第4章・大蝗害編
第185話 愛の形のなんたるか
秋も深まり、吹く風に寒さが混ざり初めたラヴァン王国は冬を越す為の準備へと移り始めていた
秋の収穫が最盛を迎え農作物で市場と民の倉庫は潤い、冬の間に貯蔵させる為の加工が本格化し始める。
秋の初めが新鮮な旬の収穫物を楽しむものとすれば、冬に近まる程に長期保存が利く調理や加工が施された美味も登場する…そこに寒冷でしか育たず収穫できず、姿を表さない資源の恵みも相まって『食の秋』は盛り上りを静めることは無い
さらに冬へ向けて魔獣や魔物の多くは肉と脂身を蓄えていることから狩猟の秋とも言えるこの頃…畜産以外の狩猟品は今の時期が美味とされるシーズンに差し掛かっている。
冒険者の狩猟活動も夏場と比べて本格化し初め、食肉用の狩猟依頼も登場。
胃も懐も満たすべく多くの冒険者が精力的に活動するのだ
そんな事もあって、ラヴァン王国では昔から秋に『体を動かす』風習がある。
体を動かして収穫、狩猟に励むシーズン…それが魔神大戦などの戦争期と交わることで王国での秋とは『戦いで体を動かす』という風習が育っていた
王国騎士団内ではトーナメント形式のイベントとして模擬戦を開催され、冒険者ギルドでも賞金をかけて力自慢が非殺傷を前提に腕自慢大会が開かれるなど…盛り上がり方は様々である
それはここ…ヒュークフォーク王立魔法学院においても例外ではなかった
学院内の生徒達による全学年総合戦闘大会『学戦祭』は生徒達の立候補者達による戦いのお祭りだ。
参加は任意にして自由、多数のグループが設けられごちゃまぜの乱戦、その中で頂点に立った者がトーナメントの頂上決戦へと進むことが出来るのだ。
この辺りは先達の戦闘イベントである貿易都市カラナック名物『武争祭』から引用してきているらしい…多数の生徒を抱えるヒュークフォーク王立魔法学院で1人ずつの一対一を参加者分組むなど現実的ではないのである。
なのでごちゃまぜで戦わせて最後に立っていた者がトーナメントへ進出、これは参加者多数の大会にとっては都合がいいらしい
そして、トーナメントには貴族、軍の関係者や近衛魔法師団、冒険者ギルドや高位冒険者等の戦いを生業とする者達も観覧することが出来る。
これは彼らが『青田買い』をする為であり、生徒達にとっては卒業後に仕事へ付くための就職活動に直結する。
卒業後にトーナメントで結果を残した生徒を確保するために声をかけるべく観戦しに来るのである
実力を見せお眼鏡に叶えば、高位冒険者のパーティは勿論、本来ならば試験や面接などが必要な国軍や魔法のエリートとも言える魔法師団からの内定なんかも貰える訳なのだ。
本気になる生徒が大勢現れるのも当然の一大イベント…それが学戦祭であった
ー
「嫌よ。もう何度も断ってると思うのだけど…しつこいのが取り柄なのかしら?」
「そう言わずに…これはまたとない名誉さ。学院内での地位、卒業後の安定、地盤固めやコネクション…メリットしかないと思うんだけどね」
「言ったはずよ。その手の話に興味は無いの、分かったら素早く私の前から消えなさい。しつこい輩は嫌いなのよね、あと人の話を聞かない人も」
「うーん…随分と嫌われてしまったみたいだね。今年の人集めはかなり苦労するなぁ…1年生の子にも3人からばっさり切られてしまったし。困ったね」
「あら、あなた人望無いんじゃないかしら?それとも、端から見るとそれだけ入る価値が無いとか?じゃあ失礼するわ…二度と誘わないでちょうだい」
きっぱりばっさり、不機嫌な朝霧の声が学院の廊下に響き渡った
振り替えることする無く言葉で一刀両断した様子の朝霧に対して、話しかけていた相手は苦笑しながら「また声をかけるよ。…また、ね」と後は追わずにその背を見送っていた。
背の高く、ブロンドの短めに揃えた髪をしっかり後ろに流すように整えた貴公子といえる髪に誰もが振り向くだろう麗しい顔立ちの生徒だ
美しい顔立ちに細身の長身と女子生徒の殆どが振り向く貴公子然とした生徒であったが、朝霧の対応は冷たい。
背中の下程まで伸ばした長い黒髪を流しながら不機嫌そうに去る姿は彼女の凛とした美しさと気丈さも相まって男子生徒もつい見てしまう程だが…当の朝霧はご機嫌斜め
そして…それを見ていたのか、廊下の曲がり角から彼女の横に並んで歩き始めた彼女はくつくつと楽しそうに笑っていた
「くっくっ…な、なかなか見ていて愉快だったぞサギリっ…!あそこまで真正面からぶった切るとは流石っ…くくっ…」
堪えられない、という可笑しさで笑いながら朝霧の横に並んで歩き始めたのは…美しい銀の髪を腰まで届く程に流した朝霧よりも長い髪と、彼女にも並ぶ背丈の美少女。
真っ赤な瞳と、エルフほどはないがピンっと尖った耳を持つ怜利な切れ長の目元が年齢に反した大人さと意思の強さを見せ、引き込まれるようだ。
その肢体も見事、制服の下に隠される体の曲線はかなり反則気味のラインを描いているのがよく分かる…まさに隣を歩く朝霧に匹敵するものだ。
総じて目が吸い込まれるような麗しい魔族の少女であるが…朝霧は慣れたもので嘆息しながら彼女を見たのであった
「…見てたなら少しは助けてくれても良かったのよペトラ。はぁ……なんなのかしら、あれ。諦めが悪いにも程があるわよ…」
「我等もよく声をかけられるのだ、正直あれで我が間に入ると的がこちらに向いてしまう…まぁ許してくれサギリ。我とてあれは面倒臭いのだ」
「やっぱり…あの人が言ってた「断られた1年の3人」ってペトラ達ね?ルルエラもこの前言い寄られてたわよ…流石に追い返していたけど」
「ま、我らも同じ理由だのぅ。何が楽しくて……『生徒会』などという物に入らなければならんのだ。あやつ自体も我は気に入らんのだ」
「現生徒会長ルーミュラ・アルフェルド…だったわね。入るわけ無いわよねー…今さら生徒会なんて」
そう、ペトラである
今は選択講義の時間であり、この時間に講義を取っていないペトラは少し時間を持て余していたのだが…そこで人集りのあるこの場所に引き寄せられてきたらしい
そして、朝霧がきっぱり断りを入れていたのはヒュークフォーク王立魔法学院生徒自治機構…通称『生徒会』の勧誘であった。
成績上位者であることもさることながら、何よりも実力主義が第一に優先される。
生徒が生徒を統治する…そこに優先されるのは何よりも生徒が悪行に走った時、上から抑え込める力が無ければ話になら無いのだ
その生徒会の頂点に君臨する生徒会長の肩書きが意味する物はただ1つである
即ち……名門ヒュークフォーク王立魔法学院において、最強である証拠なのだ
特に現生徒会長は戦闘国家バーレルナの大貴族にしてその跡取りだ。
アルフェルド家…それは『四大天使の末裔』である四家の一角。
ラウラを筆頭とするクリューセル家が『慈母の天使アマティエル』を祖に持つのと同じように、アルフェルド家は『天啓の天使リーリニア』を祖とする家系。
つまり、クリューセル家とも完全に張り合える超巨大貴族家である。
地位も権力も絶大にして実力も兼ね備えた存在ともなれば生徒会長に寸分の違和感も無いだろう
だが…それはそれとして、ペトラも朝霧も感じていたのは同じことだったらしい
「なーんか…癪に障るのよね。こう…自分の見てくれで頷いてくれないかな?的な雰囲気を感じるのよ」
「それはあるのぅ…。あれは己の容姿が武器だと分かっていて振り回しておる感じだ。ま、確かに整った顔をしとるが…でも普通は逆であろう?」
「逆、って………あの会長さんか女性なのに女子生徒に色目付けて誘ってる事?ま、男装の麗人ってやつね…確かにパンツルックだとかなりサマになってるわ。あれならそのへんの女子くらい一言甘い言葉かければワンパンよ」
「なかなか男に雰囲気を寄せた女というのは見たことがないが……というか、そこまでして生徒会に招きたいのかのぅ?いや、来年卒業ともなれば後継問題でもあるのだろうな」
「私の国にはそういうのも居たわよ?こう…王子さま系を気取るイケメンの女子が同じ女子がキャーキャー言われる感じのヤツね。私には刺さらなかったわねー、あれ」
「ん…?整った容姿ならば男をひっかけた方が簡単に釣れるのではないか?ハニートラップの王道ではないか」
「ま、需要がそっちの方があるんじゃないかしら?男からしたら自分よりイケメンの女子が目の前に居ても微妙な気持ちになる、とか?」
生徒会長が生徒会に、目覚ましい実力を見せる後輩生徒をスカウト中…しかもシオン、ペトラ、マウラにルルエラときて今度は朝霧だ。
女子生徒が多いのはいったい何故なのか…生徒会長に特殊な趣味でも無いのなら、それは恐らく引っかけやすいという自覚があるのだろう
随分な手段ではあるが、生徒会長であるルーミュラ・アルフェルドは最高学年だ。
来年になれば卒業し学院を去る…その穴埋めの為に実力のある生徒を引き入れようとしてるのだろう、と予想はつく
…まぁ褒められた手段ではないのだが、と朝霧もペトラも顔をしかめた
カナタの恋人達やルルエラも含めて面倒事はごめんであった。
今は手間や仕事を増やしたくないのだ
「ふーむ……カナタに今度聞いてみるか。お、そう言えばサギリ、カナタとはどうなのだ?」
ふぐっ……!!と朝霧の声が詰まった
見ればちょっと気まずそうに眉をぴくぴくと動かしている…これにはペトラも「…おや?」と首を傾げた
何せ朝霧はかなり押せ押せのタイプである…彼方も彼女を憎からず想うどころか、彼の初恋は朝霧と来ていた。
ならばすぐに仲も深まるのだろう、と思っていたのだが…どうにも微妙な反応であった
「その……いい感じにはしたいのよ…?ただ…いざ彼が目の前に来るとこう…がっつくいて行くところまで行こうとするのは、その……痴女みたいじゃないかしら…と、思わないでもない…かしら…?」
「お、おぉ……そこはしっかりブレーキがあったのだな。我、感心……てっきりそのまま押し倒すのかと思ったのだがのぅ」
「私をなんだと思っているの…?勿論、必ず彼とは結ばれたいけれど……さ、流石にその手段が即ベッドインというのは…ね…?最初はそれでもいいと思っていなくもなかったのだけどほら…段階、というのは…あると思うのよ私も」
「意外……わ、我ら4人より遥かに理性的とは……ま、まるで我らが痴女のようではないか…っ!!」
「…ちょっと、かー君にどんな迫り方したのよ。そう言えばかー君と初めてシたのもペトラ、あなただったわね?」
今度はペトラが気まずそうに視線を反らした!
それを反眼で見つめる朝霧にペトラはかなーりやりにくそうに「よ、よせ…そんな目で見るでない…」と弱々しく言い返すペトラはあまりにも分が悪かった!
朝霧も最初はばっちり覚悟完了して、すぐにでも彼と結ばれてしまっていい、なんて思っていたものの…いざ数年振りの想いを寄せていた彼を目の前にすると「…ちょっと待ちなさい…本当にそれでいいのかしら…?」と内なる乙女が待ったをかけたのである
キスはした、彼からもしてもらった…これは良い。
自分でもそうするつもりで動いたし、その場の空気もなかなかに良かったに違いない
ただ…その先に至るには何か…何かが必要な気がして意外なことに朝霧の方が手を出しあぐねたのだった。
もう彼方と想いを抱えて離れるなど二度とゴメンの朝霧だが、いざその流れで「さぁかー君、私を抱きなさい」と言えるのか?
…流石にちょっとブレーキがかかった
この先は大胆さと慎重さが必要…しっかり押しつつ適度に空気に従う順応性が試されるのだ
勿論、日和るつもりはない朝霧だがこの先はいかに彼女とて詰め方を間違えてはならない…言わば最終局面でもあるのだ。
慎重を期すのは当然のこと…猪のように攻めて彼から「さっちゃん、そういう感じなんだ…昔と変わったね」とか言われた日には朝霧は自害するしか無いと決めているのである!
ところが、どうやらペトラの様子が妙である
じっとりした眼差しで彼女を見る朝霧から視線を逸らしながら、指をくいくいと曲げて「こ、ここで話すのは恥ずい…」と付いてくるよう促しながら学院の廊下からそそくさと移動し始めるペトラに、ちょっぴり眉間を揉みながら付いていく朝霧なのであった
ー
「…全力で戦ってから2人きりの家で上着1枚だけ着て下に何も着ないままかー君の部屋に突撃して、しかもその格好の感想ちゃっかり聞いてから「エッチする覚悟で来た」ってカミングアウトまでして誘いをかけた…?」
「まっ、待つのだ…なんか言い方に痴女みがあるっ…!わ、我とて精一杯カナタと結ばれる手段を考えたのだっ…積年の想いは我もあって…っ」
「しかも焚き付け過ぎて覚醒したかー君に一週間家から一歩も出ずしこたま抱かれ続けて学院まで休んでた、ですって…?挙げ句足腰立たなくなって、避妊薬飲まないと完璧身籠ってたレベルでハードに……?」
「う、うむ…その……わ、我も予想外でな?カナタがあそこまで吹っ切れると熱い男とは見切れなくて…あ、あやつもあやつだぞっ?それまで我らの事を妹分としか見ておらんかったしっ」
「はぁ……予想外よ…まさかここまで異世界少女の攻撃力が高いなんて……。ねぇまさか、シオンとマウラまで似たようなこと仕掛けてたりするのかしら…?」
「そ、そもそも始まりはシオンなのだぞっ?カナタの入っとる温泉に突撃して体を触らせに行ったりキスしたり…」
「……はい?」
「ま、マウラに至っては湖の畔で体を重ねる一歩手前くらいの行為までカナタとしておったしっ」
「……はいっ??」
「それに耐えたカナタに思いきってもらうには…こ、こうするしかなかったのだっ。だから我は悪くないっ、あの時のカナタがカタブツ過ぎたのだっ!」
朝霧は頭を抱えていた!
ここは学院内に設けられたカフェの一席、ちょっとだけ話が周りに聞こえないように端の方の席に向かい合って座る朝霧とペトラだが、どこか苦し紛れそうなペトラの言葉が朝霧の肩にのし掛かっていた!
良く考えれば彼女達…彼方を囲む女性陣の恋情話に深く踏みいったことは無かったので、この際は当時の事を当事者がしっかり聞き出すことにした朝霧だったのだが早くも異世界少女とのギャップに出くわしたのである
朝霧は自分のことをこう思っていた………
ーー私…日本の女子高生にしてはかなり攻めてる気がするわ……そんなこと無いのかしら?
いきなりキスとかしないわよね…変じゃないといいのだけれど……
いかに死んだと思っていた想い人と出会うことが出来て、もう離れる前にしっかりと関係を結びたいと思いをするものの…さっすがに数年振りに再開して「じゃ、一戦しましょ?」といえる程に朝霧は性への耐性が強いわけではないのだ
なので彼方へのここから先に進むアプローチに悩んでいる訳なのだが…まさかの彼と既に関係を結んでいるペトラの話を聞いてみると自分が奥手で臆病なのではないか?と思えてしまう経験談のオンパレード
初体験のわりにあまりの威力の高いアプローチに朝霧の頬が引き攣るのも無理はなかった…
(…こんな異世界産のファンタジー美少女からのアプローチを3年も耐えてたかー君に拍手したくなってきたわね。むしろ、その一線の壁を一度壊してくれたこの子達に感謝しないとダメかしら……私だけだったらかなり時間がかかってたかも…)
逆に彼方の当時の鋼のメンタルにちょっと感心してしまう
だって見て欲しい…目の前のこの少女を
輝くような銀糸の髪、切れ長で美しい目元に蠱惑的な光を宿す赤い瞳、エルフより短く人と同じくらいだが先の尖った耳、既に美女と言える顔立ちに加えて自分に迫るすらりと伸びた背丈と、ぐっ、と張り出した胸元と曲線を描くウエスト、きゅっ、と出ながらも締まったヒップについ眼を奪われるなんとも艶かしい柔らかさとしなやかなを備えた脚線美……。
その肢体の神がかった起伏と引き締まりのバランスはあまりにも刺激が強い。
挙げ句の果てに魔法においてこの学院でもトップを牛耳る生徒の1人であり、風魔法で言うならば学院最高峰…知識豊富に魔法技能に精通しながらも体術を修め、生半可な相手では触れることなどできはしない。
なんだこのスーパーファンタジー美少女は…普通の男なら言い寄られて1分も理性が保たないに違いない、と朝霧は改めてペトラを見つめる
…こんなレベルの女性陣が4人も彼を囲んでいるのだ
朝霧にとって最初はハーレムという文化はなかなかに衝撃的ではあったものの、逆の発想で「ハーレムならば既に恋人が居る彼方と自分も結ばれる事が可能なのでは?」と思い切り考え方をシフト。
この少女達のことを知れば知る程に彼を愛した覚悟やひた向きな想いを感じ取れて、その事への違和感も払拭されていくのだ
だが…それはペトラも同じであった
(うぅむ……我としては是非とも応援してやりたいところだのぅ。というか幼少期からこんな東方風の美女となる者が傍らに居て育っておったから彼方はカタブツだったのではなかろうな…?)
まるで鴉の羽を濡らせたような背中の下まで届く黒い髪を一房に纏めたポニーテール、夜の優しい闇を宿したような黒い眼、大人さと冷静さを混ぜたクールな美女の印象を与える顔立ちはアルスガルドでも東方に住む民族に良く似た特徴だ。
自分よりも少しだけ高い身長と、きゅっ、とメリハリと起伏に富んだ肢体は制服のブレザーでも隠すことは出来ないだろう。
健康的な肉付きで伸びる長い脚と併せて、見る者の目を引き寄せるのだ…こんな逸材が隣で一緒に育っていたなら理性が硬かったのも無理ないか、と朝霧を見て思ってしまうペトラ
なんだかんだと共に過ごし、言葉を交わしているが…まっすぐで健気で、意思の強い朝霧は次第に無理なく友人として接しているのだ。
ペトラとしては前に彼女へ言った通り、彼方を共に愛する者として遺憾なしであった
だが…アプローチの仕方に決定的な差があった!
朝霧が「キスから先はどうすれば…」と思い悩んだところでもたらされる、圧倒的に前のめりなペトラの初体験の経験談!
考えてみてほしい…普通の地球に暮らしている日本の女子高生ならば、だ
想い人の幼馴染みのお風呂に突入してお酒飲みながら体を触るよう誘いをかけつつ深いキスをしに行く?
屋外の水辺で人気が全く無いとは言え深くキスしながら誘いをかけて行為の一歩手前まで愛撫を受けて夜を明かす?
パーカー1枚で他は裸体という格好で彼の部屋に突撃して自分の格好の感想を聞きつつ初体験まで持っていく?
そんなわけあるはずが無い!
日本のどこにそんな攻撃力のカンストした想い人特効Level100の女子高生がいるというのだ!
いかに朝霧と言えどもたたらを踏んだ領域に2つも年下の少女達が迷うこと無く突撃して見事に結果を勝ち取っている…!
ここで「彼方の理性が薄いだけだったのでは?」と言う疑問を目の前の少女の圧倒的魅力が全て否定するのだ…これと同じレベルの異世界美少女が3年も同居しながら仕掛けてきていたのをいなしていた彼方は間違いなく鉄人だったに違いない
…多分、殺伐の世界で掠れた心を彼女達に癒され今では溜まった反動により愛深くなっているのだろう。
簡単にその程度の予想は着く…朝霧の彼方への理解度は非常に高いのだ、解る解ると朝霧は静かに頷いた!
「まぁ…そこはいいわ。ちなみに聞きたいのだけれど、かー君って随分と…その、夜が強いらしいわね?」
「ぅ……た、確かに…正直に言うと常人とはかけ離れておる、としか言えん。…というかここで話すのかっ?」
「何を慌ててるのかしら…ただの恋バナよ。年頃の女子なら学院の片隅でこんな話題に花を咲かせて当然…ペトラ、あなたが初体験なのよね?さぁ…聞かせてちょうだい」
「う、うむ……そう言われると当然…なのか…?」
そして重要な情報の収集を開始する…!
なにかそれっぽい事を言ってペトラを言いくるめた朝霧は年頃の女子としても気になっていた想い人のアレコレを聞き出しにかかった!
だって気になるじゃないか!
知っておいて損はないのだ!
いさという時にビビる訳にいかないのだから!
「その、サギリっ…?は、話した我が言うのもあれなのだが…腹に指を当てて測るのはやめないか…っ?」
「こ、こ、ここまでっ……届くのね…っ。な、なるほどなるほど……っ…だっ、大丈夫よ問題ないわ…っ」
「あと…み、ミニパフェの容器を見ながら喉を鳴らすのもやめんかっ?いや分かるがっ、気持ちは分かるがっ!」
「い、一回で最低でもこの容器いっぱいになるくらいの量…っ…なのよね…っ。ま、まかせなさい私はかー君のなら…全部受け止めれる…と思う、わ…っ。ほらっ、ゆ、勇者ボディは頑丈らしいものっ」
「あぁもう言わんことではないっ!あと、その相手も勇者であることを忘れるでないわっ!我らとて1人で受け止められた者などおらんから気負うでないっ!」
朝霧が自分の下腹に指を横にして何かの長さを当てるようにしたり、食べ終わったミニパフェの容器(小さいペットボトルくらいの容量)を見ながら頬がひきつったりしていた!
彼方にとって初めての相手となるペトラの経験談…それはあまりに鮮烈で苛烈で火傷しそうな情報のオンパレードだった!
特にどこまで入ってくるかとか!
どのくらい出すのかとか!
それはもう事前に仕入れておかなければ戸惑いに震えていただろうこと間違いなし!
朝霧はこの手の色恋による先の行為は経験がないので当然実際に見たことなどない。
しかし当たり前や平均くらいのことは保健体育やら自習やらで頭に入っているのだ
取りあえず、どう考えてもペトラが言った通り常人からはかけ離れた夜の強さであることは分かったが…これはなかなかに覚悟が必要そうである
「か、カナタはこれを『勇者由来の肉体性能補強のパラメーターの偏り』と言っておったが……まぁ、あやつが特別製なのは明らかだのぅ」
「…ちょっとあなたへの尊敬が強まったわ。よく初めてでそんなレベルのかー君と一対一が出来たわねペトラ……」
「なんと嬉しくない尊敬なのだろう……わ、我だって何度も気絶を繰り返したぞ…?打たれ強い訳ではないが……あ、ちなみに一番強いのはラウラさんだ」
「えっっ……あの人って確か聖女よね?しかも『大』が付く稀代のスーパー聖女で聖女教会のみならず全世界から偶像的に崇められてて、『最高の聖女』なんて謳われて歴史に名を刻むような……」
「自宅の部屋に7日7晩籠ってひたすら体を重ね続けておった……それはもう、ラウラさんの方からノリノリでのぅ…?我らを含めカナタを囲む4人の中ではラウラさんこそが最強なのだ…7日後に普通に歩いて部屋から出てきて『素敵でしたわねっ。今度は
「それはもう聖女というより大性女よ!?」
「そしてラウラさんがカナタに仕掛け初めてを奪われたのも…お風呂だったらしい」
「かー君、ここぞとばかりに同じウィークポイントを皆に狙われてるわね…!?」
まさかの一番に夜の性の時間が強い女性が、かの大聖女ラウラ・クリューセルであることに度肝を抜かれた朝霧にペトラは乾いた笑いが漏れる
朝霧のイメージでは、こう…聖女の頂点なんて言われる伝説的な偉人なのだからもっと清貧とか純潔とか清楚とかが強い人だと思ってたのだ。
普段見ているラウラはまさにそんなイメージだ
本来ならば当主として家を継ぐはずの実力知名度共に絶対的な後継であるところを、現在は勇者一行の聖女を拝命した為に保留としているが…
そもそも大貴族クリューセル家が誇る才女であり、才覚美貌共にその名を知らぬ者など国外にすら居ないとされる貴族界隈に咲く最大の華。
聖女教会でも史上最高と謳われる腕前の聖魔法使いであり、他の聖女とは次元の違うレベルの魔法を操る地上に降り立った最高の癒し手。
世界を救った勇者パーティの聖女として黒鉄の勇者と共に旅をし、艱難辛苦を乗り越えて見事に救世の旅より帰還した伝説の英雄。
それらの肩書きに加えて絶世という言葉に違和感を持てない程の美女であり、慈愛に満ちたような柔らかな目元と金糸を編み込んだボリュームある長い美髪、笑めば女神のように美しく、締めれば戦乙女のように凛々しい美貌…世の女性の理想を集めたような高めの身長に劣情を抱くなと言う方が無理な弾けんばかりの肢体の起伏は埋ずまるような豊満な胸元ときゅっ、と細いウエスト、魅惑的に張る尻に引き締まりと肉感を両立させた脚と何もかもが極上…
彼女を讃える言葉を探せば無尽蔵に出てきてしまうだろう
まさに全世界垂涎の全てを兼ね備えていると言える高貴かつ神聖な美女…それがラウラ・クリューセルなのだ
……なのだが…………まさかの夜の性の時間においては無類に強く、愛した男には貪欲らしい
まっっっったく朝霞には想像もつかなかったのだが………
「覗いた時は凄かったのぅ…。えっと…ラウラさんが具体的にどんなことしてたかとか…聞くか?」
「…やめておくわ。初心者には温度が高過ぎよ…」
朝霞が「今度からどんな顔であの人を見ればいいのかしら…」と頭を抱え始めたのを見てペトラは口を噤んだ!
既に事前の情報だけでもちょっと頭がパンクしそうだ!
でも…そんな話も、平和で当たり前みたいで、つい笑ってしまいそうになる
だって数日前まで、友人と自分の命運の為に命を張った戦いに出ていたのだから
ちょっと慌てて言葉を濁すペトラに密かに「くすっ」と笑いながら
(…待ってなさい、かー君。お互いの初恋…そろそろ叶えないと、ね…?)
朝霧は胸を躍らせたのであった
ーーー
「失敗だったな…あそこまで生徒会に拒絶を持たれるのは流石に予想外だった…その辺、何かを事情とかご存知ありませんか?……ラウラ先生」
「ありませんわね。あと、その取って付けたような敬語はお止めなさい……せっかく幼馴染みなのですから」
「あはははっ!ごめんごめんっララ姉っ!こうして話すのもちょっと久しぶりだからさぁ、つい身構えちゃったんだ!」
「嘘を言いなさいミラ…それにしても、らしくありませんわね?そんなに声を掛けて回るなんて…普段ならもっと悠長に構えている
生徒会室の中央窓際に備えられた生徒会長の机に座るルーミュラ・アルフェルドは、先程までの作ったような美しい笑みではなくもっと楽しそうに大口を開け声をあげて笑った
それは生徒会長の机の前に置かれた来客用の大きなソファに座る彼女に向けられたものだ…あまりにも有名なその姿、純白に金を織り込んだ唯一無二の聖女装いをした目を引き抜かれるかのような美女…ラウラ・クリューセルが呆れたように息を漏らしながら湯気のたつティーカップを口許に運んでいた
そう…この二人は幼馴染みである
ルーミュラは18歳で来年の春には卒業の最高学年…対してラウラは今年で19歳となったラウラは少しだけ年の離れた幼馴染みだ。
何故にバーレルナ貴族のルーミュラと、ラヴァン貴族のラウラが幼馴染みなのかと問われれば…それは『四家の絆』と呼ぶに他ならない
女神の血をひく四大貴族家…彼ら彼女らは口や立場に一切の縛りを持たず交流を保っているのだ
ラウラとルーミュラも昔からの腐れ縁、幼少期から頻繁に顔を会わせていた関係ゆえにこの垣根の緩さも当然の事だった。
要するに…この二人は結構仲が良いのである
「いやぁバーレルナがどうにもチリついててね。もしかしたら卒業待たずに帰国、なんてことになるかもしれないんだ。だから早く頼りになる生徒会をスカウトしないと…もっとじっくり生徒会員は口説き落としたかったのになー、勿体ない」
「バーレルナがチリつく……それで節操なく手当たり次第に声をかけまくっていたんですのね?」
「手当たり次第でもないさ。声をかけたのはこの学院でも指折りの実力者だ、今年はすごい奇跡の世代だね!とんでもない子が沢山在籍してるんだから!」
「はぁ…取りあえず、その男装服で女子生徒をからかうのだけはお止めなさい。趣味が悪いですわよ?」
「えー……結構受けがいいのになー、反応も皆可愛いし。でもさ?今回声をかけた子達は誰も反応しなかったんだよスゴいね!ちょっと自信失くしそうだったよ!」
…ちなみにルーミュラが何故に男子生徒のような格好と髪を後ろに流したイケメンルックをしてるのかというと…ただ単に面白いからである!
自分が試しに男の装いをしたら思いの外「なんかその辺の男子よりかっこよくない?」と思ったのが最初のこと…そこから男装と王子様系のキャラ作りで女子生徒の可愛い反応を楽しんでいるだけだった!
本人は大いに大ウケであるが、そのせいで「会長は女性が好きなのでは?」との噂もたっているらしい。
本人がなにも気にしていないから騒ぎにもなっておらず、学院の名物的なものに落ち着いているのだが…この無邪気な姿こそがルーミュラ本人の素である事を知るものは学院の中でもかなり少数だ
「シオン・エーデライト…マウラ・クラーガス…ペルトゥラス・クラリウス…この3人は入学した時からとてつもないね。各属性では比較になる相手すら居ないし強化魔法でも戦士課で勝てる生徒は居ないだろうし…今じゃそこから手がつけられないレベルで強くなってる。
あとはルルエラ・ミュートリア…聖魔法の使い手で魔法弾の申し子、あれは聖女教会にいつか取られちゃいそうだ何よりもララ姉の教え子でしょ?
で、さっきの子…サギリ・モニエブラ、難易度の高い氷属性の天才で空間全体を冷気で支配できるレベルの使い手、強化魔法ある程度の水準を満たしてる。
いやはや、今年は豊作豊作!是非とも皆揃って欲しいところ!」
「ほどほどにしておきますのよ?しつこいと嫌われますから……。そう言えば、そろそろ四家の集いがありましたわね?今年はアルフェルド家の主催ではなくて?」
「あ、そうだった忘れてた…はいこれ招待状。フォルガードルム家からは返事来てるよ、参加だってね。クリューセル家もいつも通り参加でしょ?」
「えぇ。この繋がり…星の女神様の
「あっはっは!ララ姉の代わりなんて居るわけないさ!弟君も優秀だけどララ姉に勝てる「クリューセル」は居ないって!それに多分フォルガードルム家からはレックサールが来るよ?ふっふっ…まーた言い寄られるんじゃないララ姉?昔からあいつ、ララ姉に御執心だし」
「はぁ……お断りはしてますのにね…。私、もう愛した殿方が居ますのよ?既に男のモノとなった女性を求めるのはナンセンスですのに」
「会えもしない伝説の英雄よりも側に居れる自分の方がー、ってのがレックサールの言い分さ。…というかそれだとララ姉がもう結ばれた、って言い方みたいだね?ま、そろそろ夢は終わらせてあげるべきじゃない?」
「あら、そう聞こえましたの?しかし…それはそうですわねー、すでに何度も試してはいますけれど…。ところでミラ…四家が集うのはやはり、無理そうですのね」
「あー……アルフェルドでは今でも探し続けてるけど、絶望的だね。やっぱり完全に滅びた…そう考えていいと思うよ。150年前にはもうすでに……」
「クリューセル家でも捜索は絶やしていませんけれど……レクリオーサ家は、グラニアスの襲来により消滅、その血は完全に途絶えた…そう考えるしかないのかもしれませんわね」
四家の集い
それは天使の末裔である四大貴族が定期的に顔を会わせて親交を深める交流の場
貴賤無く同じ女神の血をひく者達として交流と親交を絶やすこと無く、諍うこと無く、対等に絆を繋ぐ…代々四つの家は必ずそうしてきた
女神の血をひく天使の末裔たる四大貴族
しかし、その一角『不変の天使アルガミーユ』の血を継ぐ古代貴族レクリオーサ家は……既に姿形を完全に消され、残るのは3つの家のみ
滅びた一族の生き残りは……今も見つかっていない
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【一方その頃……】
「ふ、ぬ、ぬ、ぬ、ぬ、ぬ、ぅぅぅぅぅっっっっ……………………!!」
「ん……頑張れルルエラっ……もうちょっとで立てるっ……!」
「こ、腰が痺れるっ……膝が震えるぅぅっ……でもいい加減ベッドから自分の足で降りれないとボク…ダメ人間みたいになっちゃう…っ!」
「まぁ少しの間はいいのではありませんか?ラウラさんのご自宅なら食事もベッドまで運んでくれますし、メイドさんが体を拭って髪までこの場で湯洗いしてくれてます」
「だからだよシオンっ!なにもしなくて生活が成立してるのが怖すぎるっ……お金持ち怖いよっ!だからっ…自分の足で歩かないとダメなんだぁぁっ…!」
「おぉっ……その調子っ…!……まるで子ウサギが初めて歩いたみたいっ…!…でも意外だった……ヨウは火がつくとイメージが変わる…カナタみたいだね…」
「ですね…まさかここまでとは…初めての時はちゃんと立ててましたから、やはり相当手加減してくれていたみたいですね。まるで初めての時の私達を見ているかのようです…」
「ぼ、ボクもあんなにヨウが脇目も振らずがっついてくれると思わなかったんだ…っ。ふ、ぐぐっ、ぅぅ…!こ、これからする時は全部本気って言ってたから…た、度々歩けなくなるかもぉ…っ!」
「ん……一歩だけ歩けたっ…!……ん……?……ルルエラ、このにおい……?」
「あ、うっ!?ま、待って力んだら…まだ中に溜まってたヨウのがちょっと…溢れたちゃったっ……!?」
「……席、外しましょうかマウラ」
「……仕方ない…立てないから体拭いて貰うばっかりで、お風呂にも行けてないもんね……」
「ま、まだこんなに残ってっ……ぅぅぅ流石に恥ずかしい…っ……」
「でも嫌そうじゃないあたり…というより幸せみたいですね」
「……そんなの当たり前…だってそれは、私達だって同じだったよ…?」
「そうですね……では最後にルルエラへ教えましょう。いいですか?」
「へっ?な、なにっ?」
「中に溜まってて大変…分かりますとっても。そういう時は、ここ…お臍の少しだけ下…ここをこうやって、ぐっ、と押すと…えいっ」
ーーぐっっ…!!
ーーぶっびゅっっ…!ぶぽっっ…!…ごっぷっ!
「ん、きゅ、ぅぅぅぅぅっっ!?!?い、今…すごい勢いでっ…奥からっ、あ、溢れ…っっ!?!?力、抜けっ…ちゃ……っ」
「…これがなかなかに気持ちいいものでして、前にカナタにされた時は私も思わず膝から崩れてしまいました…。ほらルルエラも思わず、ぺたり、と崩れ落ちるくらいに」
「…な、なんてむごい……というか、におい凄くなったっ…余計な子としちゃメっ……!」
「シオン、タオル取ってぇっ!あわ、わっ…ん、くっ……奥から溢れてっ…止まらなっ…」
「…確かに、凄いにおいになりましたね。カナタとのベッドの上を彷彿とさせます…取りあえず部屋から出ましょう、マウラ」
「……今回はシオンが戦犯……ちゃんと最後まで介護してっ…!」
「はい…………あ、でも拭くのは自分でしてくださいねルルエラ。私はカナタの以外の種を触るのはヨウさんのモノとて流石に抵抗がありますので…」
「分かったから早くタオルぅっ!!?こ、これ以上床に溢したらメイドさん達に凄い優しい目で見られながら掃除されちゃうっ!」
…今日もクリューセル邸は平和なのであった
エンディング後の過ごし方 未知広かなん @michihiro0713
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