ラクロス

名古屋大学・前田賢蔵 応援されることで強くなる 東海リーグで初のインカレ決勝

涙を流し、応援してくれた人たちに感謝の言葉を述べる名古屋大学の前田賢蔵(すべて撮影・有田憲一)

ラクロス全日本大学選手権(インカレ)の男子決勝、試合終了まで残りわずか。早稲田大学を相手に2点差を追っていた。相手ゴール前でフリーになった名古屋大学の主将、前田賢蔵(4年、御影)は思い切りシュート。ゴールの枠にはじかれると同時に、その場で倒れ込んだ。体力を出し尽くし、右足がつった。担架で外へ。5-7。早稲田の5大会ぶり6度目の優勝を知らせるタイムアップの笛は、グラウンド脇で聴いた。

あともう一歩

東海リーグのチームとして初めてインカレ決勝まで勝ち上がった。準決勝で、関東リーグ1位の明治学院大学を延長の末に5-4で破り、上げ潮ムードだった。

こぼれ球を必死に追う

決勝の相手、関東リーグ2位の早稲田に比べて体格で劣っている。下馬評も相手が上。しかし運動量と攻守の粘り強さで対等に渡り合った。チームは先制点を奪い、前田自身も2度、同点に追いつくゴールを決めた。守備でもタッチラインを割りそうな球に必死で食らいついた。しかし第4クオーターで突き放された。大会の優秀選手に選ばれたが、「やはり学生日本一になりたかった」と唇をかんだ。

工学部で建築を学んでいる。まずは勉学を、と入学した。しかし新入生歓迎会で「日本一を目指す」と宣言していた、この部に強くひかれた。「学生日本一を目指す部活動、名古屋大ではなかなかない」

幼稚園、小学校でサッカー、中学、高校ではバスケットボールに打ち込み、スポーツは好きだ。初心者が多い競技であることも魅力。飛び込んだ。

ゴールに喜ぶ

苦しかった勉学との両立

ただ、苦しかったのは勉学との両立だった。理系だけに授業や課題が大変で、「特に2、3年生の頃は本当にきつくて」。徹夜明けで練習に加わったこともあった。

踏みとどまれたのは支えてくれる人がいる実感があったからだ。

同じ学年のプレーヤーは初心者だけの9人だ。大学院に進んだ部の先輩たちが一から技術、戦術を教えてくれた。

球を持って攻める

インカレ4強に入った1年時、初戦を戦った会場は仙台市内だった。1年生にとって遠征費は大きな負担だ。先輩たちがクラウドファンディングでお金を集めてくれ、さらには現地で他大学の新入生と練習試合を組んでくれた。「かわいがられてきた」と思っている。

2、3年時には東海リーグの決勝で敗れ、インカレ出場はかなわなかった。

キャプテンになって、「何かを変えないといけない」と思った。思い浮かんだ言葉は「支えてくれているから頑張れる」だ。

仲間に支えられながら表彰式に

思いが実を結ぶ。応援に涙

保護者たちへのアプローチを密にするようにした。さらにチームのグッズ販売も本格的に始めた。部の活動費に充てると同時に、応援してくれる人を増やすことが大きな目的だった。「ここはマネージャーたちが本当に頑張ってくれました」と感謝する。これらの頑張りが実を結んでの決勝進出だった。

決勝の会場には、早稲田と同等か、それ以上の声援がバックスタンドから届いた。試合後、あいさつにいった。

先頭に立ち、スタンドへあいさつにいく

「僕らは地方のチームと言われますが、こんなにも(応援に人が)集まってくれる恵まれた環境にいます。結果を出せなかったのは僕らの力です。来年、またここに戻ってきて、必ず学生日本一を達成してくれると思います」と頭を下げた。

グラウンドに降りてきたファンには一人ずつ名前を呼び、「ありがとうございました」とお礼を口にした。

試合後、ファンと記念撮影におさまる

「僕は何より勝ちにこだわりたいのですが、勝敗を超えて、応援されるチームでありたい。勝っても応援されない、というのは悲しい」

「学生日本一」の目標は達成できなかった。しかし「応援されることでさらに強くなれる」。そんな言葉を身をもって知った4年間だった。

仲間とともに記念撮影

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