待する。
一方、免震構造のビルや病院は都市部に集中する。一般社団法人「日本免震構造協会」(東京)によると、戸建て住宅を除く免震建物の建設計画は23年末までに累計5649棟あったが、500棟以上は東京都と神奈川県だけ。南海トラフ地震の被害が想定される和歌山県や高知県は2桁台にとどまる。
厚生労働省の調べでは、災害拠点病院や救命救急センターのある病院でも、免震構造があるのは23年度時点で24%(184病院)にとどまり、岡山など6県はゼロだった。耐震構造より建設費用が1~2割高くなるとされる点が、普及を妨げているとみられる。
東京大の目黒公郎教授(都市震災軽減工学)は「建物が揺れに耐えても、内部が壊れれば結局費用がかかる。復旧・復興の段階まで利用できることを見据えれば、免震のコストが高いとは言えない」と指摘。「災害拠点病院の要件に免震を加えるなど、国は普及に向けた制度改正を検討すべきだ」と訴える。(伊藤孝則)