【独自】公益通報の調査員は通報者の上司だった 専門家「公平中立な調査がねじ曲げられた」、広島県の対応を問題視
広島県の虚偽公文書作成問題を巡り、文書偽造を県に公益通報した職員に当初の聞き取りをした県西部建設事務所呉支所の当時の支所長が、県が指名した公益通報の調査員だったことが分かった。支所長は通報者の上司に当たり、聞き取り時には虚偽作成を正当化する発言をしていた。専門家は公益通報者保護法に基づく国の指針に抵触する恐れがあると指摘。「公平中立な調査がねじ曲げられた」と問題視する。 県が昨年11月に公表した公益通報の再調査報告書によると、県人事課は当初調査で6人の職員を調査員に指名。ただ、調査員がどの職員かを明らかにしていない。関係者によると、県西部建設事務所呉支所の当時の支所長と次長の2人が含まれていたという。 【地図】問題の舞台となった災害復旧工事の現場 2人は22年1月、通報した職員に支所長室で聞き取り調査した。中国新聞が入手した音声データでは、その際、支所長は「(県本庁は)筋が通っておれば何も言わない」「ほんまに当たって協議して、それをきちっとやったとしたら大変な仕事量だ」と話していたことが判明している。調査員という立場の人物が虚偽作成を正当化する発言をしていたことになる。 公益通報者保護法に基づく国の指針では、事案の関係者を通報対応業務に関与させないことを規定。県も要綱で、調査員に「通報対象事実に関係する職員を指名することはできない」と定める。 公益通報制度に詳しい淑徳大の日野勝吾教授は、支所長の調査員指名は、国の指針に抵触する恐れが高いと指摘。「県の要綱通り、支所長を調査員から除外すべきであり、正当化発言も不適切。いずれも内部通報制度の信頼を失墜する出来事だ」と疑問視する。 県人事課は、支所長が調査員だったかどうかについて「通報者の特定につながる情報のため、答えられない」と説明。11月に再調査報告書を公表した際の記者会見では、杉山亮一総務局長が「上司のような人が調査員になることは当然あり得る」と話していた。 ◆広島県の虚偽公文書作成問題 県西部建設事務所呉支所が2021年度、呉市安浦町の中畑川災害復旧工事で作業用の土地の確保について地権者と協議していないにもかかわらず、協議したとする虚偽の借地協議録を作成。国土交通省に提出し、補助金を増額して受け取った。県人事課は21年11月、文書偽造を訴える公益通報を受理したが、事実の有無を特定できないとの結論を出していた。その後の再調査結果で、県が当初から虚偽作成を認識しながら、知事に報告しなかったことが判明した。
中国新聞社