成田空港(千葉県成田市)周辺の大規模開発に関する投資商品「みんなで大家さん」(成田商品)を巡り、出資金約1500億円の大部分が、グループ会社に流出していたことが訴訟記録や関係者への取材で分かった。元々の地権者から取得した開発用地は、東京新聞の試算で推定約34億円だったとみられ、出資金の多くはグループ内で移動し、自由に使えるカネとなっていた可能性がある。(井上真典)
◆用地の取得「原価」を試算すると約34億円
商品は、開発を手がける共生バンク(東京都千代田区)のグループ会社「都市綜研インベストファンド」(ファンド社)=大阪市=が出資金を原資に土地を取得し、造成・開発する別の複数のグループ会社に貸し出し、得た賃料を元に投資家に配当する仕組み。
同グループは元々の地権者から用地を入手する際、グループ会社が買い取った後、ファンド社に高額で転売していた。
東京都と共生バンク側との訴訟記録には、同社側が市場価格で取得したとみられる一部の土地の売買価格(原価)を示す資料が添付されていた。本紙が資料を基に試算をしたところ、元々の用地の取得総額は34億円前後だったと推定される。
◆「土地の価格高騰」を理由に高値で取得
ところが、ファンド社は原価の約72倍の約2473億円と評価し、土地代に出資金約1500億円を充てて取得。グループ会社は巨額の売却益を得ていた。
訴訟で共生バンク側は、ファンド社が高値で用地を取得した理由について「(成田市の)開発許可の取得などで土地の価格は高騰している」と主張している。
登記情報などによると、地権者から土地を入手した共生バンクの複数のグループ会社や開発業者の代表取締役は、共生バンク本体の代表や三男。ファンド社の代表取締役も共生バンクの代表が務めている。
◆「グループ内でカネを移動していただけ」
商品は本来、土地を賃貸して利益を生み出し、投資家に配当する。しかし、グループのある関係者は「グループ会社は(土地の)売却益からファンド社に賃料を払い、ファンド社はそこから配当を払っていた」と、グループ会社間で出資金が移動していただけと証言する。
本紙は、共生バンクにグループ会社の売却益の使途を尋ねたが「出資金は対象不動産の取得のみに充てた」と答え、支出先を明らかにしなかった。訴訟記録では、売却益を「造成工事やコンサルティング費などに充てた」と説明している。
みんなで大家さん(成田商品) 成田空港近くの東京ドーム約10個分(約45万平方メートル)の敷地に複合商業施設やホテルなどを計画する大規模開発に関連した投資商品。工期は4度にわたって延長され、昨年11月には土地の一部を貸し付けていた成田国際空港会社が、事業者側の資金力を問題視し、契約を打ち切った。テレビCMなどで高齢者を中心に勧誘。成田以外の商品を含めると、一般投資家約3万8000人から約2000億円を集めたとされる。昨年7月から配当が遅延し、集団訴訟も起きている。
◇
◆「規制対象外」で行政のチェックすり抜け
出資金約1500億円の行方は、法の穴を突く形で、事業を監督する大阪府と東京都も追えない仕組みになっ...
残り 620/1922 文字
この記事は会員限定です。
- 有料会員に登録すると
- 会員向け記事が読み放題
- 記事にコメントが書ける
- 紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
カテゴリーをフォローする
みんなのコメント0件
おすすめ情報
コメントを書く
有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。