果てしなきスカーレットのレビュー・感想・評価
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応報刑の是非とニーチェの超人思想
面白かった。 唐突にみえる演出も多かったが、ミュージカルシーンの意図も伝わり共感した。
また3DCGの新たな可能性を探るようなルックのアニメーションには心底凄みを感じ感動した。
私は映画に監督や作品との対話、価値観のすり合わせ的なものを求めているタイプの人間だ。
その為「細田守はそう考えるのか」と本作を楽しめた
許しや応報刑の是非などの問題を日頃から考えるタイプの人間としては目新しさこそなくとも答えが出せない問題に対して監督なりの一つの答えがきけて誠意を感じたのだ。
また、本作ではニーチェの言うところの永劫回帰や積極的、消極的ニヒリズムといった哲学的な問題に踏み込みその上で主人公に積極的ニヒリズムを選択させたと私は受け取ったので作品により深みや凄みを感じた
私の特性として映画にアトラクション性より凄みとか思想とかメッセージ性を求めるというものがある。
私がそれを求めるのと同様に大衆が映画に求めるものもまた多様だ。当然、本作がハマらない人がいるのも理解できる。
色々な人がいて多様な背景と可能性がある。他者を許せない人も許せる人もいる。ミュージカルシーンで多種多様な人種を描いたのはそういった事を表現したかったのだと思う。
ただ、許せない自分も許してしまう自分も許そう。許してしまっては折り合いがつかないこともあるけれど生きよう。そこからが始まりだというメッセージを感じた。
確かに問題点はいくつもあった。
ストーリーから外れた抽象表現に移り変わる「繋ぎ」の欠如。
エンターテイメント性が希薄で観る人のコンディションによっては説教的に感じる。
哲学、思想といった要素をエンターテイメントや大衆芸能に昇華できずそのまま作品に投影してしまっている為、受動的な鑑賞スタイルに耐えない。
画面は本当に凄いけれどメリハリなく凄すぎるが故に「凄すぎて凄いのが分からない現象」が起こっている
目新しさはなく「普遍的問題を映画で表現した」以上の意味を感じず顧客に新たな価値観を提供できていない。
と、いったところだろうか…
しかし私は本作のこうした欠点にすらある計算された狙いを感じた。
それは観客に【現実の復讐をさせない】ことだ。
この言葉は「エヴァンゲリオン」から引用したものであるが、敢えて言葉を濁さず言ってしまうと昨今の情勢や時代が映画に求めているものは「憂さ晴らし」や「現実の埋め合わせ」だと私は思う。
つまり「悪を倒せ」「正しさとは?そんなこと知らねぇよ」の代弁者としての映画が求められているという事だ
本作はそうした明快で手軽なカルチャーへのカウンターとして徹底的に「復讐の代弁者」になることを避け難解で起伏がなく脈絡のない問題が降り注ぐ美しいリアルな現実をそのままフィルムに投影しているのだ。
本作の感想とし「退屈で虚無を感じる」というものが散見される。
当然だ。なぜなら現実は退屈だからだ。
そしてその復讐は本作でついに果たされなかった
では本作は我々に何をもたらしたのだろうか?
それは「超人思想」だ。
少し説明させてもらう。
まず本作には様々な暗喩表現が散りばめらている
時も場所も混ざり虚無になる場所=「映画館」
復讐=「映画館での現実の復讐」
見果てぬ場所=見終わらない=「現実」
ざっとこんなところだろう。
哲学者ニーチェ曰く「虚無」とは神が死んだあとに訪れる既存価値観の崩壊であり「虚無」を受け入れ無意味な現実を生き新たな価値を創造する者こそが超人だそうだ
これを超人思想という。
この思想は本作とも合致する。
復讐に囚われ執着していたスカーレットは父の「赦せ」という言葉により価値観が崩壊し虚無を感じてしまう。
しかし聖の優しさや人の温もり、多様な可能性に触れて「争いのない世界を創ろう」という新たな価値を創造し見果てぬ現実に戻っていくのだ。
そう、つまり本作は観客とスカーレットの両者に虚無からの脱出、復讐からの開放の試練を与えた多重構造映画なのである。
最後に、
様々な重圧を背負った上でこのような作劇を世の中に提示し、更には映像表現の面でも新たな価値観を創造した細田守監督の「神殺し」に最大限の賛辞を送りたい。
酷評される理由も解るのですが…、、
先ず、酷評されてらっしゃる皆様が仰る通り我々世代が期待していた細田守の世界観。正確に言えば、細田守と他の監督とのコラボの世界観とは大きくかけ離れており、正直失望されてもしょうがないとは思います。
然し、一つのお話として見ると終わり方も潔かったと思いますし、恐らくこの作品の伝えたい事、戦争及び争いの愚かさ というものもストレートとは言えませんが、作品全体を通して伝えられていたのでは無いかなと思いました。
賛否両論の途中のダンスシーン、劇中歌を入れたかったから無理矢理だったのでは?と言われれば、そう捉えられないことも無いですが、個人的には、昔の王族同士の権力闘争に巻き込まれ苦しませられた挙句、亡くなってしまうという重々しい事情を抱えたスカーレットが、現代の平和自由の象徴であるダンスを聖君から学という大それたフィクションから、もしもの未来を想像させる事が可能という創作ならではの良い点を駆使していた斬新で良いシーンなのでは無いかと思いました。
結論、見る人によって評価は変わるというところになってしまいますが、酷い作品と思って見に行かないという選択肢を取るには少し惜しいと思いますので、話題性も乗じて気になっている方は見に行ってみてみるのも全然オススメできますよ。
ぜんぜん良かった
登録が必要なのではじめて映画のレビューを書きますが良かった。そんなに駄目なのかと心配してたが良かったので驚いた。
確かに違和感がある部分や疑問が残る部分はあるが、素直に観ると分かりやすい。似たような感性の人がいれば観てみてほしいので他のアニメ映画の私の評価と比較を書いておこうと思う。
「君たちはどう生きるか」:分からなかったということで言うとこの映画は私には話が理解できなかった。ジブリ好きなので映像を楽しめはしたが、どういう話か聞かれてもちょっと困るので、私の中ではよく分からない映画として上げるならこっちになってしまう。
「鹿の王」:あまり振るわなかった映画で、確かにちょっと映画を楽しめるほど入り込めず詰め込みすぎ?で難しかった。原作を知ってた方が逆に良かったのかもしれない…
上2つが理解が追いつかなかった映画。ちなみに映画を見る母数が少ないのできっともっと色々あるでしょう😅
「屋根裏のラジャー」:こちらも振るわなかった映画だが、楽しかった。映像美をそれこそIMAXで見たかったが早々に終わってしまい観れず残念な気持ちに。映像と様々なキャラクターが良かった。
「ガンダムSeed Freedom」:ガンダムseedが好きで楽しみに初日に観た大ヒット映画だが、かなりショックを受けた。安いラブストーリー?なんだか恥ずかしい気持ちに… 隣で何度もため息をつくおじさんが印象に残った。キャラクターにまた会えたのが良かったが、それだけになってしまった。
上がそれぞれ話題にならなかった映画となったもの。評価が当てにならないかもと思ってしまいました。今回のスカーレットも評価と異なる印象を持った映画でした。
その他、原作漫画を読んでる映画もいくつか観てますが、そういうものは尺のためなのか何度も同じ回想シーンが入ったり、無駄に繰り返しを見てる感じで手抜き?と思うことが多かった。それでオリジナルや展開が分からないものを好んでます。
「スカーレット」は時間の都合で仕方なくだったがIMAXにしたが、冒頭から臨場感もありむしろIMAXにせざるを得なくしてくれた予定に感謝(笑)。しかもエグゼクティブシートが空いてた。
後ろから鼻をすすってる人がいるのも分かり良かったと思ったのは私だけでは無いはず。たまに入った歌はいらないかもーと思ったがそれ以外は私はとても楽しめた。特に冒頭とラストが好き。酷評なのは疑問が多いから?かと思うが、死後の世界に私はそこまでの完全な説明は求めなかったので、あまり気にならなかったというのもあるかと。聖は浮いてはいたが… 疑問点や違和感自体はあるので評価としては5にはしてないですが、良かったし観ずに評価されるのは残念でオススメしたいので-0.5です!
都合により
今年ベストかも
芦田愛菜=スカーレット
細田監督作品としては、初の異世界物!芦田愛菜のスカーレットは、すごく感性がよく素晴らしかった!聖との旅で相手を殺さない事に目覚め、聖との別れに自分は涙しました!よい作品を創り出した細田監督に感謝です!
映像と音響は最強 ストーリーは王道
ネガティブコメント多かったけど
(評価)
ネットの評価では結構ネガティブなものが多く、そうなのかなと思っていたけど、映像美は圧倒的、芦田愛菜ちやんの才能には感服、ストーリーも、ネット評価でなぜそこまでボロカスに言うのが理解できなかったです。シェイクスピアのハムレットをベースにしていることに拒否感がなければ、私的には、おすすめしたい映画です。パンフレットも買ったし。
これは⋯⋯⋯
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 令和版『時をかける少女』ってか。細田守作品で初めて涙が…21世紀の世界へ向けての細田監督の新たなメッセージ。
①生・死・虚無・時間・過去・現在・未来・愛・怒り・憎しみ・復讐・赦し・無私・利己・利他・欲望・願望・無限・永遠・争い・平和・言葉・踊り・歌・音楽・奉仕・内省・連帯・希望・絶望etc.etc...まあこれだけのことをぶちこんでいるので姦しくもありわざとらしい点もあるが、目眩くアニメならではの映像表現を通して語られる根源的な生死/人間/人生の意味を問う物語に思わず涙してしまった。
②ただ、善悪は問われていない。クローディアスは最後まで己の事しか考えないどこまでも自己チューな人間として描かれているし、ガートルードも最後まで改心しない。彼らを「悪」と云えば「悪」なのだろうけど、「悪」ゆえに滅びるわけではない。
③死者の国(黄泉の国?)で虚無にまだなっていない人々が渇仰する「見果てぬ世界」、それは『永遠』のことか、『不死』のことか。
死んだ後ですらそれらを求める姿には、オババ(白石加代子だ!が言う通り"人間とはいやはや如何なる存在か"。
④利己的な者達に雷を落とす龍は神の使いなのか。しかし、噴火と共に飛び散る火山岩は誰の上にも平等に(?)降り注ぐ。
神の存在は劇中では殆んど触れられてはいないが、「聖」こそがこの世界の“神”に当たるのかも知れない(「聖」という名前からの単なる連想です。)
⑤少女(とは言えぬ年みたいだけど)の成長物語か、王女が昏睡していた間に見た夢なのか。
目覚めた王女の手に死者の国で聖に手当てしてもらった包帯がそのままになっているところは、『千と千尋の神隠し』のラストの千尋の髪留めを思い出させる。
私達の世界で現在進行中の、ガザとウクライナでの紛争・戦争で、アフリカでの飢餓で、中近東での難民等で失われていく子供達の命。それを彷彿とさせる一幕をはじめ、様々なメッセージが散漫ではないが時空を縦横無尽に往き来する世界の中に散りばめられていることでとりとめの無い印象を受ける観客もいるかもしれない。
しかし、私は押田守が想像し構築した世界の中であちこちからそういうメッセージが読み取れるこの映画の豊潤さが決してキライではない。
良作です。ネットの評判は信じないで!
細田守の最近の作品は、過去の奥寺佐渡子脚本作品が好きだったかどうかで評価が分かれるようですが、奥寺脚本が嫌いで、竜そばなど細田脚本が好きな自分には果てしなきスカーレットは良作でした。
細田監督はおそらく、脚本をなぞるように映像を作るのではなく、見せたい映像が先にあって、そこに脚本を合わせているんだと思います。なので、細かく見ると整合性がとれない部分が出てきてしまうのですが、私はそれがあまり気にならないので楽しめるのかもしれません。竜そばを観て「女子高生を一人で東京に送るなんておかしくね?」と白けてしまうしまうような人には向いてない作品です。
ネットや映画.comの評判からすると、残念ながらあまりヒットはしそうにないですが、細田監督には今のスタイルを貫いて欲しいです。少なくとも、奥寺脚本に戻るのだけは勘弁して欲しいですね。
芸術的価値のある映像作品
大衆向けかどうかは置いておくが、芸術的価値のある映像作品
大学の映像専攻で細田守作品をはじめとする多くのアニメーションを研究した人間がレビューをしていこう。ネタバレはない。
何かと脚本が良くないと言われがちな最近の細田守作品だが、一言で言うと前作よりかは脚本も芸術性も段違いに良い。エンタメ的な細田守作品が芸術的方面に大きく舵を切った作品と言えるだろう。それだけ芸術的側面が強い作品と感じた。
まず脚本や演出については星4つ。ネタバレはしないが、前作よりもご都合無理矢理感はやや軽減された様子。何より爽やかな脚本が売りだった細田守からは信じられない重みのあるストーリー。
シリアスなファンタジーのアニメが好きな人には向いているかもしれない。私はマギという作品の煌帝国編(皇子が王位簒奪した実母に復讐する部分)が好きなので、かなり印象が被った。
大元のハムレットは見ずに挑む人間が多いかと思い、私も読まずに挑んだが問題なかった。
ただメタファー的な部分も多く、他の口コミや評判を聞く限り好みが分かれるかと思うため期待値を上げすぎるのはお勧めしない。
そして絵作りについては星5つ。芸術大学にいた頃から細田守の作品については研究していたが、今回はCGの部分が大幅に増えて背景含む画面もかなりリアルで迫力があった。
画質もさることながら、構図や色使い、衣装デザインなど画面構成にはかなり凝った様子が見てとれる。3DCG特有の動きの硬さは少々残るものの、普通の人間なら見ていてあまり気にならず没頭できるレベルである。サマーウォーズやバケモノの子のような爽やかなテイストとは大きく異なり、シックで重厚な絵を作り上げている。
Dolby AtmosやIMAXも対応しており、音や音楽にこだわりがある様子だったので復讐のストーリーに合う迫力を求めてIMAXで鑑賞した。これが正解だった。俳優陣の声の迫力や音そのものの効果が最大限引き出されていた。音楽、音響等星5つ。
大衆向けに理解しやすい王道ストーリーを描くエンタメ的な作品(鬼滅の刃やワンピースなど)を普段から見ている人間には理解が難しい部分や展開が比喩的すぎる部分もあるかもしれないが、芸術作品におけるアニメーション映像としてはかなり優れているといえるだろう。脚本に多少の無理やアラは見受けられるが、前作よりも改善が見られ、なおかつ演出でカバーされている印象を受けた。
ただ主演の芦田愛菜は、まだまだ声優としては一人前とは言えない雰囲気の演技だった。やはり声優と俳優は異なるということだろう。だがしかし、芦田愛菜の未発達でピュアな声がヒロインに一役かっているとも言える。何より感動したのは悪役の役所広司だ。俳優声優の域を超えて、キャラクターにリアリティを持たせ3DCGでは表現しづらい細かなニュアンスをカバーしていた。主演の芦田愛菜との対比構造はかなり芦田愛菜は苦戦したことだろうと思う。ヒーロー役の岡田将生も、やや棒読み感が強く、聖という人間性が平坦に見える可能性がある。もう少し聖の人間性を拾った細かやかな表現が声で見られると良かったかなと感じている。
ネタバレを避けてのレビューはこのような感じだ。ヒロインとヒーロー、ヒロインと悪役の対比構造やメタファーについて集注して見てほしいと思う。
現代(いま)の世相に合致するスカーレット
「果てしなきスカーレット」…、どうやら自分とは相性が良かったようで、素直に感動した。
序盤は、刺客とのバトルにまず感心。スカーレットは訓練してはいるが無敵ではなく、毎回ギリギリで勝つ。その“強すぎない”動きが良い。
展開もどこか上品で、「あれ、これはただのアクションではないな」と思っていたら、どうやらハムレットが下敷きらしく、物語全体に一本、しっかりした軸が通っていた。
「死者の世界」は各国の死者が混ざり合っているような設定で、他のイメージの“詰め込み”も許容範囲(宮崎駿や新海誠のように“詰め込まないと客を呼べないと思い込んでいるかのようなごった煮感”とは違う)。
旅の相棒である青年の理想主義、その青年の世界、スカーレットの夢の中での“現代の渋谷のような世界”へのジャンプ&ダンスも、復讐譚への対比として効いている。青年の死因も、そして彼が平和主義者でありながら、どうしても手を血で染めなければならない瞬間の決断も納得のいく描写。
そして極めつけは、弟に惨殺された父王がスカーレットに向けた「許せ」という一言。この解釈が謎として物語を強力に牽引し、細田守脚本が最後に出してくる“意外な答え”には感服した。
惜しむらくは、「鬼滅の刃 無限城編」にも感じた点だが、ほぼ全編がCGで味気ないこと。もちろん技術としては頑張っているのが分かるし、“動き”のあるシーンは許せる。しかし、“静”の場面――アニメならではの“演技”が問われるシーン――でどうしても、アニメ表現としての希薄さが気になってしまう。これはかなり大きな問題だが、唯一の欠点といえる。
最後の最後まで観ると、私は 「スカーレット=高市早苗説」 が成立するんじゃないか…と思ってしまった次第👍
「生きる」難しさへの答え
ミニマムな「家族」という社会を描いてきた細田守が、文字通りの「社会」そのものを描き出すようになって、残念ながらあまり世間受けしなくなってしまっているのは非常にやるせない。
「果てしなきスカーレット」かなり面白かったし、脚本にも全く問題を感じないんだけど、もしかして私が観ている映画と他の人が観ている映画は違うのだろうか。
いや、「面白かった」「良かった」票も確かに存在してるんだから、そんなSF感あふれる事象にはなってないはずだ。
恥ずかしながら私淑している押井監督なら「エンタメで文芸やるな」の一言でバッサリ袈裟斬りにしそうだが、私はエンタメの皮をかぶった文系作品好きなんだよね~。
作品のベースが「ハムレット」だから文芸だって言ってるわけじゃない。
「人間とは何か?生まれてきた意味とは?どうやって生きていくのか?」という物語をキャラクターの関わりの中で描いているから、文芸作品だって言ってるわけ。
今作、父王の「許せ」という言葉の解釈を巡ってスカーレットの「復讐」という旅に揺らぎが生じる。そこが良い。
「許せ」ってどういうこと?という疑問から別の世界で生きている自分を見て、もしもこんな人生じゃなかったらというIFの自分を通して「叶うならこう生きたかった」を無意識に自覚する。
スカーレットは「聖の世界を見た」と言ったが聖は「それは俺じゃない」と返す。
時間すら混ざり合った世界で、「争いのない世界」という未来の夢を見た、という解釈で良いと思う。
あ、ちなみに聖の存在はズバリ「父」。お父さんと同じ思考の人なんだよ。キャラバンの人、つまり自分とは違う他国の人の話を聞いて、協調しようとする。生前のアムレット王が主張していた隣国との付き合い方を聖は実践してるんだよね。
スカーレットが聖を「いい子ちゃん」と言いながらも見捨てられないのは、聖の姿に無意識に父の面影を見てるから、だよ。
劇中割とはっきり「自分を許せ」という意味だと示されると思うのだけれど、話の流れに引っ張られて「相手を許せ」っていう解釈になっちゃってる人を見かける。
まぁ、最終的にはスカーレット自身が叔父のクローディアスを許すわけだからあってるといえばあってるけど、まずは自分を許さないと。
すべきことに全てを捧げなければならないという規範から脱落しそうな心を許す。辛いことから逃げたい気持ちを許す。
過度に自分を奮い立たせ、必死で、歯を食いしばって耐えている状態が続いてしまうと、楽してるように見える他人を許せなくなる。
「私はこんなに辛いのに!」と思うから、他人の失敗を、迷惑をかけられたことを、ちょっとしたすれ違いを、相手の事情を許せなくなる。だから争う。
普段頑張ってるんだからたまにはサボったって罰は当たんないでしょ、っていうくらい自分に対して「許せ」ていなければ、他人を許すなんて到底無理じゃんか。
見果てぬ地を目指して山を登る群衆の目の前で噴火が起こるシーン、どう考えても下山したほうがいいと思うのに、山を登らなければ目的地にたどり着けないという思いが人々を更に登らせていく。
あれなんか、当に頑張りすぎて地獄へ突っ込んで行く現代社会の縮図みたいに見えたよね。
エンタメ作品としてのクオリティも高い。
まず、アニメーションの迫力が本当に凄かった。さっき噴火のシーンを挙げたけど、生も死も時間も融けあう世界の迫力が凄いし、スカーレットが闘うシーン全般もハイクオリティ過ぎて目が離せなかった。
突如現れる全身武器の刺さったドラゴンの咆哮も迫力満点だし、スカーレットを筆頭に俳優陣の演技も良い。市村正親さんや吉田鋼太郎さんが参加しているところにもこだわりが感じられる。
まぁ、とにかくだ。
強い者だけ連れて行く、とか言って壁を築くクローディアスに何処かの世界の指導者の「Great Again」な姿が重なったり、アニメーションで社会派をやっていく姿勢、私は好きよ。
To be, or not to be, that is the question.
今、ハムレットは遠く、わすれられた、生きるべきか死ぬべきか悩んでいると思われていると思う。でも、To be, or not to be, that is the question、生きるべきか死ぬべきかを問うているのではなく、このままでいいのか、このままではいけないのか、を問うている(と習った)。実際のところ、スカーレットは復讐するのかしないのか悩み、その地獄を描いたかのような世界の中で普通に暮らす人達、殺戮をする人達、将来を語る子供達、未来の世界を魅せる人を経験することで絶望していたスカーレットが生と死の果てしなさを知っていくのを描いているところは素晴らしかった。
できることなら自分が逝くときはあんな狭間は勘弁してほしいけど。そしていつかの果てで二人が再会できますように。
憎しみを捨て愛を知る物語だけに留まらないらしい
聖に出会いスカーレットが変わっていくお話。
近未来の渋谷が何度か出てきますが、それがひとつのサインかと思います。
冒頭、カーニバル風の歌のみが流れ、途中、おそらくは集中治療室にいる聖の場面から誰もいない渋谷の街にカーニバル風の歌が流れる。
そして、スカーレットに未来に流行った歌として聖が歌ったときに、同じカーニバル風の歌が流れスカーレットが近未来の渋谷で自身に似た女性と聖に似た男性が一緒にダンスを踊っているビジョンを観て、復讐しかなかった自身の生き方を見直すきっかけとなり、翌朝、ビジョンで観た女性と同じように髪を短く切る。
聖にビジョンの話をして、ダンスを聖がリードしてくれたと言ったけど、聖はフラを上手に踊れないほど踊りが下手なので、自分ではないと否定。
よくよく考えると、これはスカーレットが女王に即位し世界をよくした結果、近未来の渋谷で、死ぬことの無かった聖とスカーレットの子孫(生まれ変わり)が出会ったということなのだなと思いました。
エンディングの歌詞にも、そのようなことを暗示する歌詞が組み込まれてるので、実は中ほどの近未来の渋谷が真のエンディングなんだなとも思いました。
最後のシーンは、聖が虚無とかすので少し悲しかったですが、まぁ、そうなるよねという印象。
尺の関係で少し話が唐突な部分も有りますが、よくまとまっていると思いました。
小説版では映画で省かれた部分が丁寧に書かれている一方で映画版では小説版にはないアレンジもされているとのことなので、小説版を読んで鑑賞すれば新たな驚きがあるかもしれないと思いました。
まとめサイトによると凄い仕掛けが織り込まれているとのこと。
なので、個人的には、酷評するほどの作品ではなく、良い作品だと思います。
復讐に囚われた少女が生きるとは何か、愛を知る物語
父の復讐に囚われた少女(スカーレット)が青年(聖)と出会い、人として成長する様が良く描けていた。
復讐を果たして消えてしまいたいと、復讐を遂げることが人生の目的になっていたスカーレットだったが、聖がその心を動かしていく__。
その過程、そして結末に号泣した。
この人生、自分らしく生きることが最も大切だと改めて考えることができた。
復讐がテーマの作品なので終始作品の雰囲気が暗いのだが、聖との別れのシーンや、階段を昇るシーン、現代でのダンスシーン等、美しく明るいシーンも散りばめられていたため、バランスが良く飽きることなく観終わることができた。
ただ、どうしてもスカーレットの声が芦田愛菜さんそのものなので、物語序盤は芦田愛菜さんを意識せざるを得なかったのは少々残念ではあった。
とは言え、中盤からは物語にしっかり入り込めたのでそこからは気にならなくなった。
演技自体とても素晴らしく、劇中曲やエンディング曲は素晴らしい歌声だったと思う。
総じて素晴らしい作品だった。
素敵な作品を創っていただき、ありがとう。
ソニーのテレビを売るには最適の映像美だとおもいます
細田監督の作品は、おおかみこども以後、話の筋書きに無理があり(難関国立大学をあっさり退学するとかふつう、しますか?ネット世界でしりあったDV被害の子供を助けに行くことできますか?)見たけどあまり共感できない内容が多いと感じてます。たぶん、細田監督はご自分の私小説的なものを映画にしたい(未来のミライでのインタビューを読んでそんな気がしました)とおもっているのでしょう。だから今回の作品も事前の情報をレビュー含めて何も仕入れずに見ました。他の皆さんが書いているように筋書きはよくわからないけど、映像と音響をだけにしぼってみれば、渋谷のダンスシーンもソニーのテレビのプロモーションに使えるレベルと思います。(ソニーストアでもダンスシーンをリピートして流してました)
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