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琵琶湖に息づく淡水真珠 無二の造形生む養殖オペ

匠と巧

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白やピンク、青みがかったグレーや深紫など、色とりどりに輝く真珠は、丸や細長いもの、複数の珠が連なったものなど形も様々。これらは琵琶湖産の養殖真珠だ。あまり知られていないが、琵琶湖は世界で初めて淡水真珠の養殖に成功したところ。アコヤガイなどに丸い核を入れて作る海の真珠と異なり、無核の養殖技術を確立し、個性的な形状の真珠を生み出した。

かつて、偶然の産物である天然真珠は1000個の貝の中に1個あるかないかの希少品だった。1893年にミキモトの創業者、御木本幸吉氏が世界で初めて真珠の養殖に成功し、真珠といえば養殖真珠が主流になった。それから遅れること約40年。琵琶湖産の二枚貝イケチョウガイを母貝として真珠を養殖する技術が開発され、琵琶湖での真珠養殖が始まった。

最盛期の1970年代には年間6トン超を生産したが、ほとんどが輸出され、国内に流通したのはごくわずか。琵琶湖で真珠が作られていることを知る人が少ないのはこのためだ。また、80年代後半から、琵琶湖の水質悪化などの影響でイケチョウガイが育たなくなり、生産量が激減。中国などで安価な淡水真珠が作られるようになったことも打撃となり、ピーク時に100社程度あった養殖業者は10社未満にまで減少した。

近江真珠(滋賀県守山市、浜井清久社長)は現在も生産を続ける数少ない真珠養殖業者だ。湖のほとりの作業場で、真珠養殖の重要な工程である「オペ」作業を見せてもらった。母貝となるイケチョウガイを1.5センチメートルほど開いて、外套(がいとう)膜にメスで袋状の穴を開け、他の貝から採った細胞片を挿入する。最盛期に20人ほどいた職人は、現在は社長の妻の清子さんただ一人。穴や細胞片の形状によって真珠の形が変わり、養殖業者ごとに蓄積したノウハウがあるという。

近江真珠は細長い形状の真珠を得意とする。「ある程度は狙って作るが、自然の力で左右される部分も大きい」と浜井社長。どのような色になるかは、挿入する細胞をどこから採取したかや、湖の環境によって変化する。オペをしてから真珠が巻かれるまで最低3年。核入れから半年~2年で浜あげする海の真珠よりも育成期間が長く、不確定要素が多くなる。

「どれ一つとして同じものがない、個性的な輝きが琵琶湖真珠の魅力」と話すのは、神保真珠商店の杉山知子社長。祖父が始めた真珠店を3代目として引き継いだ2014年、大津市内に初めての店舗を開いた。「はじめは在庫を売り切ったら廃業するつもりだったが、真珠に触れるうちに、すばらしい技術をなくしてしまうのは惜しいと思うようになった」と明かす。

店に並ぶのは、個性的な真珠の形を生かした、シンプルなネックレスやピアスなど。メディアで紹介されたこともあって、認知度は少しずつ高まっている。養殖業者はどこも高齢化が進み、生産量を増やせないのが悩みという。

(小国由美子)

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